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真極流柔術の手数書(一)

目次
表組化生之段
秘之巻
三格合
放格合
實相
秘之巻より實相迄の組の次第を知哥
位詰

凡例
一、『真極流柔術手数書(一)』は仙臺藩士石川家の旧蔵文書にて、真極流柔術を家中の士へ指南した八代目石川光實の筆と考えられます。

掲載史料及び参考資料
『真極流柔術手数書(一)』個人蔵

前學取組 化生之段

  真極流柔術表組化生之段

    壱つ目
     一つ目は利打共しとやかに歩み出打
     取懸は小歩に一足位に立ふうわり
     と取なり

一 腕流
   立向打右にて胸詰を取利右にて下
   よりすくふように胸取たる手の手
   首を取左えむちり左の足を引打の
   體を抜腰をひねりなから左を打の
   臂の邊え懸左の足を踏込背負よう
   にかつき右足を我と打の間より後
   え抜右膝を突て前え引倒し右足を
   踏込堅め
    堅めの留を手搏と云 かつくときの目付を
    遠山の目付と云

一 違詰
   立向右にて胸を取左にて帯を取利
   右にて胸取たる右の手首を取左の
   足を引打の体を抜又踏込なから打
   の両手の間より左の手を遣し抱込
   ように膝え引踞右を打の股え掛右
   膝をつき後え投膝を立替堅め
    投る時左の手は後え右の手は頭上え上るように
    取なり膝落と云

一 朽木倒
   立向両手にて帯を取利右え開きなか
   ら左を下より遣し左の手首を取右
   足を引打の躰を抜又踏込なから右

   を下より両手の間え入手を返して二の腕え
   かけ前え押落すように左の足を後
   え大きく披投堅め

一 梢倒
   立向打右にて頭を打を利入身掛り
   二半身に成打の拳下え身をしつめ
   て入右にて受すくに取腕流の如く
   かつき投堅め

一 小手亂
   立向打両而にて右の手を取向え引
   利引れなから向え突切すくに後え
   組付腰にてしほり足を引なから前
   え仰に引倒し堅め

一 面影
   行違ひ後ろより組利左右の手にて
   組れたる手えかけ沈んて抜左の足
   をはつし打の後え踏左の手にて脇
   え抱込置両手にて両足をさらひ左
   の膝を突前え仰に落し右にて右足
   をさらひ左の肱にて咽え當堅め

    貮つ目
     二つ目は打取懸大歩に大丈夫に身
     を堅めて取懸へし

一 腕流
   壱つ目の如く取を利も壱つ目の如
   く引左の肱を打の腕の折目え上よ
   り掛なから間より手をさし込左の
   足を後え踏込膝え引踞右の手を股
   え掛右膝をつき後え返し投膝立替
   堅め 投よう膝落同然なり
      肱巻と云

一 違詰
   壱つ目の如く取を同く引又壱る目
   の如く左を指込時打右の足を引を
   利右の手を帯取たる打の左の手え
   移し左にて前えこき落して立上り
   手を持替右にて手搏堅め 右手搏は
               是計なり

一 朽木
   一つ目の如く取を一つ目の如く引同く
   入込時打右足を引なから右の手を
   抜拳を振上る利指込たる右の手を
   打の左の二の腕え掛打え引付を打
   振上たる拳にて頭を打時利左の足
   を後え開きなから前え引倒し堅め

一 梢倒
   一つ目の如く打を左にて受右を二の
   腕え掛右足を打の後え踏込かつき
   脇下をくゝり抜前え落し堅め


一 小手乱
   一つ目の如く取逆にねちりたるを利
   左を打の両手の上より掛抱込よう
   に左の膝え引すえなからねちりた
   る手を向え突切膝落に投堅め

一 面影
   一つ目の如く組付を同く沈んて抜左
   右の手を十分に上えあけ打の肩を
   掴み一足に立上るをはつみに頭上
   より前え投堅め 人中投と
           云なり

