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安政三年江戸日記 個人蔵

嘉永六年江戸近海に異国舩が渡来したことによって俄かに海防問題が浮上、二年後の安政二年、公儀より諸藩へ鉄炮稽古四季共勝手次第の旨、御觸あり。

当時、播磨姫路藩の不易流炮術師役であった三俣義陳は、藩より度々江戸在番を命ぜられるもその都度沙汰止みになっていたところ、安政三年いよいよ不易流炮術御用につき江戸在番を命ぜられます。

時に姫路藩の藩主は七代目酒井忠顕公(廿一歳)、家督を継いで四年目です。義陳は五代目酒井忠学公、六代目酒井忠宝公に仕え、臺場の築造、西洋流の導入に関わり、酒井忠顕公の炮術指南役でもあった三俣義陳はこの年五十歳、藩内炮術諸流派の中でも重きを為す存在でありました。
猶、こゝに掲げた在番日記は安政三年九月四日から同年十二月晦日までの期間でありますが、在番御免となったのは翌年七月十九日のことです。


一、翻刻文の所々に三俣義陳の書簡を引用しました。これによって日記記事の状況がより詳しく分るのではないかと思います。
一、「崇福寺」は酒井忠世によって建立され、大火の後酒井忠清によって浅草の地に再建された酒井家の菩提寺です。
掲載史料及び参考資料
『安政三年江戸日記』個人蔵

安政三丙辰年九月四日より

 江戸
  日記


   九月四日終日雨

一 程ヶ谷御泊りにて暁八つ時御立
  品川迄御供致候
  御廻勤有之に付行供に相成踏込着但
  野羽織相用下駄懸にて往来通り参
  呉服橋より入可申候処 御普請中に付
  常盤橋より入候て 御上屋敷通用
  御門より入中の口より御道具相納候事
  御届等も中の口より上り夫々役所へ致
  御年寄斗り廻勤酒井氏にて酒飯給り
  夫より夜分五時過御中屋敷山田氏へ
  参り申候但暫くの内山田氏に同居の事

   同五日曇

一 御殿へ罷出判鑑夫々へ出候 昼飯
  酒井にて給り御添地廻勤等致候事

   同六日曇り夜入晴る

一 御中屋敷并御新屋敷廻勤山田氏
  初七日に付夜食被振廻候事

   同七日晴る

一 御上屋敷へ参り夫より巣鴨御屋敷へ
  参り諸向廻勤の事

   同八日晴

一 惣御供の者へ 御詞御褒美有之
  但意氣揚殿より御達有之引續き
  大目付役所にて筆頭の者斗罷出
  御道中大風雨の節一統骨折相勤
  候に付 御内々にて御酒代金弐朱も
  被下置候
一 右金子大納戸にて渡り受取同勤へ相渡
一 宿銭方にて御道中諸勘定致候残金
  并川支の分等受取但井上氏にて昼飯認[給]

   同九日暁七時前より雨

一 重陽御礼申上る
  但御参勤御礼前に付御登 城無之
  御座敷廻り有之巣鴨御下屋敷へ
  御機嫌為御伺被為 入候事
一 八時揃にて御道中 御供方斗 御酒
  被下有之罷出 但むしり肴にて被下候事

   同十日晴

一 崇福寺へ自■に罷越夫より隅田川
  御屋敷へ罷越夕方帰る

   同十一日天氣

一 御徒士頭初御供番御徒士等昼後
  出立致候右に付色々□物致 暇乞
  旁見立に参候事
一 御國産方交代の両人今朝着福田
  佐久助同道にて参候
一 明朝御坊主方出立に付松岡氏へ雪駄
  宅へ海苔頼遣候事

   同十二日晴

  無事   夜薬師参り

   同十三日晴

一 早朝尾崎氏より吉田氏惣之進よりの手紙届来る
一 整右衛門今日忌 御免にて出勤

   同十四日曇天夕方より雨天

一 無事   沢瀉屋来る

   同十五日曇時々雨昼前より風交
       にて雨降八半過より上る

一 姫路への手紙昨今認

   同十六日七つ時前より雷雨にて
       少々晴懸又候雷鳴雨
       直様晴る

一 本〆へ御扶持方の事又候懸合
一 孫八郎同道にて芝神明へ参詣喜代川にて
  鱧給候事
一 姫路御便出に付向々へ差出す

   同十七日晴る

一 坂部氏騎馬懸昨夕出来に付種村氏へ頼
  遣候

   同十八日快晴

一 暁方浅草門跡裏出火有之
一 梅澤甚兵衛へ絹麻上下地染相頼
一 本郷武蔵屋へお房きせる頼置候
一 巣鴨へ参り古市茂木等へ参り吉野に悔に
  勝次郎へかんさし催促致候夫より團子坂
  蕎麦給り上野へ廻り浅草へ参詣夕七つ時頃
  帰宅種物調与惣□へ頼遣す

