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一刀流覚書

『一刀流覚書』は丹波綾部藩士 田口重治が記した覚書です。田口重治の父 田口重信は常陸笠間藩の一刀流師役四代目 杉浦景健に師事して中極意を免され藩内の士に指南しましたが、子の田口重治は笠間藩の杉浦家に師事せず磐城平藩の唯心一刀流師役 杉浦正徧に師事しました。これは、その時期に笠間藩の杉浦家は当主不在であった為と考えられます。 このような事情があって、『一刀流覚書』の記述は磐城平藩の唯心一刀流を主とします。しかし、父重信が杉浦派の一刀流を学んでいたことから、「一 得心の巻 杉浦與三兵衛正本(玄休)より始まる、他流雌雄に勝れられし事也」と云う記述や、「五段之仕組」に「八丁堀になし」と注記されるように笠間藩の一刀流に関わる記述も少し見られます。(* 八丁堀とは江戸八丁堀に住んでいた笠間藩の一刀流師役 杉浦家を指す)。 掲載史料及び参考資料
『一刀流覚書』個人蔵

※相対する人物図は、左が「打」、右が「仕懸」又は「遣手」と記されています。
別傳
座席之闇夜之事 猥りに立つべからず、静かに居る所を替えべし、然れども女人抔これ有る時は居る所替えべからず、燈火持ち出る方に居るべし、酒乱又は乱心としる時は鞘込にてとるべし
山中之闇夜 松明灯燈兼ねて家来に申し置くべし
途中市中之闇夜 右心得の事、尤も小楯をとるべし
川中之戦 水中にて扱ぎ討ちにすべし 不案内の川は少しも浅みへかへるべし、深き所にて敵うわずる故水中を切るべし、尤も心得有るべし、敵を川下へ受くべし
所物之事 廣場にては消し込みたるべし、二階抔に籠る時は太刀をかぶり上るべし、或は火入抔打ちかけ油断の所を取るべし
先ず諸方へ手くばりし、左にかさゝるようにすべし、壁抔被り入るべし也
本有刀 陰陽とあらわれさる先に一理有を太極と云この太極と云もの静にして陰を生し動て陽を生と有り如此動静窮らずして萬物を生と云へり此の太刀の意味太極と同意なり右の如く双方同やうにむ心にして我が中角へ左右の手ををがみ合せ其合する内へ太刀をはさむ是則ちむ心の内に一理有が如し其一理ある物を互に打合する心持なり能〃かんがへ知べきこと筆紙に認め難き意味なり
陰陽刀 初本はをがみに持すなをに合せ二本目はもはや陰陽と左右の手へあらはれ出づる心になり五段の初本の通りに双方同位に打合する意味なり
神明刀 青巌に構へ請は中段より中角へ打出すを青がんの構へのま〃にて付合せ事も心も表へ發しあらはさず内にふくしをきみちみつる意味也
直心刀 十二本目の如くとも有之 同構へにて請も同し請方より打出す物へ乗心持なり
風波刀 双方共に前に同構へにて請より打出す物へかまわず拂ひあける心持也
重位刀 双方共に陰の構にて間に至り高か青眼巌になをし心を大きくとそ眞し威せいをかけ請方へ心の通るやうにいきをいをかけ太刀を合せず引なり文字の意をかんかへ可致なり 表四本の如くに受け重位をかける也
獅子奮迅 陰にてしかけ間をつめるにしたがい高青がんになをし足拍子をしなから止まらざるやうに間をつめ打間に至るゆへ請方より打出す所を切挫なり請方も陰の構なり釣合拍子大一の意味なり
虎亂入 下段にてするどにしかけ請中陰より打出を表へひしとあたり餘りを裏へ丈夫に打こみなり文字の意を考可致事なり
無的刀 双方共に陰の構にて向い間に至り同位にて互にすきこれなきゆへ太刀を合せず引是則無的也
本有の陰陽分る神明を 只直心のまゝに行へ