    三つ目
     三つ目は打遠き場合より取付利より
     さわれは直に押掛り取懸へし

一 腕流
   場合にて打右にて胸を取に掛るを
   利早く左にて打の右の手首を取打
   押掛る所を利右を打の右の折目え
   掛左の足を引前え引倒し手搏

一 違詰
   一つ目の如く取を利両手にて上より
   打の右二の腕え掛ると打押掛るを
   左の手を向にして引しして押立後ろえ
   返し投堅め

一 朽木
   一つ目の如く取を利左にて打の右の
   手首を取右を打の胸えかけ直に其
   を返し右を踏込我手の平え顔を當
   押掛る打すくに押掛る所を左の足
   引なから前引倒し手搏

一 梢倒
   一つ目の如く打を同く受る打押掛る
   所を左を二の腕え掛引廻しなから
   前え引伏堅め 無雙なけと云

一 小手乱
   二つ目の如く取右の肱を高く上より
   入にくき様に取利打の両手の間よ
   り左を指込二つ目の如く投堅め

一 面影
   行違ひ後ろより押つふすように飛
   掛るを利肩え掛りたる手を取直に
   両膝を突前え伏肩よりすかし投堅

    四つ目
     四つ目は利の業をする頭に打手前え
     引張る取掛なり

一 腕流
   打左にて胸詰を取利右を上より掛
   右え披き右足を引打の躰を抜打の引
   張頭に右足を打の後ろえ踏込なか
   ら右の肱を拳を掴みたる侭にて上
   より打の折目え掛頭を打の腹え付
   反りなから肱にて後え引廻して投
   堅め

一 違詰
   一つ目の如く取を利左にて打の左の
   手首を取右え披く打の引頭に右の
   足を打の後ろえ踏込なから右の手
   を打の両手の間より遣し右の肩え
   掛前え倒し右え開き堅め

一 朽木
   一つ目の如く取を利両手を打の肩の
   所え掛こき下して肱え掛追掛後え
   返り上を越投堅め

一 梢倒
   一つ目の如く打を同く受打右足を引
   時左を踏込左の手を足の折目え掛
   かつき投手搏 櫓落しと云

一 小手乱
   二つ目の如手を掛向え追かけ取を利
   左にて向え突切なから左を後え踏

   込二つ目の如く投堅め

一 面影
   一つ目の如く組を利同く抜両手を引
   さきなから左足をはつし壱足に立
   打右足を引時又左を踏込櫓にかつ
   きつふれる様に前え落し打の上を
   越向え返り左にて咽を〆堅め
    なか返りと云留を 留と云

    五つ目
     五つ目は利の業の起る所え押
     掛て取へし

一 腕流
   一つ目の如く取を利同く引時打より
   押掛るを無雙に投堅め

一 違詰
   一つ目の如く取を利左にて下より打
   の右の手首を取右にて胸を取右足
   を踏込前突に付打の押掛る所を其
   侭にて打え付廻りなから前え仰に
   倒し胸取たる手をもき放し堅め

一 朽木
   一つ目の如く取を利右の手を上にして
   ぶつ違て上より左右の手首を取て
   左え披きなから突切手を引違ひて
   投堅め

一 梢倒
   一つ目の如く打を左にて受右足を打
   の後え踏込なから右の手を下より
   遣し領を逆手に掴みはつして足を
   引一足に立前え引倒し手搏

一 小手乱
   打両手にて両手の先を取上るを利
   同く上なから引違て打の手を取返
   左の足を踏込肱にて後えしほ
   り投堅め 肱落又
        肱投と云


一 面影
   一つ目の如く取を同く抜草摺を取て
   前え廻り一つ目の如く投堅め 抱落
                 と云

    六つ目
     六つ目は早足に歩み出て近き場合
     にて急に取付なり

一 腕流
   打右にて胸を取んとするを外え左
   にて除すくに左を後え踏込右足を
   寄なか左にて抱込様に右を股え添
   引廻し六つ目面影の如く前え落堅め