   同十九日晴□□□[る夕より]曇る

一 林屋源蔵へ祐定刀柄□[巻]相頼候
一 植村氏高須笹沼市橋等出立の事

   同廿日昼前時に小雨昼後晴る

一 はい原屋より一本足かんさし持来る
一 大工□[久]兵衛 福田佐久助来る
一 浦井鑑吾 橋本藤左衛門三俣善九郎出立

   同廿一日曇天夕時に小雨夜雨

一 昼後覚心寺へ子供同道佛参

   同廿二日曇り昼頃より雨天

 無事

   同廿三日晴る夕暖氣

一 昼後木舩貫兵衛へ祐定刀研相頼候酒井
  柴田へ参候

   同廿四日快晴夕暖氣

一 昼後春二庄野氏娘同道八幡参り并
  高橋際血の道薬調に参候
一 夜九つ半前四つ谷辺出火のよし

   同廿五日晴る朝寒し
          富士に雪見る

一 御上屋敷へ罷出福田佐久助義手傳
  申立候事
一 酒井氏にて昼飯給る

   同廿六日曇天

一 志賀氏より来十月朔日より炮術稽古
  相始り候旨達有之
一 昨日御手筒懸りより今日御手筒拂等
  有之處合薬不都合に付廿九日に相成候旨
  通達有之

   同廿七日晴る

一 王子邊  御成
一 姫路天野善十郎惣之進連名六日切の
  山田氏へ各當手紙届く但悔斗
一 白倉七左衛門角三枚并はけ反故糊粉
  等持参
一 朔日より稽古始り候旨志水氏へ頼□日向や
  等へ通達致候事
一 本多氏肩衣并お□[房]きせる出来
一 青山氏へ土産為持巣鴨へ□[清]吉遣候事

   同廿八日曇天朝の内少々小雨
         夕方晴る

一 従姫路去る六日日附手紙届く
一 中目付出立に付石田勘九郎岩松氏への二色繪遣
一 八寸銃的張致候事
一 お松春二芳賀同道両国芝居行

   同廿九日晴る

一 昨晩飯田丁中坂辺出火 御上屋敷へ出る
一 御手筒掛に付四時より終日出席
一 喜多猪介へ都筑氏への盆并本多氏肩衣
  頼遣置候

   同晦日晴る

一 終日銃的胡粉引五寸角張不残仕立
一 荒木氏今日立の由為助に手紙頼候



   十月朔日晴る朝五時過地震

一 御側稽古終日

   同二日晴る夜四つ時過少々地震

一 御繰形 御稽古昼後今日より始る
一 柴田十郎左衛門并惣之進お房より十六日付届く
一 御法事御香奠本約出役へ相納る

   同三日曇る夕八時過より雨


   同四日晴る

一 昼後桐久并友吉方へ手土産持参
一 廣大院様十三廻御忌明五日より十日迄於
  増上寺御法事有之旨御觸有之

   同五日曇る昼前より晴る

一 志賀氏同道深川邊へ廻り帰り懸川端屋
  にて酒給候事

   同六日曇る朝五つ半頃より雨夕大雨

一 御便出にて天野柴田へ返事小笠原氏
  母人様へ手紙出す
一 牛込次太夫前橋へ今暁出立塩引鮭相頼

   同七日晴る

一 朝五つ時少々過大地震右に付
  御上屋鋪へ 御機嫌伺に罷出泊井にて
  昼飯給る
一 小笠原助之進より手紙届く
一 近藤練太郎より御扶持方の事手紙にて
  御上屋鋪より申越候
[三俣義陳書簡抜粋 安政三年十月十日付三俣義章宛]

