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杉浦派一刀流の註釈書 文政編

筆者は常陸笠間藩の一刀流師役九代目 杉浦景高。嘉永4年3月、弟子の田口重良が本目録決心の段階に至り写すことを免されました。

本書の由来について奥書はありません。巻末に鈴木根睢が病中 杉浦景高へ送った歌が記されており、こゝに「一刀正統十世 七十翁根睢書」とあることから、本書は文政期に認められたと考えられます。よって本書を仮に「文政編」と題しました。
掲載史料及び参考資料
『杉浦景高技法註釈書 文政編』個人蔵
表五段之仕組
電光 不動釼とも云い、人生れてエナを持ちたる形〔打〕より中陰に打ち出すを、右の足を先へ出し向青眼に受け留めるを、〔打〕の左へ廻り切る
明車 相陰、〔打〕より間合にて中角へ打ち出すを、打ち落とし、〔打〕より又左の肩へかけ打ち出すを、裏にて受け留め、〔打〕の右へ廻り切る
圓流 〔打〕中陰、下段にて行き、〔打〕より中角へ打ち出すを、左の足より左へ替り左の足を入れ切る
切留 〔打〕同じ、向青眼にて行き、〔打〕より中角へ打ち出すを、切り留め、〔打〕の左へ廻り切る
飛鳥 〔打〕少し高く向青眼、陰にて行き、中角へ打ち込み、又〔打〕より振り上げて打ち出すを、〔打〕の左より右へ手元の下を取り、右へ飛び開く
裏五天之位
妙剣 〔打〕向青眼、車より〔打〕の左へ右の足を開き右の足を踏み出すと一所(同時)に車より中角へ打ち出す、又〔打〕より中角へ打ち出すを向青眼に受ける
絶妙剣 相向青眼、太刀を中程合わせ摺り込み、又〔打〕より裏を打つを受け、〔打〕の右へ廻り切る
真剣 相向青眼、間合にて〔打〕より中角へ打ち込むを、太刀をかぶり後へ足を一足に抜き、〔打〕の右へ左の足を入れ切る
金翅鳥王剣 相陰、〔打〕より鉢巻通りを巻く下を体を低く、〔打〕の左より右へ大きく巻き、尤も右の足を廻し、〔打〕の右へ廻り切る
獨妙剣 相陰、〔打〕より中角を打つ頭を打ち下ろし、又〔打〕の左の肩へ掛け切り下ろし、太刀を下げ引く
三行之位
風車 陰之位 相車にて、〔打〕より中角へ切り込むを、右の足より後へ引き、左の足を上げ直に左の足を入れ、右の足を入ると一所に〔打〕の両手元を切る
風車 陽之位 〔打〕中陰、平青眼にて行き、〔打〕より中角へ出すを、左の足より〔打〕の左の方へ開き、右の足を上げその足にて〔打〕の左より切る
発的 進之位 相陰にて、〔打〕より中角へ打ち込むを、真中にて受ける
発的 退之位 相陰、〔打〕より中角へ打ち込むを、太刀をしぼり一足に引き、右の足を入れ〔打〕の左の方へ廻り切る、尤も踏み替る
流玉 左身 〔打〕中陰、下段にて行き、〔打〕より表真中を打つを、表にて下より上げ受ける
流玉 右身 〔打〕中陰、下段にて行き、〔打〕より裏真中を打つを、裏にて下より上げ受ける
十六本之早遣
相中陰、〔打〕より真向を打つを、向青眼に受け
相陰、〔打〕より中角へ打ち込むを、打ち落とし、又〔打〕裏を打つを、受け摺り込み
〔打〕中陰より打ち出す、下段にて横へ抜け
〔打〕中陰より打ち出すを、向青眼にて切り留め