風波より重位の超(をこ)る獅子虎亂 つくしつくして的無と知れ
電光を以て中すみ柄くたき さへて闇夜の太刀を知る
目礼なすとも頭下る事なく貴人に向う時は腰かゞめても敬の白はして立ち合うべし
シナヘは立ち合わざる前にとくと改むべき事、同じく組み合い置く立合いは當流に法なし、由を断ち致すべからざる事
一、牧野越中守殿御家来某の下女狐附候て口走り依て某九曜を執せんと其の用意致し執せず、前以て下女云う旦那我を今殺せと云う、恐ろしき事只今退るべし、ゆるし給えと早速退くと也
 志賀氏の書也
五位先後一事之位 勝負三段にて先後中比三つ也
五位水車之位
隋位刀 青眼 眉間 打電光
妙殺刀 車構 打披足上一巻打 打陰
心活刀 車より切上 足上裏 打青眼
連重刀 陰巻   打陰
無中刀 下段裏へ  打電光
中極意電光本意發拂刀 車片手右左諸手打電光
上中下身の程を知る事 貴賤に付き執行程知る事
後ヨリ取ラレタル時の事 勝手先は左を右にて
小指 大すり切り
左右より二三人にて引立連行時の事 大小の事左右強き方へ聲 小にて左の事
二刀相の事 二刀相の形別にこれ無く二刀稽古致して、是を相手とは是は別杉浦に傳る処也
取〆縄掛様の事  
太刀打合左右へ組合様度々稽古腰〆りの事  
八風 志賀氏
陰中 口傳 打陰
陰裏手切 口裏眉脊柄懸引打陰引るゝとき額へ●く事
下段 口ホ 打下段
退 同飛 口ホ 打同
陰 せめ足に付 口頭へ切出裏表なし
同 同 同
陰表裏打陰
上段付 打青眼
柄砕 不砕時をと 不生
九曜
晴るは上りて天と成、濁るは下りて地と成、其の中に一つの物あり
此の則本有也、天と地へ別れて陰陽刀、国有れば人有り神明刀 志賀氏説
本有刀 眼足揃右より踏出 打同
   左より引
陰陽刀 眼明足揃右より出右より引打光
神明刀 陰 打同 打陰
直心刀 青眼 眉脊 打青眼
風波刀 下段 足太刀上切 打電光
重位刀
 をもをもしき心
青眼重々敷 上の位 打青眼
獅子奮迅 陰飛替る 々 中角規打陰
虎乱入 下段 表裏 打電光
無的刀 陰 打陰
中極意電光本意事理口傳の書 傳授の時此の書傳なし
電光抜きながらかぶり陰左右真向打ちて抜きて打つ、又打つ
平生中角鍛錬する事 一重身
柄砕中位迄を傳可申事 柄鍔下上五當首切
サエテの事 聲柄倒し弱
晴夜之事 鞘かぶり舁小備上下●、打青眼
太刀打合左右へ組合様度々稽古之事 ● ヒタ眼 両方陰
風車 十一 十二
發的
流玉 かぶり とびきり 裏同
表三段之仕組
挫刀 相上段にて打出頭を打切て少引心持又打てくるを左の足にてうけ留勝をとる突
乗刀 打中段青眼少平にうけ仕かける打込をしのきを加へし受留突
責刀 打同下段にて打込をしないの下段の如切先にて引すりきりに切落し又打を下へ這入
八丁堀になし
五段之仕組
電光 両中陰にて仕かける也打より眞向を打を切受留め陰になをし打右へまはり二の目を切勝
明車 両陰打より眞中を打かしらを打をとし打より右のかたへかけ打出すを裏にて受留發相にかまへ打の右へまはり二のめを切勝
圓流 打中陰にて下段にて仕かける眞向を打出すをしのきにて受こしを引受流し抜く發相にかまへ打の右へまはり二のめを切勝
切留 打中陰にて青眼に仕かける打より眞中を打込を受切に留る陰にかまへ打の左へまはり二のめを切勝
飛鳥 打青眼にて陰にかまへ仕かけついてより眞向を打込み打より又眞中を打を打の左より右へ手本を切飛勝
進退屈伸連續之仕組