遣申候間左様御承知可被成候兎角
當地悪敷氣候にて去る七日朝五時
少し過余程の地震ゆり申候て何にも
にげ出申候自分には茶漬給り懸候処
にて箸を持候侭走り出大笑ひ致申候
未た御屋敷内格別の御障りも無御座
御上屋鋪にてはかべ大方ぬきの處
ひゞけいき申候御長屋向少々いがみ
候由に御座候何卒此後天變無之様
上下一統祷居申候御遠察可被成候

   同八日晴る 昨夜中より風強し
         夜分静に相成

一 鎌光院様十三回御忌十日御相當に付
  崇福寺にて御茶湯有之旨御觸有之
一 福田佐久助参り白倉運八仮世話の事

   同九日晴る夜風有之

 無記事
一 夜九時過霊岸橋大黒や焼懸る
[三俣義陳書簡抜粋 安政三年十月十日付三俣義章宛]

       大黒屋
昨夜は靈岸橋のうなき屋既に出火に
夜九時過相成懸け火事とわめき候聲
迄も聞へ候處直にうきけ也候て先に
安心致候風も強く其上南風に有之
やけ出候はゝ風下故御屋敷は多分
焼け可申処大仕合の事に有之候今日は
北風強く何卒何事も無之様祈居申候
昼後は崇福寺へ参詣可致と存居候

   同十日晴風有之

一 原田藤左衛門頼に付濱野太郎兵衛方へ
  申遣候處在所知不申候
一 昼後崇福寺へ参詣
一 昨夜より佐久助義出奔と相見へ今朝に至り
  候へとも帰り不申其上書置致居外より
  届来り候に付叔亮と内談致候旨市左衛門義
  暮過罷越咄候事
[三俣義陳書簡抜粋 安政三年十月十日付三俣義章宛]

乍序内々申進置候稽古も相始り
候得共御長屋相渡り不申候に付繰形は
始め不申五日より今日迄は
公儀御法事に付打前も休に相成居申候
稽古日二日 御繰形一六 御側稽古
五日表稽古と定り申候何分江戸表へ
参り居候心持一向致不申候用事の外
他出も致不申留守番致居申候事に候
御遠察可被下候
[三俣義陳書簡引用 安政三年十月十四日付三俣義章宛]

福田佐久助事乍内々申進候
去る九日夕方より出奔致候福田
市左衛門方へ書置致候て行方相知れ
不申候此節色々と相尋候得共手
懸り無之市左衛門様大心配の事に
有之御遠察可被成候先つ外より
相聞へ候はゝ格別先つ當分は御内々に
可被成候何事も後便委細可
申遣先は用事旁如斯に御座候已上

   同十一日晴る

一 原田藤右衛門明日の届に致今夕出立
  牛込次太夫前橋より帰り蕨宿泊りにて今晩
  川崎泊りにて帰り候由原田氏も同宿に致候由
一 高須七郎太夫殿今宵五時出立の由右に付
  惣之進お房への手紙若黨に頼遣候事
一 御側稽古に付矢場へ出席候処出人無之
一 大工久兵衛佐久助の事に付夜分呼寄せ
  内々咄置候事

   同十二日晴る

一 昼後御繰形御稽古原田藤右衛門昨日
          相延今晩出立
一 惣之進より去月晦日付の返書届く家内より
  不残坂部宗左衛門より同断

   同十三日村曇り朝四つ過少々小雨

一 殿様御新屋敷へ被為 入 御中屋敷内
  御長屋廻り有之
一 會津御屋敷荒川善蔵方へ参候事
一 菅野氏縁出来致候事

   同十四日晴る朝霜多し
         昼前曇り夕快晴

一 本多様明晩御出立に付左次衛へ縁
  入手紙頼置候 友太郎に封箱頼遣候事
一 本阿弥并藤堂御上屋鋪へ参候事

   同十五日晴る昼後少々地震

一 角場表稽古終日
一 星野就八より小筒臺繪圖の事申来る
一 小林勝次郎義御用召御土蔵番格被仰付
  在番御免
一 神戸鉄五郎御供の方 龍鑑四郎御小姓被
  仰付候
一 夕伊良子氏にて一盃被振廻候事
一 岡田半五郎去る三日病死の由志賀氏より
  為知有之