〔打〕向青眼、少し高く構え、陰より中角へ打ち込み、左より右へ下を飛び
〔打〕向青眼、車にて真向へ右の足を入れ打ち込み
又〔打〕より打ち込むを、表にて受け摺り込み、又〔打〕より打ち込むを裏にて受け摺り込み
〔打〕中陰、左の後へ廻し、向青眼に付ける、〔打〕も向青眼にて打つを、真中へ太刀を高くかぶり後へ抜け
相陰、右の足に付け左右へ手を拂い
又相陰にて〔打〕より出すを、真向を打ち込み
風陰 相車にて行き、〔打〕より真中を打つを、後へ抜け、尤も足も引き、左の足上げ
風陽 〔打〕中陰、平青眼に付け行き、〔打〕より真向を打つを、〔打〕の左より右へ手元をとり開く左右の足に付け
発進 相陰にて行き、〔打〕より真向を打つを、向青眼にて受け
発退 又相陰にて、真向を〔打〕より打つを、太刀後へかぶり抜け、〔打〕より陰より真中を打つを、陰にて打ち込み
流左 〔打〕中陰にて真向を打つを、下段にて表で受け摺り込み
流右 又〔打〕中陰にて真向を打つを、下段にて裏で受け摺り込む
天狗象
本法は〔遣手〕左の足を立て折り敷き、〔打〕は右の足を立て折り敷き
〔打〕向青眼、車より真直ぐに向青眼に付け合わせ、〔打〕中陰にて右の背先へ掛け切るを、右の足を後へ引き体を替り、〔打〕の右の手切り、両カスミに構え、〔打〕より左の背先を切るを、左の足を後へ引き体を替り、〔打〕の左の手を切る、〔打〕より下段にて突くを、太刀を下げ右の足を先へ出し拂い、又〔打〕より面を打つを、右の足を引き表にて受け、〔打〕中陰にて後へ引くを、太刀を左へ廻し向青眼に付ける、〔打〕右より左へ押すを押し返し、又〔打〕より真中を打つを太刀を左の後へ体ともに引き直に真中を打ち、間遠くへ又一足進み太刀の鍔に左の足を掛け、〔打〕より真向を打つを向青眼に受け、尤も少し引く少し沈み〔打〕より左の小手を取り、初め2本は一足づつ後へ引き、後2本は一足づつ先へ出る、尤も初め2本は小手片シへ掛け、後2本は両小手へ掛けるなり、それより〔打〕は八相に構え左の足を先へ出し車にて下より上へ拂い上げ、又左の足も入れ下より上へ拂い上げ、カスミに付ける、〔打〕より右の横を打つを拂いて眼を切る
小太刀 シンケ柄中をとり直に手を切りもよし
捨身刀 〔打〕陰、小太刀をヘソの辺に一文字に持ち左の手切先に添え行き、〔打〕真中を打つを、頭の上にて右の如く体を右の足を立て折り敷き受ける、〔打〕の柄中を左の手にて持ち一足に踏み立ち、右の足を後へ引くと一所に引き付け首を切る
表裏刀 同じ如く行き、〔打〕真中を打つを右の如く足を一文字に踏み、右の足を入れ左の足を〔打〕の両足の間へ踏み、尤も一重身になり左の肘を〔打〕の胸へ当て、フラリと退り、尤も左膝頭と左肘と突く位が良し
守攻刀 同じ構え行き、〔打〕より真向を打つを、後へ太刀をかぶり抜け、〔打〕より又打つを、手の下を左より右へ飛び直に切る
攻守刀 〔打〕陰、青眼に付け行き、〔打〕より出すを合わせ、直に〔打〕の左の手を切る
逆思刀 〔打〕下段、頭の上にかざし行き、〔打〕より突っ込むを、右の足を踏み出し上より拂い、又〔打〕より真向を打つ処、〔打〕の左より右へ手の下を飛んで直に切る
小太刀仕組
