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鐘巻外他通宗剣法哥仙

  掲載史料及び参考資料
『鐘巻外他通宗剣法哥仙』私蔵文書



 鐘巻外他通宗剣法哥仙

風に立浪に白鷗のうくことく
  出るもひくもつれてこそひけ

兵法は勝と斗[ばかり]につかふまし
  敵のしかけに勝ち負けはあれ

鍔は只にきりの楯と聞物を
  ちいさくこのむ人はあらじな

上手にも手はなきものそたはかれ
  とあやまらぬこそ常のやうじん

兵法は流儀あまたにわかれとも
  その水かみはおなしいけ水

何事も師の半学と聞ものお
  くれる人はうらやまれぬる

名を得たる上手なりとも人の
  藝そしれるひとは玉に疵なり

切むすぶ心いかにもしつかなり
  せうぶは秋のいなつまのかけ

人の藝善悪さらに沙汰するな
  そねむ心とはや人の知る

兵ほうは太刀やかたなと頼むこそ
  丸きこゝろをしらぬものなり

目と足とこふしに心つけてみよ
  是を三がとつたへきゝぬる

太刀かたな持ての内の心には
  生死の二字をわすれはしすな

敵よりもつよく打こむ物ならは
  のこりの勝をおもひわすれな

兵法の大事といふは手の内と
    ならひ
 心得知て習うくへし

向ふ敵只壱人とおもふまし
  四方にまかれて有と知へし

抜すとも太刀やかたなと油断すな
  いつも心に敵をあらせて

浮しづみ前後そのまゝある身こそ
  無形無心の善あくといふ

染ねとも紅葉の秋は有ものを
  いろをあらはす人は下手なり

池水にうつる月影のみをみて
  そらにあるそとしらぬはかなさ

目には見て手にはとられぬ月かけを
  いつれの人か是にかたまし

太刀かたなあまさて物を切ものと
  切へき道をつねに師にとへ

打太刀の位をふ□□[かく]ならふへし
  切にきられすきらできらなん

切とむる太刀の手の内ふかく知れ
  留ねばとまるとめてとまらぬ

抜といな敵に飛つく太刀もかな
  剣躰はなれかつ事もなし

己か身のなすわさ事のとかゆへに
  心の敵に攻められそする

かけ形ちなきは心とさとりゑば
  何の太刀かこ水を切らまし

二つなき心と人の知るならは
  しとろもとろに道はまよはじ

兵法は勝かまくるかわかこゝろ
  あるかなきかを世の常にとへ

身は下手とみるこそ後は上手なれ
  心うちばに常に師にとへ

闇の夜に鳴ぬを尋るは
  きたらぬ敵のこゑをこそきけ

兵法は究る人のたなこゝろ
   勝も負るも他になきもの

兵法は太刀や刀を打ち捨て
  敵なき人を名人といふ

ふると見ばつもらぬさきにはらふへし
  風ある松に雪折れは無し

ふらばふれつもらばつもれ其侭に
  柳のゑたに雪おれはなし

浦嶋の道をいそけば其まゝに
  入江小嶋にふねはつきぬる

いそけたゝいつれの道をまなふとも
  老て□のつきそ甲斐なし
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