   同十六日晴る昼前風有之
         國友堅次郎出精相勤候に付
一 御側稽古終日 御手當金五両被下置
         在番御免

   同十七日曇天 朝の内
          少々地しん

一 御上屋敷へ罷出四両三分筒臺形繪圖
  形取にて星野就八へ渡
一 九月中模合台受取
  井上氏にて昼飯給る

   同十八日朝より雨天

一 他出不致夕四十九日逮夜に付夜食振廻
一 境野伴左衛門明日巣鴨御屋敷へ参候由に付
  勝次郎方へ笄代頼遣候事

   同十九日曇天夕方晴る

一 終日姫路手紙認る
一 福田佐久助出奔の旨今日御届致候由
[三俣義陳書簡引用 安政三年十月十九日付三俣義章宛]

此間内々申進候福田佐久助
事弥今日表向出奔届に
相成申候定て御地の
御親子様には御驚の御事と
奉遠察候右の段申進候已上
 十月十九日

   同廿日曇り昼前より雨天

一 暁七つ半頃より神田橋外三河丁壱丁目
  河岸火事 御上屋鋪へ罷出る
一 大目付大島九郎左衛門より深澤藤右衛門跡
  平御長屋被成御貸候旨手紙到来
  右に付御屋敷目付桜井兵助へ懸合
  御作事吉川嘉十郎へも懸合
  下目付箱田鉄五郎へも懸合候事

   同廿一日晴る暖氣

一 御側向稽古終日
一 昼前浅草辺少々出火
一 下目付より御長屋受取物致候事

   同廿二日曇る時々小雨

一 御繰形御延引
一 在番金受取
一 御近習御用人番部屋へ御長屋相渡候吹聴致候
一 酒井氏にて夜食給る

   同廿三日曇天         油

一 御長屋へ引移大目付庄野慈父左衛門へ届け
  御屋敷目付桜井兵助へ同断
一 山田氏正月に付夜食茶飯給候

   同廿四日快晴暖氣

一 近藤練太郎山田お松同道にて堀の内并
  山王へ参詣
一 永昌院百五拾回御忌今明日崇福寺にて
  御茶湯有之旨尤昨日御觸有之

   同廿五日晴る

一 表稽古出席豊吉斗不放
一 崇福寺へ八つ頃より参詣加藤氏藤吉氏
  同道にて川升にて壱盃給る
一 山田氏法事被呼候事
一 関十郎太夫青木■次郎よりの手紙届く
一 嵐山にて西洋調練老若御見置有之事

   同廿六日曇夕八時過より雨
       夜分雨強く風有之

一 御側向稽古

   同廿七日天氣暖成方 油

一 昼後麻布覚心寺へ佛参
一 竹川町新道濱野太郎兵衛方へ尋参り
  原田藤右衛門太刀金具頼遣候事
一 瀉澤屋鉄炮三挺持参の事
一 御献上昨日着にて干松茸并煎こあい曲物入
  右才領津金省助持参の処留主に付
  山田氏へ届帰り居候事
一 御作事物増尾丈左衛門高橋善馬竹田八重次
  明日出立の由にて暇乞に昨日来る

   同廿八日天氣

一 御便出に付関両人へ返事青木■次郎岩松氏
  惣之進御房への手紙出す
一 桐屋よりの貰肴持参山田にて夜食給る

   同廿九日晴る暮方より風有之

一 本阿弥へ参り松田倉次郎と安綱一件
  懸合候事木舩貫兵衛より祐定の刀昨日廻る
一 御下屋敷へ参り足軽調練見物致候
  勝次郎方にて志賀氏と壱盃給る
一 吉弥鉄炮初申度由にて座禅足持参
一 六匁玉鋳形白倉七右衛門より受取

   同晦日曇天

一 夕志賀氏勝次郎深□薮蕎麦行
[剥落附紙]
   二七夕宅
   三九夕稽古場  井上差合日
  〆五十夕 御


   十一月朔日晴る      油

一 御側稽古昼飯有之
一 従姫路去月廿日付手紙届く
           但し尾崎より

   同二日晴る

一 大工久兵衛より肴差越山田甚右衛門へ遣
一 御稽古に罷出候処俄に 三宅様御人出に付
  御延引に相成諸向無沙汰廻り致候
  犬塚氏にて一盃給る
一 濱野味墨[初代浜野政随]来り重忠好積り書地金共
  金八両三歩と書出候事