小太刀一 〔打〕陰、車にて行き、〔打〕より真中を打つを、後へ抜ける、〔打〕より下段にて詰めるを、右の足を入れ〔打〕の左の手を切る、又〔打〕より打つを、下より切り上げ切り下げる、〔打〕より真向を打つを、折り敷きて真向にて受け、直に〔打〕の拳へ付ける
小太刀二 〔打〕陰、車にて行き、〔打〕真向を打つを、抜ける、〔打〕より腹を突くを、右の足を入れ太刀を拂い、又〔打〕より振り上げて打つを、左より右へ下を飛び、又〔打〕より打つを、右より左へ飛ぶ
小太刀三 〔打〕陰、車にて行き、間合にて、右の足を入れ下より上へ面へ付け、又〔打〕より打つを、左へ太刀を後へ上より廻し、尤も右の手にて中取りして、左の足を入れ下より上へ面へ付ける
小太刀四 〔打〕陰、太刀を横にして腹に添え左の手にて切先ヘ添え、間合にて、切先を左へ大きく巻き、右の手にて中取り左の手にて柄持ち肘へ付ける
小太刀五 構え同じ、間合にて、〔打〕より真向を打つを、後へ抜け、〔打〕より振るを、一重身になり太刀を前に立て切先を下げ、尤も切先を左の手にて持ち頭体を囲い真直ぐに入り込む
センユ
〔打〕陰、太刀を横に腹に添え左の手にて切先添え行き、〔打〕より真向を打つを、右の足を立て此くの如く太刀をかざし、〔打〕は後へ少し引き太刀を左へ廻し真中を打つ、間遠くゆえ又打つ、〔打〕より真中を右の足を後へ引き、又〔打〕より真向を打つを、此くの如く右の足を先へ出し受け、〔打〕より腰を突くを、左より拂い、直に〔打〕の右の手を切る、又〔打〕より真向を打つを、此くの如く受け押すを、右へ流し、二度又打つを、同じく受け、〔打〕より押すを、左へ流し首切る、尤も一足づつ引く
ナガシナヘ
相陰、上より大きく向青眼に出し拳へ付け詰める、尤も金を蹴上げる
相陰、〔打〕より拳を打つ、直に面を打つ
相陰、〔打〕より表を打つを、受ける、又打つを受ける、又裏打つを受ける、体は左の足を先へ出し居る、二三度ばかり受ける、直に面を打つ
相青眼、〔打〕より真中を打つを、高く受け、又打つを同じく受け、裏を打つを拂い二三度、尤も右の足を先へ出し居る、面を打つ
〔打〕中陰、下段にて行き、〔打〕より真中を打つを、太刀を高く真向へ抜け、直に左の足を入れホンホンと二つ続け打つ
二刀
無邪刀 〔打〕陰、”小”を前へ出し”大”を車に持ち行き、〔打〕より真中を打つを、”小”にて受け”大”にて面を打つ、”小”を前に出し”大”を高く陰に構え引く
強弱刀 構え同じ行く、〔打〕より真中を打つを、”小”にて受け”大”にて直に面を打つ、尤も早く打つ構え前に同じ
左上刀 〔打〕陰、太刀を下段に組んで間合まで行き、〔打〕より真中を打つ頭を、飛び込んでヒシ(肘、菱)に付ける、尤も此くの如し
間取刀 構え同じ、行き、〔打〕より打つを、後へ抜け、直に上より〔打〕の両手を押さえる
手離刀 〔打〕陰、”小”を前へ出し”大”を車に持ち間合へ詰める、太刀を投げるを、〔打〕より拂い落とし、”大”を両に持ち面を二つ続けて打つ
八風
強釼 相陰、〔打〕より向青眼に出すを、真直ぐに向青眼に詰める
口傳、同じ構えにて詰める、〔打〕より突っ込むを、向うの氣を抜く心持ちにて太刀を少し立てる