一 違詰
   一つ目の如く取を利左右の手を打の
   左右の手首え掛左え少し開き右え
   振向なから両手共に突切すくにむ
   さうになけ堅め

一 朽木
   打両手にて両手を取利左え開き手
   を引違て取返し左を踏込肱落に投

一 梢倒
   一つ目の如く打を同く受引冠つて入
   抱落しに投堅め

一 小手乱
   両手にて右の手を取上るを五つ目の
   如く入肱落に投堅め

一 面影
   後より組を沈んて後両手を取下上
   下え引裂なから左の足をはつし右
   足を向え踏込なから右にて取たる
   右の手を打え冠せる様に前え引廻

   仰に投堅め

右三拾六手真極流表組化生段と云此
外に位詰三十六手是は表手數の勝身
にして位詰にあらつんは三十六手の
用足つ表組熟せされは位詰有用とす
る事能はつ縦令は表組は事にして躰也
位詰は理にして用也事理体用全備する
に非んは勝利を得るの理なし秘之巻
三格合放格合の三十六手は附屬の物
にして當流の旨とする所は表組位詰
實相五大事の外に出つ就中表組にて
躰用共に熟せされは悉皆無用の物也

− 1 −

秘之巻

    秘之巻

一 守人
   踞たる所え打後え廻り を取短刀
   を咽え突立んとするを利踞なから
   打の短刀持たる拳を両手にて掴右
   の脇え引付てはつす打後え仰に引
   倒を利拳を脇え引付たる侭にて仰
   に倒れなから打え乗ように右え返
   り打を握倒し起上り左を逆手に打
   の短刀持たる拳を取下え押付右に
   てもき取逆手に持突身

一 横雲
   打同く短刀にて首を掻んとするを
   利守人の如く取後ろえ倒れ横に返
   り起 留

一 電光
   打前より来胸詰を左にて取短刀に
   て突んとするを利左にて拳を取右
   を肱の邊え掛右膝を立打の腕を鉄
   炮ために取向え附を打突時我身も
   倒る様に前え押伏堅

一 柄留
   打同く両手にて脇指の柄を取を利
   右にて柄頭を取左にて鍔元を取左
   え引廻り打下え押付る時利右にて
   打の首の上より掛左を頤え掛右の
   方え握倒し脇指を抜切留る

一 奏者取

   向合手を突禮をする時利右膝を立
   足にて打の左の腕を踏付右にて右
   の手首を取左にて打の脇差の柄を
   逆手に取腕え當押ひしき足にて柄
   を踏付堅め

一 左右詰
   三人並居左右より両手を取引伏ん
   とするを我膝の前え押落しなから
   肱を左右え披き打の躰を抜左右の
   内程よき方を蹴倒しすくに倒さぬ
   方の肱えうつり手前え引ように懐
   込なから横に返りて投起上り両手
   首を取堅め

一 向心詰
   打踞居利つか々と出場合にて片膝
   突声を懸る打抜打に切を梢の如く
   受無双に投堅め

一 袈裟留
   打踞居利つか々と出通り過なから
   右にて肩え當り直に後え回り左を
   首を掛る打脇指を抜付るをすくに
   手首を取引伏堅め

一 二手詰
   踞居を打前より来両手を取を利頭
   にて當なから右にて右を突切左に
   て腕を懐込右え返り投堅め

一 膳詰
   並坐し利左の足て打の右膝を踏〆

   両手にて右の手を取膝より押下す
   ように大きく引廻し前え引伏堅

一 高手搦
   打脇え寄踞居利つか々と出前にて
   右足を打の両膝真中の所え踏右に
   て右の手首を取上なから左にて脇
   え當右え廻り左膝を突右足を披き
   引冠左を上より腕えからみ我胸を
   取引立左の膝え引居左膝を突後え
   落し直に又前え引伏堅め
    引立る時は立切ぬ内に膝え引居後え落し
    落切ぬ内に前え引伏るなり

一 筒切 筒切は免許の前は傳え
     申さつ候事
   仰に成たるを打太刀にて胴切に切
   込を帯の結び目をすかし夫を先に
   ころりところびて空を切せ打の足
   元えより両手を打の向足えかけ下
   え押付肱にて倒し堅め 間合遠くは
              はつすへし
   近くは打の方え
   よりて取付なり