   同三日晴る

一 加藤氏より□□□合来る
一 山田氏□□より出勤
一 昨日模合代林甚三郎受取呉候事
一 味墨参り原田氏太刀□□□積り書物致候
一 終日繰形稽古

   同四日晴る

一 去卯年より勤書御徒士目付役所□[へ]差出
  □□[申候]様点懸觸来る右に付星野半兵衛へ
  五日朝懸合にて下書渡置候事
一 昼後大島貫七来る

   同五日晴る

一 築地講武場へ
  御成有之右に付稽古休
一 姫路への手紙認□□□
一 御作事より米澤小右□□[衛門]□□□□罷越候事
一 明暁北□廻り當る□□□氏□□□□□
一 白倉氏より火縄鉛差越

   同六日天氣

一 御側稽古終日
一 昨夕松原氏より煮肴来る
一 今夕小池氏より同断
一 姫路へ手紙原田□左衛門牛込次太夫
│┌下田   ┌小笠原    ┌惣之進
│└坂部へ返事└高須 連名手紙└お房
└右手紙壱封に写し山田氏へ頼役所□□[へ遣]

   同七日晴る朝初氷少々

一 終日写物致す  夜志賀氏来る
一 清吉大鳥大明神行

   同八日晴る

一 繰形稽古
一 昼後八つ時頃より通り三丁目より四丁目迄出火
  七つ時過□[鎮]火
一 夜八つ時過
一 □□通り出火暁頃遠方出火

   同九日晴る

一 六日切□□に付大和文庫三拾七へん
  母人方へ遣す

   同十日晴る

一 終日写物  夕方薬湯行
一 夕方白倉七右衛門来る 久兵衛金壱両□□□

   同十一日晴風有之

一 矢場御繕御普請に付休
一 昨夕大目付より手帋来る右に付罷出庄野
  慈父左衛門より巣鴨御屋敷矢場の儀懸合有之
  右に付明日巣鴨へ罷出可申旨星野就八懸合
  御手筒懸りへ明日の御稽□□□[古の儀]休に被成下□□
  □□[申談]置候事
一 七里継御便出に付川□□□蔵□[へ]相頼海苔
  并お靏へ□□遣候
一 斎藤太助□話候て中心□□[模様]□
一 従姫路□出便坂部岩□大□□[河内]□之進
  お房より手紙来る

   同十二日□[晴]る

一 巣鴨矢場見分に参る但星野氏立合候て
  相済星野にて一盃給る
一 帰路錦屋にて■□□[給る]

   同十三日晴る 静成天氣

一 荘野氏へ昨日の巣鴨矢場模様咄置候
一 小笠原氏より先達の返書来る
一 昨夜九つ時過赤坂回町四丁目火事
一 昼後繰形稽古人来る白倉七右衛門
  重拾匁筒金物持来る

   同十四日晴る

一 朝四つ時前本所入江丁火事有之
一 夕■■□より吉五郎立付古手尋廻り候
  得共無之に付越後屋にて新規に誂の事
  但春二召連□□
一 林屋短刀研出

   同十五日晴る

一 終日写物致す
一 瀉澤屋より鉄炮直段引候旨申来る

   同十六日晴る

一 暁七つ時過より龍閑町門戸河岸出火に付
  御上屋敷へ罷出
一 昼後酒井氏へ参り小筒役所の義
  懸合候事□□火事場見物

   同十七日朝朧曇五半頃より晴る

一 吉澤瀬太夫鉄炮代金弐歩弐朱参
一 小林勝次郎方へ此度調の小筒清吉に為持
  遣候酒井氏の小筒□□□旨申遣す
一 越後屋より立付出来為持来る
一 福田市左衛門明日巣□□□[鴨へ引]越候に付暇乞に来る
一 吉澤瀬太夫より幕の内□□□候

   同十八日晴る

一 林屋源蔵短刀研□□□壱両壱朱渡
  山田拝領刀研に遣候□[但]別鞘蝋色塗も頼
  替鞘の方も渡し遣候
一 酒井氏より蓋物三組□[并]座禅足一生□□
  貝の柱せり一蓋物共に貰候     □□□□し
一 角場繰形稽古
一 清吉昨夜泊りにて朝五つ半頃帰る
一 吉澤瀬太夫へ鉄炮遣候
一 酒井氏へ短筒同断
一 三浦多膳山田氏へ薩州御家中より
  縁組の事申来る