天狗象 打は青眼にてつかいては車にかまへ立合両中陰にいたし仕かけ打合受又中陰になをし打より右のかたを切身てかはりて打の右のかたを切又中陰になをし打より左のかたを切身をかはし左のかたを切打よりはらを下段にて突を右の足を先へ出し左の足をあとへ引下段にて受留又眞中を打を右の足をあとへ引左の足にて受止つかいて車に直をし眞向を打をぬけ又打より車にて眞向を打をぬけ太刀を杖につき左の足を鍔(つば)へかけ打より眞向を打を受あとへ飛打より四度下より上へまき手を切るはじめ片手切二本はあとへ引あと両手切二本は先へ出すべし打は發相にかまへつかいては車にて下よりまんかなをまき上け面へつけ打より身をかはして裏へ打込を太刀を拂切留る
小太刀連續之仕組
旋移 打上段にて打より眞向を打を右へぬけ手首を持受留流し左へまはり小節を切るあとへ引打より眞向を打を受打よりはらを突を右の足を先へ出し左の足をあとへ引太刀をはらい又打より突を右の足を引左の足を先へ出し太刀をはらい打より眞向を打を受右へ受け流し又打を右へ受け流し又打を左へ受流し二のめ切勝 たヽし右へ流すときは左の足を先へ出し左へ流すときは右の足を先へ出すべし二のめを取
二刀之仕組
無邪刀 打陰にてつかいて月日の構へにて仕かけ打より眞向を打を小太刀にて受け大太刀にて眞向を切勝
強弱刀 打陰にてつかいて仕かけ打より眞向を打をあとへ小太刀とたいとを引大太刀にて上より右の足を入と一所に切勝
左上刀 打陰にてつかいて小太刀を上にしてくうんで仕かけ打より打出すかしらを下へ飛込大太刀にて突 尤小太刀を上にすべし
間取刀 打陰にてつかいてくうんで仕かけ打より眞向を打をあとへ引上より両手ををさへ大太刀にて突
手離刀 打陰にてつかいて仕かけつかいて間合にて小太刀をなけ打よりはらひつかいて右の足を入大太刀にて眞向を打込勝
二刀相之仕組
奪車 つかいて車にて小太刀をはらい打より大太刀にて眞向を打をうけ留すり込突 尤表にて受け左の足を先へ出し受け突より右の足と一所に突
遷車 つかいて車にて仕かけ眞向を打を打手あとへぬけ打手より二刀にてをさへるをあとへ飛かへり切る
つかいてより車にて眞向を打切先へかけてかくのことくすりをとし突
誘利 つかいてより車にて眞向を打をとし打はあとへぬけつかいてまんなかを下より上へはりあけ突
つかいて下段にて仕かけ打より小太刀にて大太刀ををさへるをあとへ引打より大太刀にて眞向を打を身をかはりて右のわきの下たを切
つかいて發相にかまへ仕かける打より小太刀をなけるをはらひ打より大太刀にて眞向を打を五段切合之ことく足をふみちかへ太刀をかぶりて左へぬけ打の右のかたを切勝
五段切合之仕組
發留 両霞にて切先を下へさけ仕かけ打より左のこしを切つかいて右の足を先へ出し左の足をあとへ引受又打より眞向を左の足を先へ出し右の足をあとへ引受留又右の足を先へふみ出すと一所に突
随車 霞にて切先を下へさけ仕かけ打より左のかたを切をつかいて手をちヾめて青眼にうけ又かしらを打を左へひらきこしを引き受流し左の足を入れ右の足を引手もとを切しりそく
輕玉 打青眼つかいて車にて眞向を打を打より又眞向を打を左へひらき受流し左の足を入れ右の足を引手もとを切しりそく
打中陰にてつかいて青眼にて突と打より眞向を打を受切先にて押をつかいてより押しかへし又打より眞中を打を受流し右へひらき右の足を入れ手本を切しりそく
移切 打中陰にてつかいて車にて仕かけ打眞向を打を受鍔せり 尤右を鍔せりのをりは左を切る左を鍔せりのをりは右を切左右とも
流飛 両陰にてつかいて仕かけ表へみせ裏を切る又裏へ見せ表を切る 尤表のをりは右足左のをりは左の足