弱釼 相陰、前に同じ、詰めるを、〔打〕より押すを、右の手ばかりにて左の手を離し、一重身になり、尤も左の手は左の足の膝に置き、左の手にて〔打〕の右の手をはね、左の足も入れ両手にて柄を切る
口傳、同じ構えにて、〔打〕より押す先を、右(右)の足を先へ出し一重身になり、直に柄頭を面へ当て、向うの右の手を両手にて柄共に〆、〔打〕の右へ廻る
進釼 初めは両方共太刀を下に置き、相下段にて、〔遣手〕より少し進み、〔打〕陰より真直ぐに打つを、折り敷き〔打〕の柄中を留める、尤も両方共少し後へ引く
口傳、構え同じ、少し進み面を突くを、〔打〕は向青眼にて受けるゆえ、直に面を打つを折り敷き、尤も両方共少し後へ引く
退釼 前の如く、初めは太刀を下に置き、〔打〕陰より進み真直ぐに打つを、少し退き、〔打〕の柄中を取り折り敷く
又口傳に、〔打〕構え同じ、進み、真直ぐに打つを、下段より下を突くなりに、直に太刀をかぶり後へ投げ、飛び込み折り敷き、頭を向うのヘソへ當り、両横腹へ両手を握り拳を當てる(原文:ニキリフシヲ當ル)
左釼/右釼 相陰、〔打〕より真向を打つを、左右共足に付け、受け進む
口傳は構え同じ、〔打〕より打ち込むを、表を受け、裏を打つを、真直ぐに面へ付ける
天釼/地釼 相陰にて、〔打〕は向青眼に出すを、向うへ投げるように打ち込み、余りを誠に軽く打ち下ろし折り敷き、〔打〕より打つを、左より右へ手の下を取り開く、尤も〔打〕の左の時左の足先、右の時右の足先を先にする
口傳、構え同じ、前の如く、〔打〕より出すを、向うへ投げるように打ち込み、余りを少し打ち下ろし、下段にてジリジリと〔打〕の拳へ詰める
必勝之事
玉簾 相陰、右の足を入れ浅く打ち込み、〔打〕より真中へ深く打ち込むを、左の足と入れ替り〔打〕の真中へ切先を下より〔打〕の両手の中へ掛け打つ、太刀を後へかぶり投げる、尤も右の手にて中とりす、〔打〕より入り込むを柄頭にて面へ當る
口傳、構えより中とりするまで前に同じ、〔打〕より入り込みて左の足を取るを、柄頭にて背中の五ノツへ當てる
八重垣 〔打〕小太刀にて入身下段にて詰めるを、陰にて深く見せて、左の足を先へ出し一重身になり、太刀を低く下ろし囲う二三度なり、〔打〕より小太刀を面へ投げるを、太刀にて拂い、〔打〕より入り込むを、右の手を顔へ當て氣を抜く
口傳、構え同じ、〔打〕より詰めるを、〔打〕の右の手元へ切先を掛け、〔打〕一足づつ引く、幾度にても
山動 相陰、〔打〕より間合にて振るを高青眼に直し、切先の背中へ付く位に大きく〔打〕の手元を打つ、幾度にても口傳、構え同じ、間合にて〔打〕の左の拳を打つ
稲妻 相陰、〔打〕より向青眼に直し突っ込むを、右の足を入れ表に受け、柄にて裏へ返し、尤も氣の止らず押し込む頭を返す、それよりそのまま向青眼真直ぐに詰める、左の足にて金(股間)を蹴上げる
口傳 構え同じく受け右の足一足引き裏へ切先体共替り右の手を切る (原文:金ヲケ上ル→金を蹴上げる)
鳥雲 相陰、〔遣手〕より仕掛け實に鳥の羽返しの如く、〔打〕の左の後へ廻り背より一尺ばかりも離れ、向青眼のように構えて背に付け左右へ廻る