   同十九日晴る暖成方
       夜九つ時頃より風有之

一 昼後春二召連鳥の町行
一 仙臺□有之
一 近藤弥太郎山田氏へ薩州山田惣右衛門
  方妹の義□□□□の次第申来る
一 来る廿□日御新屋敷角前稽古場
  方へ手帋遣候但志賀氏より昨夜達有之
一 本阿弥へ安綱の刀為持遣□□□□

   同廿日晴る

一 角ごふん引候て其外買物
 いと
一 絲姫君様昨十九日御逝去に付
  公方様御忌服被為請候旨御觸
  右御同様に付 晴光院様御姪の御着服
  喜光院様御従弟御同様に付来る廿
  五日迄鳴物御停止□□□は御□無之候
  萬端相慎火の元別て念入に申候様□□
  方例の通 觸来る
一 三浦多膳方へ手紙遣候事

   同廿一日晴る

一 右御停止に付鉄炮稽古場志賀氏
             より□[申]来候
  御手筒懸りよりも前文の趣申来る
一 角星書并写物大目録相済
一 暮方山田氏より惣之進よりの手紙届
  来る尤去る九日十日付也金壱両来る

   同廿二日晴る

一 御繰形御延引申来る
一 六日切御便りに付両度の返事出す
一 瀉澤屋へ金壱両三歩鉄炮三挺代渡す

   同廿三日村曇り寒し 夜
             快晴

一 太田彦左衛門昨廿二日御用済に付勝手
  次第可致出立旨達有之尤下役両人
  も同様の事
一 繰形稽古  夜山田にて肩の辺灸治
一 今暁八つ時前より上野下た寺出火

   同廿□□[四日]晴る寒し

一 朝六時前より□□[堀]辺出火
一 夕八つ時頃本所邊出火
一 山田氏にて夜食太田彦左衛門立振廻致候節
  相伴鶏有之
一 太田氏へ吉五郎立付并裂地筆三對
  惣之進へ竹屋紙大たは粉入お益前懸地
  右の品萌黄風呂敷に包候て頼申候事
一 菅野氏へ目貫の傳言も頼置候
一 夜九つ時頃赤坂辺少々出火

   同廿五日晴る

一 白倉七右衛門より五寸銃的ふのり差越す
一 井上先生志賀氏茂木氏昼後来る
一 昨日小林昌庵よりにしめ差越
一 □白倉七右衛門へ一角□□せ頼遣候事

   同廿六日晴る

一 瀉澤屋又次郎参り拾匁筒返す同人へ
  真鎗安親の鍔貸し候事
一 御手筒懸りより御側稽古休候旨久保園司へ
  隠居有之 志水三郎御除地□引越
一 山田氏佛参の供に清吉を貸候
一 夜分両度遠方火事有之
一 都筑善助より便有之□道具頼弐朱来る
  荒井次五太夫より手紙来る

   同廿七日暁七つ頃より夕八つ過晴る

一 御献上才領金子勝次昨日着の由にて届物
  持来る其外荒木様本多様来り
一 都筑氏への返□[書]大澤将助へ頼遣候
一 青木熨方にて去る四日男子出生の由
                ■□より申来る

   同廿八日曇天昼後晴る

一 暁八つ時前より深川■四丁辺半時斗焼る
  太田喜左衛門昨夕出立品川泊り
一 昼後繰形
一 久兵衛芹鴨呉候 但昨夜先日の壱両返金
一 山田氏にて夜分腰の辺灸治致候

   同廿九日晴る昼前風有之

一 昨夜両度遠方火事有之
一 九半時頃少々地震
一 刀鍛冶吉次昼後来る




   十二月朔日晴る夜に風有之
               油
一 御側稽古終日出
一 御覧所に差置申候玉不残紛失右に付
  御屋敷目付境野伴左衛門へ何となく咄置候事
一 昨夜両度遠方出火