両發相にてつかいて仕かけ眞すぐに打を打より又太刀をはらひつかいて下より太刀を少らへ上けなから眞向打
裏五天之位
妙剣 打青眼につかいて車にて仕かけ向の太刀の切先より右へ左の足をふみ右の足をふみ出すと一所に身をかはして眞向を打込を打あとへぬけ打より眞向を打を受留
絶妙剣 両青眼つかいて仕かけ切先を向へかけ間合いにて一足右の足をふんごむと一所にすりこみ打より裏を切るを受留左へまはり切
真剣 両青眼つかいて仕かけ突込を打より眞向を打をこしを引太刀をかぶりぬけ左へまはり發相にかまへ二のめを切
金翅鳥王剣 両陰つかいて仕かけ打より首をまくら 尤右の足と一所にまきつかいてたいをしづめて打の手本をまき 尤右の足と一所にまき左へまはり二のめを切發相にて
獨妙剣 両陰つかいて仕かけ打より眞向を打かしらをつかいてより打をとしじきに右の足と一所に首を切太刀を下段にてしりそく
三行之位
風車 陰之位 両車にてつかいて仕かけ打より眞向を打をあとへぬけ左の足をあけふみ出し又右の足を先へふみ出しをりしき打の両手を切
風車 陽之位 打中陰つかいて向車にて仕かけ突込を打よりはらうを左手より右の手を切 尤たいも一所に身をかはりて二のめ切
發的 進之位 両陰つかいて仕かけ打より眞向を打出をつかいて眞すくに切受留勝 尤右の足と一所に受
發的 退之位 両陰つかいて仕かけ打より眞向を打をひぢとこしとをあとへ引んけ左へまはり發相にかまへ二のめを切
流玉 左身 打中陰つかいて下段にて仕かけ打より表を打を表にて受留
流玉 右身 打中陰つかいて下段にて仕かけ打より裏を打を裏にて受留
定格三段之切
ぬける間合うける間合切間合を上段中段下段とす也
上段 陰一 両陰にてつかいて眞向をなしわりに仕かけ打よりせひなふ青眼になをし受つかいて眞向をうけ左の足にて金玉をける二のめを打より青眼にてかまへ出すを右へまはり切
上段 陰二 両陰にてつかいて眞向をなしわりに仕かけ打より眞向を打をつかいて抜間合受間合切間合有可心得二のめ打より青眼にかまへ出すを右へまはり切
中段 陰三 両陰つかいて頭より足つまさきまて切落す心持にて仕かけ打より左右を打表へ打ば左の足を先へ出し裏へ打ば右の足を先へ出し受る 尤抜間合受間合切間有可心得二のめ打より青眼に出すを右へまはり切
中段 發相四 両發相にてつかいて切先を向へかけ仕かけ眞中大事也左右を打てば切先にて左右をはらい意味深し口傳有二のめ前に同し 尤たいをしつめ仕かける也
下段 下段五 打中陰にてつかいて下段にて仕かけ打より打出す頭を下よりさらへ上け又つかいてより眞向を打込二のめ前に同なし
五形(キヨウ)之位
陰(いん) 両陰つかいて仕かけ打より眞向を打を青眼に受 尤打太刀の刃を引きすり切込又あとへ引打より眞向を打を受すりきり込 尤左右打三度仕也 尤打次第にてゆくどにてするべししまいに太刀切先を左へまはし打の両の手を上より切也 尤初め上段なれとも二本めより下段にて仕かけるべし 尤するときしのきを返しするべし
打中陰つかいて車にて表十一本めのとをり仕かけ打より眞向を打を青眼受すり切に切巻き 尤前に同し
青巌(せいかん) 打中陰つかいて青眼にて仕かけ右前に同し 尤仕まいに太刀切先を左へまはし突
下段 打中陰つかいて下段にて仕かけ右前に同し 尤仕まい太刀の切先を左へまはし突
八相 両發相つかいて仕かけ前に同し 尤仕まい太刀を左へまはし打の両の手を上より切也 尤このかたちを八字の形と也
小太刀五事之位