口傳、構え同じ、〔遣手〕より仕掛け間合にて、〔打〕の左の拳へ切先を付け、押し込みながら突き上げ、直に折り敷き〔打〕の右の足の親指と人差指との間を柄頭にて突く、切先を〔打〕顎へ掛けはねる、尤も折り敷き指突く時は一拍子にて〔打〕の氣を抜く心持ちなり (原文:アンゴウ→顎)
長蛇 相陰、間合にて右の足を入れ〔打〕の柄右の手指を拂い、直に真中を打つと高く受ける、左の足を入れ右の手にて太刀の中を持ち左の手にて柄を持ち、下より顔へ柄頭を當てるを、〔受〕より構えを下げ、下を囲うを切先を上へ返し喉へ當て、右の足を入れ替ると〔受〕より右の手に顔を叩くを、右の手にて受けるなりに、手を握り太刀添え手を捩じる
口傳、相陰、間合にて、右の足を入れ〔打〕の柄両手の指を上より左右へ拂い、直に陰に持ち引く
下段詰 〔打〕陰、〔遣手〕下段、〔打〕より向青眼に直し突っ込むを、向青眼に受け、少し足を引き右の手にて太刀中を取り、上より棟へ真直ぐに當て、右の足を〔打〕の右足の指間を踏み、右の踵にて踏む急所なり
口傳、構え同じ、業も同じ、胸へ當て、切先にて喉をはねる、尤も〔打〕の左へはねる
口傳、構え・業同じ、〔打〕より突っ込むを、表にて受け、直に居り敷き太刀の柄頭にて〔打〕の右足を一拍子に突く也
刃引 表十一本目より十六本目迄(三行之位)を遣う
三寸之乗 切る・抜ける・乗る一拍子なり
相陰、〔遣手〕より〔打〕の拳を右足を入れ切り、〔打〕より拳を打つを、少し引き抜き直に〔打〕の太刀に〔遣手〕太刀を添えアンカフへ切先を掛け、背へ廻り左足を入れ一重身になり、左の手にて太刀の切先へ掛け引き付け、向うへ付けると一所に左の手を背へ當て、右の手〔受〕のヘソより足へ手を廻し、引くと付けると一所に向うへ倒し、〔打〕の右足を立て足首を左の手にて持ち右の手にて指先を持ち、〔打〕の超える方へ足先を廻す
口傳、相陰、間合にて、〔打〕の拳を打ち引く
無刀取 〔打〕陰より真向を打つを、〔遣手〕無刀にて右足を入れ、〔打〕の右より打つ太刀を巻きかかえるように柄を両手にて〔打〕の手共に取り、〔打〕より引くを添えながら〔打〕の太刀切先を土へ突っ込み、切先を右の足にて踏み、〔打〕の右の手親指を右の手にて開く
九曜

両構え、エナを持ちたる心持ち、頭の上に真直ぐに高く構え、目をねむらずとも心にてねむる心持ち、〔打〕も同意、ソコリソコリとそばまで詰める、そのまま後へ元の如く引く

構え前の如く、右の手鍔元、左の手柄頭、モハヤ陰陽と左右の手へ分れ、目を明けたる如くソコリソコリと詰める、〔打〕より真直ぐに下ろす、その上へ同じように下ろす、そのまま引く
構え相陰、間合にて、〔打〕より向青眼に打ち出すを、向青眼に受ける、尤も右の足を先へ出す、人の形ちそのまま引く
相向青眼、〔遣手〕より仕掛け、八風・強釼の如くスラリスラリと面へ詰める、そのまま引く
相向青眼、同じく仕掛け、詰めるを、〔打〕より押すを、柳に風の當るように少しもこだわらず、〔打〕の手下へ太刀の切先を付ける、そのまま引く
相向青眼、同じく仕掛け、〔打〕高青眼に構えると、〔遣手〕その上へ位のかかるように高青眼に構え位を取る、そのまま引く