   同二日快晴

一 昨夜宵の内遠方少々火事浅草通りの様子
一 御繰形御延引の旨昼前御手筒懸りより
  申来る■■丸一御紋の□□昨日酒井氏
  □筒拂致候て宅に置手入頼候に付御手入
  いたし候て昼後
  御上屋敷候持参の処懸り出居不申候に付
  村上源之丞久保園司に頼差出置候事
一 酒井氏へ参り本多■之進殿志水三九郎方へ
  引越の悦に罷出候
一 ツク井にて日月のめ貫借用帰る
一 御扶持方米壱俵出候十月より出来残り
  の分拂候事
一 暁方風強き故哉度々打付申候

   同三日晴る

一 昨夜宵の内一度遠方へ相見へ少々打付る
一 林甚三郎去月分模合代受取呉候
一 尾崎氏御除地へ今日引越

   同四日晴る

一 山田頼左衛門近藤弥太郎同道にて相撲見物
  帰り山田氏にて夜食給る
一 小林勝次郎トントル仕懸出来にて為持越候

   同五日曇天昼後小雨暫時有之

一 御新屋敷稽古終日
一 昨夜度々少々つゝ火事有之

   同六日村曇り

一 御側稽古終日
一 昨夜宵の内少々火事
一 松岡氏より先月十七日付手帋来り上田氏への
  弐通入翌日山田氏へ頼届候事
一 酒井氏より小筒代壱歩三朱山田氏被頼差越

   同七日昨夜中より雨天  油

一 昨夜九時過少々打付る
一 博労町へ志賀小林同道にて夕方参る
一 従姫路去月廿三日付手紙状箱入にて獅々頭
  金弐歩差越并母人様御病氣の次第申来る
一 原田氏牛込氏よりも便有之原田氏金具
              見合の旨申来る
一 姫路への手紙昨日認

   同八日村曇り

一 昨夜宵の内遠方出火
一 町便りにて大坂廻り手紙出す
一 繰形稽古 酒井茂木へ姫路よりの手紙届候
一 炭弐俵近藤弥太郎差越呉候事

   同九日晴る

一 空性院様五十廻忌御取越明十日浅草崇
  福寺において御執行有之候間鳴物御停止
  例の通御觸有之
一 終日玉鋳酒井筒手入等致候事
一 昨夜珍ら敷火事無之
一 村上源右衛門今午の刻死去為知来る

   同十日村曇り猶四時前些雪

一 村上葬式清吉名代に差出す
一 山田氏百ヶ日付夜食給る
一 鈴姫様酒 下野守様へ来る十五日御引移
  御婚礼被成御整候
    御屋具初 十三日
    御膳物  十五日
    御入輿  同日
  右の通為心得申達候旨御觸有之

   同十一日晴る 夜些地震

一 今日御便出に付関十郎お房へ悔牛込氏同清五
  富岡氏へ返事松岡氏吉田氏お房お高惣之進へ
  山田氏へ頼差出す
一 終日御側向稽古
一 山田甚右衛門世忰前髪執候に付案内有之
  酒礼祝候事

   同十二日朝風有之晴る 夜曇る

一 昼後御上屋敷へ 御機嫌伺罷出
  夫より南部馬御乗手附見物
  殿様少々御風氣に付御名代に有之
  酒井氏にて酒飯給候

   同十三日暁より風有之快晴

一 昨夜宵の内遠方にて火事
一 天野寛六より便有之

   同十四日晴る 暖成方 油

一 暁八つ前久松町出火拾軒斗
  抱靏隣迄燃る
一 巣鴨御屋敷村上氏悔并諸向寒氣見廻
  夜五時帰る山田にて入湯

   同十五日晴る

一 鈴姫様午時御出輿
一 ツク井より菅野氏目貫出来にて持参右代
  残金壱歩と五匁渡す
一 日月め貫の代金三朱渡す

   同十六日晴る

一 御側稽古出人無之自分壱人
  にて十發放す
一 山田氏煤拂祝有之
一 藤沼市左衛門方より昆布巻貰候

   同十七日曇天夜九つ頃より
             雪降
一 終日姫路手紙認
一 惣屋源蔵国光の刀研鞘塗とも
  出来に付持参康光の柄巻頼む
一 桐屋久衛羊羹持参寒氣見舞
一 暮方川嶋章蔵より姫路より油紙包
  壱つ参候旨手帋にて申越候
一 姫路への潮引鮭今日出す