正(せい)剣 両車つかいて右の手にて小太刀を持車にて仕かけ打より眞向を打をつかいてあとへぬけ打の左の手を上より切下け又下より右の手を切上け又上より右の手を切下け右の足をあとへ引をりしき打より眞向を打を頭にて受留打より太刀を上けるところを向の小節へつける
殺機(さつき) 両車つかいて右手にて小太刀を持車にて仕かけ打より下段になをし突掛るをつかいて小太刀にてをさへ打より又真向を打を自分の右より左へ飛ぬけ又打より真向を打を左より右へ飛右へまはり二のめ切 尤二のめ切かまへはかくのことし
變随(へんずい) 打陰つかいて小太刀をへその所に持仕かけ打より真向を打をあとへ太刀をかふりぬけ打より横に太刀を振るを小太刀にて頭をかこひて入込かくのことし
随眼(がん) 打八相つかいて車にて仕かけ間合にて切先を下より上へ切上け 尤右の足とも前へ出すべし打より真向を打をあとへぬけ打より又打出す頭を向の面へ突込べし左の足を先へ出し入べし
車輪(りん) 打中陰にてつかいて小太刀をへその所に持仕かけ間合にて打たさつゆへ小太刀を右にて一つ向の左へまはし手を持かへ右の手を切先へかけ突込む也ゆへに向より打ところを付込受る
小太刀木玉之位
ふうせい

ひふ
打より陰にてつかいて小太刀をへその所に持仕かけ打より真向を打を頭にて受留両足をふみ揃へ向の太刀のつかの真中を左の手にて持左の足をあとへ引上所にあとへ引小太刀にて首を切
さん
ちん
湛水
打より陰にてつかいて小太刀をへその所に持仕かけ打より真向を打を頭にて受留なから左の足を入向のからたと一所になり入込左のひしにてあとへをしたをし勝取也
ぐはつひ
月扉
打より陰にてつかいて小太刀をへその所に持仕かけ打より真向を打を小太刀にて頭をかこひあとへぬけ又打より真向を打を左より右へたいをしづめて下より手本を左より右へ取り呼左りへまはり二のめを切
かんとう
岸濤
打中陰にてつかいて右手にて小太刀を青眼にて仕かけ打より真向を打を受留左へまはり二のめを切
ざんきよう
残響
打下段にて仕いて太刀をかふり仕かけ打より突込をこし引太刀をはらひ又打より真向を打を打の左より右へ飛ひ左へまはり二のめ切
理盡得心巻 必勝之事
玉簾 ○高く持切下け其侭胸より●迄切上切下け打太刀高せいかん
△相陰玉すたれ上より切落し下えもをとさず上えも上す上下よりもつてをる心持
八重垣 ○高く持左へうけ留る場浅く留ても心は深く可入 尤太刀を引付へし
打みしかものにて向ををそいい這入る
△打青眼前に垣をしたる心持深くかけ手本えきを付ける
山動 ○初本より真中をうしろえ上背中えつく位にして一はいに強く打へし 尤打太刀は左右えふりまはすゆえ如此打化流なとへ右の如くすることもあり
△相陰間合にて中段に振まはし左右振あとを打心持にて切先をうごかす八丁堀にては相八相まはすを働す心持素人やみくもふり
稲妻 ○高くもち表え打寸敵よりふせく頭をうらえ切上るか下るかすへし誠に稲妻の如く早きこと
△相中陰表え見せ裏えかはる
鳥雲 ○高もち打太刀も高もち左の手を切右えのき背中へまはり右へはらへは左へのき左へはらへは右へのく 尤右の足を先へ出しをりしき廻る
△相陰にて打出すかしらを手本をうち扉えまはり●せに付てをる打よりふりて其身かわしてをる
長蛇 ○高く持敵のこふしをきさみ打かこう所を頭を左の手に持あんかうの所を突上けへし下をかはヽ切先を上えまはし切る頭尾にて右の手にて斗持つこうべし
△相陰真中へほんヽヽと打と打たヽしに込引ところを右の手で切先をもち左の手て鍔本えもちかえ柄頭にて當るところをくと上えかはりをさえ突につく
下段 ○下段にて行打より強剣の如く打ゆへ右の足を上右の手にて切先を持胸を突上る敵の足を踏へし 尤旧所也親指高ヽ指間を踏也