相高青眼、仕掛け、〔受〕より真中を打つと、〔遣手〕左の足を引き肘も引き一重身になり八相に構え足拍子を踏み、又〔打〕より真中を打つを、左へ体構え同じく替り足拍子を踏み、又〔打〕より真中を打つを、左の足を立て折り敷き、〔打〕の手元へ太刀先を付け入れ込む、そのまま引く
〔打〕向青眼、”遣手”下段にて仕掛け、表へ突っ込むを、〔打〕より切先にて押さえる処を、裏へ体共に左の足を立て折り敷き、手元を取り引く
(虎の乱れたるを押さえてみたれるとは、治まるともよむ、虎のようなる勢いを持っておる)
相陰にて、目當と云う所なく、スラリスラリと押し込む、引かば行く心持なり、そのまま引く

中極意居合
敵後ろより声を掛けると、直に〔遣手〕左の足を先へ踏み出しなりに太刀を抜き、片手にて此くの如く受け、直に〔打〕の柄中を切り、刃を返し右の指を切る、尤も初め〔打〕より声を掛け直に真中を打つ
一 平常中角ヨリ鍛煉スル事 〔打〕高青眼、〔遣手〕太刀を差しながら間合へ詰める、〔打〕より真中表裏を打つを、刀差しながら柄頭にて受ける、太刀はどこに有りても中角の外れぬ心持ち
一 柄砕中位迄ヲ傳可申事 両太刀を差しながら行き合う時、〔打〕より両手にて柄を握る、〔遣手〕左の手人指し指にて抜かれぬように鍔へ掛け、右の手にて〔打〕の手と自分の柄頭とを一所に持ち、押せば引き、引かば行き、〔打〕の面へ大きく柄頭を廻し挫き、手を離し、直に〔打〕より右の足を取るを、少し沈み手にて眉間へ平手を當て、柄を持つ右の手肘を、背中五ノツへ當り、太刀抜き、〔打〕の首を摺り切る
一 サエテ之事 仕合など致したる処へ行き合い、取り鎮めにかかり候時、サエテで御座候と云いながら、一方の後ろへ廻り、左右の手にて柄を持ち、〔打〕の両足の間へ左の足を入れ、左右を止め、両方へキズの付けぬように分けるをサエテと云う
一 闇夜之事 太刀をかざし体を低く、右の足を立て折敷き、〔打〕より真中を一本二本に當るをカネ(曲尺)に、自分の左へ太刀を廻し、地をカネ(曲尺)に太刀を摺り、〔打〕の足首を切る、又直ぐに後へ成る丈け遠く引き、元の如く構え、誠に静かに敵の氣をうかがう、幾度にて同じ
一 太刀打合左右江組合様度々稽古腰〆リ大事之事 相陰、〔打〕より真中を表電光の如く受けなりに太刀を捨て、〔打〕の右へ無刀取の如く入り込み、フラリと退り、無刀取と同じ
九曜傳
右本書之外附傳 表十六本之遣方
電光 構え同じ、〔打〕より真中を打つを、同じように受け、直に〔打〕の柄中を切先にて取り、そのまま引く
明車 〔打〕構え同じ、〔遣手〕太刀を車に構え行き、〔打〕より真中を打つを、〔遣手〕太刀の棟を返し打ち落とし、〔打〕より左へ切先を廻し打ち込むを、〔遣手〕も左へ切先を廻し〔打〕の首へ掛け、左の足を入れ切り、そのまま引く
圓流 構え同じ、〔打〕より真中を打つを、下段にて打ち、太刀に當てながら後へ受け流し、左の足を入れ〔打〕の手元を切り、そのまま引く
切留 構え同じ、〔打〕より真中を打つを、〔遣手〕〔打〕の柄中を早く取り、直に表の如く受け、そのまま引く
飛鳥 構え同じ、間合にて、〔遣手〕太刀の棟へ返し打ち込み、太刀を自分の左へ廻し左の足も入れ、太刀先を〔打〕の右首へ掛け切り、そのまま引く
裏五天之位
妙剣