− 2 −

三格合

    三格合

一 袖隠
   立向右にて打の帯を取打両手にて
   手首を取左の足引なから引張を利
   二つ目小手乱の如く入膝え引踞又膝
   を引前え仰に落し右膝を押掛両手
   にて左の手を取前え引伏足にて袖
   を踏付堅め

一 行違
   行違なから二つ目小手乱の如く投る

一 後詰
   右を行違後より右を打の頤えかけ
   左の手の平を尻え當引ついて留右
   足を引後え引返し壱つ目小手乱の如
   く仰に倒し堅め

一 腰車
   立向上より両手にて打の右の手首
   を取高く上脇の下をくゝる様に拳を
   土え突込ように落し投堅め 左右共に
                取へし

一 紅葉捨
   立向両手にて小手乱の如くに右の
   手を取逆に返し投堅め 左右共に
              取へし

一 膝落
   立向右にて打の刀の柄を取打両手
   を鍔え掛て左の足を引後え披く時

   袖隠の如く入鐺を左にて取しほり
   左膝を引て前え落し堅め

一 櫓落
   立向右にて胸を逆手に取左の足を
   踏込左の手にて両足をすくひかつ
   き右膝をつき投堅め

一 刄傷詰
   打の左え立並ひ行左の手にて打の
   左の手を取右にて鐺を逆手に取右
   足を打の前え踏出し前え押倒さん
   とする時打左の足を前え踏越して
   迯す所を引廻しなから前え引ふせ
   堅め

一 亂勝
   打太刀を八相にかまえて走掛りて
   真向を打利十當を持同く出脇え抜
   なから十當にて右の小手を打直に
   右にて右の腕を取一つ目腕流の如
   くにかつきなけ左右の腕を取たる
   侭にて刀を飛越押付て刀をもき取
   打の起上る所を切留る

一 剱詰
   立向打の左の手を左にて取打も同
   く取右足を引右にて刀を抜んとす
   る利脇指を右にて逆手に持打の脇
   の下え抜込前え押ひしき堅め

一 碇引
   打右にて頭を打を左にて受五つ目

   梢の如くに入時打左にて襟を掴み
   後え引返すを倒れなからくるりと
   返り上を越て投左にて打の左の手
   首を取右を腕の下より指込咽を取
   堅め

一 尺利詰
   両手にて胸を取柱なとえ押付られ
   たる時利両手にて上より両手を取
   押下横にかえり投堅め
   左右共に上になりたる手の方え返るなり下る
   には我身を重りにして下るなり

− 3 −

放格合

   放格合

一 鞋摺
   立向打両手にて両手首を取利左え
   披きなから右にて打の右を突切り
   壱つ目腕流の如く右の手計かつき両
   膝を突投堅め

一 袖之露
   打後より両袖を取利上より両手に
   て打の両手の大指を取前え二歩三
   歩出打後え引時引戻されなから左
   を下け右を頭上まて上六つ目面影
   の如くになけ堅め

一 もろ手別
   両手にて胸を取利両手にて打の両
   袖口からみに手首を取しほり上て
   前え押かける打より押返す時仰に
   倒れなから右足を腋下え當三つ目
   違詰の如く投堅め

一 山陰
   刀をかつき行を打後より両手にて
   鐺を取下えひしくを利左の足を引
   右にて柄を持左の足を打の後え踏
   込左にて襟をつかみ仰に倒し堅め

一 燕返
   打の右え立並行打左にて左の手を
   取右にて下より胸を取利も取れた
   る左にて打の胸を取右にて打の胸
   取たる右の手を取行打右足を前え

   踏出大投に投る利投られなから脇
   の下よりく々りて投堅め

一 峯戻
   下に居を打両手にて右の手を取引
   倒す利引れなから打の両手え左に
   て移り横に返り投堅め

一 唐糸戻
   同居を打両手にて両手を取引立る
   利引立られなから右にて打の右の
   手を取鞋摺の如くにかつき投堅め

一 鐺返
   打の右え並行打左にて左の手を取
   右にて刀の鐺を逆手に取腕えかけ
   押ひしく利左え身をひねり右にて
   帯を取横にたをれく々り投堅め

一 友千鳥
   左右より両手を取下より胸を取両
   方え引張連行を引張られたる左右
   の手にて打の胸を取右足にて右の
   打の足の折目を踏仰に倒し左の打
   胸取たる手え移り横に返り投堅め