△打高青眼強く打込てくるを切先えてをかけのつて突 尤きびすにておやゆひとひとさしの間をふむ親ゆひにて深くふむ一通りいつれ下段に心付ける口傳
刃引 ○刃引は太刀のつかいあんはいをよくしるへし或は打或はするにも心得有て仕組は十一本目より仕ふへし
△十一本目より十六本目まて能分る
三寸之乗 ○高くもち間合をより知ることこの間合にて色こへをかける
△打陰三寸の場にてのりをとり打込口傳
無刀捕 ○これは余義なき寸のこと也右の手の内をきらせ敵の両手を持左右へ分るへし左のひしは胸えあつへし
△八丁堀あやをとりながら間合迄ゆき見合ると打をぬけ丈ぬけるとふかく打を手に受身の分は切り骨をけつりなから向え打込五ヶしきの内え當る太刀にふらりと下る刀なり 當りなりに足を込(いれ)れあをむけにたをし右の手をとりうつむけになしはきの下えもヽを込(いれ)れ縄を掛ると
二拾五ヶ條心得
即座之對應中正之事 真中を打をじきにつかにて請をりしきて留る事  向より打てかヽるを太刀のつかにてうけとめるを即座之事
居合之本意之事 釼術は抜てからが釼術也抜迄に切られすするか本意也 向より打てかヽるを太刀をぬきかけてうけるを居合之本意と云
電光之本意之事 表初本めの如にて左右をはらうを電光のはらひと云
柄砕并大小之事 △別傳に云 後よりこしりをかへし前へ押付られたる時はじきに自分の脇差を右の手にてさかてに持抜き其まヽ左右を見はからひ突かよし
追者之事 向へにけるをあとよりをくかけるときけたんにて突こかしをき切
合而捕之事  
捕〆縄事 ひしなはにていたつてむすかしく候間早縄がよろしく
狂者并抑手之事 サヱテと云てかヽるかよし 人のけんくはてもする寸とりサヘテにはいる寸一法の柄を両手みせて左の足を先の右の足のうしろえやり其刀にて敵をふせく也
入身之事 鎗と入身の事かたなのさやを抜出し下段にてはいると云事太刀の下緒を持そへる
闇夜之事 かたなのさやを抜き出しさぐりてあたると切てのきいくどにても切てのく 尤成丈け身をひくヽいたす
太刀色之事 諸流の向ひたる時あの人はどの位な人と見るを太刀色と云
被取囲時之事 大勢にとり囲れたる時真中へ切ていらすに左右のはしへ切てかヽるよし
天井早所之事 天井ひくき所は下段にかまへるかよしいつれ其所をはやく見定めるを専一也
戸入戸出之事 戸入とはまづしきへ扇子なとををくへし心得有べし 戸出とはもしあやしく思ふ寸は刀を抜き羽織なとをまきて突出すへし 尤一間へ無刀にて一人はいる時はたばこ不用てもたばこぼんをはなさぬやうにすべし
座鋪探之事 マヅ座鋪なとのよう成ところへはいる時は左右を能ゝうかこうてはいるへし心得有べし
長袴之事 ちいさ刀をさしたる寸きうへんの節はちいさ刀にて袴のひほを切ぬく事又長袴と云ものは長きものゆへ袴すりをたすきにいたすべし
駕籠之内之事 あやしき時は右をあけ左へ出すべし又は左をあけ右へ出すべし
無刀而出入前事 無刀なれは向より打太刀をじ分のものに思ふべし
刀取置時之事 わか刀を能ゝ目をほへいたしをくべし又は記しても付をくべし
妻手指之事 三本の手は無事ゆへ三本はじゆふかなはすゆへ其かはりに小太刀を用へし 尤小太刀一尺八寸也
拵利方之事 拵をあまりきれいなるをこのむべからす半太刀作抔が宜
下緒用法之事 まさかの時は下緒をたすきにいたし用べし又はもゝたちとりてもよし或は太刀がらみにもすべし
寝刃 刀の刃をといしにて合すを寝刃合すと云きう成時はぞうりにてもうらにて合すべし