   同十八日曇る 朝四つ時前より雨

一 五日付の手紙昨夜山田氏より届来る
             江州鉄炮の事
一 昨夜大工平四郎来る
 一昨夜四つ時過より両度地震有之

   同十九日晴る  油

一 御中屋敷御添地寒氣見廻勤候事
一 姫君様御事今日より
  御臺様と相唱候様御觸有之
一 大工平四郎明日出立に付暇乞に夜分来る
一 右に付金弐両久衛へ貸候

   同廿日晴る 夜中より風有之

一 暁七時頃火事有之
一 同 七半時前地震有之
一 御上屋敷へ罷出青拍子 御本 尾崎氏を以
  差上る 両御屋敷寒氣見廻廻勤の事
一 井上先生方へ参り炮術の書借用
一 姫路への手帋差上周蔵に頼置候
一 霊岸嶋にて都筑氏駒道具調候
一 昼酒井氏にて酒飯給り夜食山田氏にて同断

   同廿一日曇天

    御奏者番 姫路行  針ヶ谷九郎兵衛
         御内意
    御持頭       上田左太夫
    御留守居      庄野慈父左衛門
    席是迄の通 大目付 志賀兵左衛門
         帰役
一 志賀氏へ夜分祝に参り酒札祝遣候

   同廿二日曇天夜四つ□□□[過より雪]

一 昨夜両度少し遠方火事
一 本多■之助殿より塩引壱本貰候
一 寒氣見舞大勢来る

            五つ過より
   同廿三日早朝迄雪 村曇り
       昼後晴る

一 無記事
     山田甚左衛門より赤飯来る
     白倉七右衛門より切餅来る


 油 同廿四日朝村曇り寒強
       夕晴る

一 針谷氏へ■に参り菅野氏め貫
  勝次郎へ大坂都筑氏色々壱封頼候
 
一 本阿弥へ参り祐定研并羊羹一箱遣候
一 帰り大のやうなきめし給候
一 夜食山田にて餅搗祝しるこ給候
一 昨夜五時迄遠方少し火事
一 小路廻り俄當り

   同廿五日晴寒し

一 去る十九日付手帋夜分遠便届来る
   但利根川喜兵衛より要用状にて
一 夜分風強く両度心付義両度迄
  打付候也

   同廿六日暁風強く晴る
            寒し
一 今日御便出に付昨夜返事出す
一 御近習御用人より昼前出 御内用
  昨夕申来例の通歳末御祝義被下
一 針谷氏明日出立に付暇乞致候事
一 ふしきにてめし

   同廿七日晴る

一 御用召有之
   御小納戸   斎藤五太夫
   御廣間勤   中村辰之助
   並の通召通 ┌針谷ナ一郎
         └松原弥一郎
   右の外四十人斗

   同廿八日晴る

一 吉次御料理人格被 仰付江州分指遣す
一 夜分久衛金弐両返金

 油 同二十九日晴る少し寒さゆるむ

一 皆勤御褒美有之
一 本阿弥より刀研出来来る
一 去る十二日出七里継御便相届く

   同大晦日晴る霜多し

一 林屋源蔵柄巻出来持参

 萬事目出度相仕舞



十二月十五日       ツク井
一 金壱歩と五匁      菅沼氏め貫代不足渡す
五月十四日         米津氏釣針代立かへ
一 壱朱          針谷氏家来被盗候

一             大小鞘蝋色
                 塗ちん

二月廿四日
一 金弐朱壱朱と      年のめ貫
      弐百文    ┌備前則光中心
             └小刀地板斗
┌─此分〆金弐両弐朱と百十六文
│      内壱朱め貫拂代
│一 金弐朱      本阿弥休鞘代
│大晦日
│一 金壱歩壱朱    脇指柄巻代
│      百十六文
│十二月廿四日
│一 金三歩     ┌本阿弥祐定研■鞘代
│          └外に椚や□□ん一箱
│十二月十七日
│一 金三歩弐匁    拝領刀研鞘塗代
│同十九日
│一 金三朱       日月め貫代
└┐
・一 金壱歩三朱    ┌祐定刀柄巻代 此三口は
・一 金壱歩壱朱    │来國俊短刀研代 宗興丸
・一 金弐歩三朱    └小筒調る    目貫拂

    加藤清正 五拾弐才にて死 慶長十六
                 六月廿四日

 本記正宗靈簿 古人の忌日
        を記したる書
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