絶妙剣
真剣
構え6本目の如く仕掛け、間合にて、7本目の如く構え、同じように摺り込み、又〔打〕より打ち込むを、後へ高く抜け足も一足に抜け、直に〔打〕の両手の間を切り、そのまま引く
金翅鳥王剣
獨妙剣
構え同じ、間合にて、〔遣手〕太刀をグルリと大きく巻くを、〔打〕より右の拳を打つを、〔遣手〕太刀の平にて拂い、又〔打〕より右首へ掛け打つを、〔遣手〕太刀を左へ廻し〔打〕の右首へ掛け、体を替り打つ、そのまま太刀を下げ引く
三行之位
風車 陰之位
風車 陽之位
構え同じ、〔打〕より真中を打つを、〔遣手〕右へ少し開き左足先へ出し、右の手にて切先を〔打〕の左の背より手元まで大きく切り下げ、又左へ開き、右足先へ出し、左へ切先大きく廻し、右の手にて切先を〔打〕の右肩へ掛け手元まで大きく切り下げ、そのまま太刀を下げ引く
発的 進之位 構え同じ、〔打〕より真中を打つを、直に右足を入れ〔打〕の柄中へ切先を當て、刃を上へ返し〔打〕の右の手指を柄摺り切る、片刃切り也、そのまま引く
発的 退之位 構え同じ、〔打〕より真中を打つを、〔遣手〕少し肘をしぼり引き、ズイと〔打〕の柄中へ切先を下ろす、そのまま太刀を下げ引く
流玉 左身 構え同じ、〔打〕より表を打つを太刀をかぶり折り敷き、左足先へ出し立ち、受け流し左へ切先を廻し、地摺り足首を切る、そのまま引く
流玉 右身 構え同じ、〔打〕より裏を打つを太刀をかぶり折り敷き、右足先へ出し立ち、受け流し右へ切先を廻し、地摺り足首を切る、そのまま引く
五位先後一事之位
随位刀 相向青眼にて付け行き、強釼の如く
妙殺刀 〔打〕陰より真中を打つを、〔遣手〕車にて大きく〔打〕の頭へ掛け、右の足を入れ打ち込み折り敷き、向青眼にて太刀を巻く
心活刀 〔打〕陰、〔遣手〕車にて下より右足入れ面へ付ける、又右足引き陰に構え左の足を上げ妙殺刀の如く〔打〕より打ち出す処を、右足入れ打ち込み折り敷き、向青眼にて太刀を巻く
連重刀 相陰、〔遣手〕太刀を巻きながら行き、それよりサエテ打ち込む心得なり
無中刀 〔打〕陰、電光にても良し、〔遣手〕下段にて表へ突く色を見せて防ぐを、裏へ替り、左足先へ出し切先へ左の手を添え、突っ込み折り敷く
中極意電光之本意
発拂刀 陰 〔打〕陰、〔遣手〕片手車にて〔打〕の右のカタ先より大きく切り下げ、又〔打〕の右へ開き左のカタ先より大きく切り下げる
発拂刀 陽 〔打〕陰、〔遣手〕片手車にて〔打〕の左の脇腹より下より上へ大きく切り上げ、又〔打〕の右へ開き右の脇の下より上へ大きく切り上げる
根睢先生病中に景高先生ヘオクラレ候歌
 強からず弱からすおのつから よろつの所作は先次第なり 一刀正統十世 七十翁根睢
根睢先生之辞世に
 花も根にかへる我身や土の中
根睢先生之咄に
 景同の遣方は柔く白井の遣形は堅く殿老人見るに余り堅きは面白からず大蔵殿六郎治殿は同意の由
毎々景高先生へ咄しのよし
 素水先生之弟子に鈴木氏に景同白井氏 毛利様御内に堀内善六四人は能被遣候由

 大勢に取囲たる時は流玉を幾度も遣がよし
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