血刀拭 血の付たる刀は火にてあふるかよし 尤ふくべしはらのふしを取りて焼其はいにてふきても吉し
大星云 うしろには目を受るがよし又は月は前に受るがよし 尤うしろの場所のよき所をこのむべし又三方はふさかり一方より敵受るべし心得有口傳
九曜之巻
本有刀 頭の真中に置両の手にて持敵の前迄行本の如に還る本有て未た不發の形
陰陽刀 本有は陰陽分る本有刀の如に持右の手を上へあける迄打太刀より中段迄下す其上え同しように下し又陰に持かへる
神明刀 陰陽分る寸は人有り二人共陽に持てりと打合る寸は人の形になる
直心刀 十二本目の如くもち打太刀より初本に打をかまはす
風波刀 天地の間に風波の起るか如し十二本目の如く左へよらす太刀と足とを上る迄也
重位刀 文字の如く敵の太刀より上太刀に重子る心持にて陰に持ゆく迄也
獅子奮迅 高せいかんにもち左の手を切先左の足より跡へより両足ともひよう子をふみ又右の手を切寸右の足より後へよりひようしをふみかちをとる誠にし々のいかる心也
虎亂入 下段にするどにしかけ請中陰より打出すを表へひしとあたり餘りを裏へ丈夫に打込也文字の意味を考へ可致へき事なり
無的刀 目當とする所なり
中極意電光之本意
初本に持左右えはらう 刀をさしなから行敵は居合の上手なれはきうにぬき合寸は敵に利あり仍てあとへよりなからぬきあはせ切込寸右より左へこふしをとり又左より右へ同し
一 平常中角ヲ鍛煉スル事 平日迚も中角を心持る是もさしなから行切込所を誠に柄にて中角をかゝう
一 柄砕中位迄ヲ傳可申事 柄をとらし候寸鍔と頭を持敵よりをさはあとへよりひかはゆき間合に頭をひねる也
一 サヱテノ事 人のけんくはてもする寸とりサヱテにはいる寸一法の柄を両手にもち左の足を先の右の足のうしろえやり其刀にて敵をふせく也
一 闇夜之事 闇夜には太刀をかさし下に居ること雲すきにもしえよし云えのうちにてはなをさらみえぬゆえ太刀へあたるをあてに敵をきりをとのせぬようにわきへよる 尤いきづかいをかんがうべし
一 太刀打合左右へ組様度々稽古腰〆リ大事ノ事 敵より足などへくむ寸右の足と右の手にて背骨をあて刀を其侭ぬき首ををしきる
中極意 五位先後一事水車之位
随位刀 ○強弱輕重遠近急緩(ゆるかせ)に随かふ位也すへて五位の術は一ちの事位也しかれと共一術万術別に付て名を解くときはそれヽヽ主ところの利をわかち云心を持あり自(し)せんに随行する位也依て随位刀と云この太刀の心持にて未の四刀の意をも観え知も執行すべし
△打中段右へ太刀を下けふりまきながら行太刀を出をしくと向よりうつを打の左へうけひらきにひらき手本を打いくとにても 尤左右共
妙殺刀 ○妙は心の妙用殺は邪て殺す也前解にも云が如く太刀の銘解は一通りに輕く見どころも又傳事理をつけ過たるはすべて術の本意を貴事をヽきをや心得あるべし
△表六本めの間合に先動さるゆえ右へひらき切先に身を入れ右の足にて打込引心持
心活刀 ○其事理忘に能應して自己の活性を現する也
△表十二本目のところ突込少ししつむ心持打所にて太刀のはるれるのか
連重刀 ○其事理重り重ねてさらに止らす
△上段にてすり込切下けるいくとにてもうけなりにすり込手本切ひらく
無中刀 ○畢竟無の中の一刀と見る意味面白し
△表十六本めのことくしかけうらえ手本高くうけつくともきるとも位の至極かなんともなく妙の場
□五本一本とみてよろしく内三本はうちてはとをくなり其中より無中刀
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