小菅精哲:無双直伝流心慮之巻

『無雙直傳流心慮之卷』筆者蔵
『無雙直傳流心慮之卷』筆者蔵

湿気によって傷んだものか、ほんの少しの力でも破れかねないほど料紙が脆弱になっています

これ以上損傷させないために、裏打ちを依頼した方が良いかなと思うも、その一方で伝書の類いの料紙はきつく巻き込むように癖がついているため、上手く裏打ちできるのだろうかという一抹の不安を覚え、現状のまゝ保管しています

裏打ちの何が不安なのかというと
これまでに裏打ちした伝書をいくつか見てきましたが、どれも綺麗に裏打ちできているという雰囲気ではなく、何か違和感を覚える裏打ちばかりでした
妙にゴワゴワしていたり、料紙の巻き癖に馴染まず反りかえるようなものなど

現在のところ、極力触らないようにしています
触れば触るほど傷むため、購入してから三度しか開いていません(涙)

『無雙直傳流心慮之卷』筆者蔵

小菅精哲(荒井政次)
居合・剣術・和の三術を江府に於いて教え、門下五千余、その内八百三拾七人に和の免許を与え、五百三人に和の印可を与え.四十三人に三術を許したと手元の剱雄源海流伝書に記されています

「因て茲に僕、和・水の二字を以て証し抒[の]へ、事理を演説して心慮の軸と為し、之れを授け畢ぬ」
なお、『心慮之巻』は小菅精哲以降も同流において踏襲され伝授されました

印章は耳壺に「寶」の字か
耳壺形は師である長谷川英信に倣ったものかもしれませんね

『江戸時代村落における武術の一事例-滝沢家文書について-』榎本鐘司著
参考文献『江戸時代村落における武術の一事例-滝沢家文書について-』
因陽隠士記す
2025.8.18