一 大小捌
   打刀を八相に構上より打利大小にて
   逆指に受直に捨飛込右の足を取右
   膝を突仰に倒す打倒れなから切を
   小手を留

一 心之無刀

   打刀を真向にかさし馳掛り打を近
   くは身を沈め大小捌の如く入投る
   遠くは迯して振上る所え飛込也

− 4 −

實相

    實相位 是より目録迄

一 三條手留
 ○ 壱つ目腕流の如く取を利左え披きな
   から右にて手首を取込て取左を打
   の腕の下より腕に添て脇壷え當り
   左の足にては水波え當り両手にて
   手首を取かつき鞋摺の如く投
 ○ 二つ目腕流に取を左え披き右にて手
   首を深く取込左を上より肱巻に入
   なから肱にて折目え當り拳にて面
   え當りなから二つ目腕流に入右の肱
   にて胸え當りなから向え押倒す
 ○ 両手にて胸を取利右にて左の手首
   を取打の手を伸高く取をは左にて
   両手の間より會念え當りすくに抱
   込右の拳にて下段え當り向え押倒
   手を縮めひく々取をは上より當り直
   に両手をかつき鞋摺に投る
     是にて三すち也故に三條と云

一 氣眼落
   同違詰の如く取を利表の如く披き
   手を取こんて取左の手にて氣眼え
   當り表違詰の如く抱込右の拳にて
   下段同く肱にて胸え當り向え落し
   堅め

一 足還
   同朽木に取を利両手にて打の両手
   首を上より取左の足にて膝の邊を
   外より踏なから手を突切前え踏込
   両手共にかつき諸膝付て投


一 水波取
   梢の如く打を利右にて掴む様に受
   左にて脇壷え當左足にて水波を蹴
   なから向え踏込三條手の如くに
   かつき投

一 左亂
   小手乱の如く取を利左にて両眼の
   間を手搏の如く打すくに抱込なか
   ら右の手を突切肱にて胸え當前え
   押落し堅め

一 壹柱
   面影の如く後より組付を利頭にて
   打の面え當りすくに下え抜なから
   膝をつき打の両臑を負たるように
   取肩を左右えゆりて前えゆり落し
   投堅め

是迄目録にて傳柴還よりあと
免許の節傳来の掟也


一 柴還
   打両手にて右の手を取引時利左足
   を後え踏込左にて帯を取打又引倒
   すを倒れなから上を越て投堅め

一 
   後より右にて襟を取左にて帯を取
   を利右え振向左にて打の襟を取し
   右の手首を取右足を打の後え踏込

   なから右にて肱をかつく様に取左
   足引なから前え投堅め

一 人礫
   立向ひ両手にて打の首を挾む様に
   取右足を打の股え踏込二手別の如
   く後え返り投

一 梶落
   打の右え立並打右にて胸を逆手に
   取利其手を右にて取下より左にて
   頤を取打左にて頭を打時利前え倒
   なから燕返の如くに投堅め

一 鎧倒
   立向ひ太刀を抜んとする内左にて
   留右を太刀え掛る時利左を打の後
   え踏込右にて打の太刀の柄を取其
   鍔にて胸を打仰に倒し堅め

一 二刀詰
 ○ 仰に成手を胸え上臥たるを打上え
   又かり両手に短刀を持首をはさみ
   たる時利右にても左にても打の上
   に成たる手首を取て留下に成たる
   手も手首を取枕をはつしなから横
   に倒し起上り短刀もぎ取堅め
 ○ 同左にて胸を取右にて短刀を首え
   押當たる時利右にて短刀持たる手
   を取留左を胸取たる手え掛横に倒
   し起直り短刀もき取堅め左の時は左
              にて取へし
 ○ 同手を下え置たる時打足にて両手

   をはさみして又かり胸を両手にて取
   押へたるを利左右の手を打の尻え
   當打の呼吸をさくり腹と手にて上
   えはね飛す
 ○ 同立なから取を利左右の内の足を
   縮め打の股え入て踏倒すへし

 以上

− 5 −

秘之巻より實相迄の組の次第を知哥

 秘之巻より實相迄の組の次第を知哥

   秘之巻 古来よりの傳来なり
○守人より横雲電光柄留よ 奏者左右に向心なり
○袈裟留て二手詰れは膳高手 筒切なりと是を知へし

   三格合 遠藤勘解由の哥也 桂嶋先生求之
○袖隠し行違れは後詰 腰の紅葉は膝に落けり
○櫓より刄乱勝剱詰よ 碇を引は尺と知へし

   放格合 右同断      同
○鞋と袖両手別る山陰 燕返しに峰戻りしつ
○唐糸やよれる鐺の友衛 二人大小一心の業

   實相−遠藤大蔵の哥也 山崎先生之求也
○三條や氣眼しつかに足還 水波左乱も一つ心よ
○柴しとて舟つなきぬる人は今 梶よ鎧も二刀詰へし

   已上

− 6 −

位詰

   位詰 當身足譚等心の侭なり

一 腕流 壱つ目
   表の如く手を取込て取手をまさに
   かつき両膝を突て投堅め

一 違詰
   表の如く引左を間より遣し打の左
   肩え掛左足を後え踏込左右え引裂
   仰に倒す○もし打足を引は其侭にて
   何處迄も押かけ前え落すへし

一 朽木
   表の如く引左を打の肱の邊え掛深
   く抱込右足を踏込右にても深く抱
   込左右えゆすり弱き方え投へし

一 梢倒
   表の如くを両手にて受腕流の如
   くかつき投る

一 小手亂
   表の如く手を突切後より肱にて抱
   留右を頤えかけ左にて背より腰迄
   なて下し仰に倒し堅め

一 面影
   実相の一柱なり六つ共に同し外に
   取方なし

一 腕流 貮つ目
   表の如く引左足を踏込なから左の
   肱にて打の右腕の折目を突拳にて

   面え當り表の如く入右にて下段え
   當り仰に倒す

一 違詰
   壱つ目の如く入打足を引時ゆるめつ
   に押かけ前え倒し堅め

一 朽木
   壱つ目の表の如く入内右の手を投振上る
   時利表の如く入肱を打の身と腕の
   間空の所え遣置外表の通り投

一 梢
   表の如く受てかつき抜なから左の
   肱にて水波え當り倒す

一 小手乱
   表の如く取利左にて手搏の如くに
   氣眼え當りて入後え倒す 四つ目迄同し

一 腕流 三つ目
   表の如くに取右にて折目の所を打
   引倒し堅め

一 違詰
   表の如く取付を鉄炮ために入押掛
   後え倒なから下段を蹴表の如く投

一 朽木
   表の如く入左にて腰より右足の折
   目の所迄さすり下て倒し堅め

一 梢倒

   表の如く打を両手にて受足譚無雙
   なり

一 小手乱  二つ目の通り

    四つ目

一 腕流
   表の如く引左を頤え掛左足を後え
   踏込仰に倒す

一 違詰
   表の如くに入其侭にて倒れる迄ゆ
   るめつ押かけ行なり

一 朽木
   表の如く取を利老人腰に成左右の
   手を下より入二の腕を指先にて留
   外表の通

一 梢
   表の如く入右膝を突かつき投

一 小手乱  二つ目の通り

    五つ目

一 腕流
   表の如く取足譚むさう 手を上よりかけ
              て取なり

一 違詰
   表の通に入左にて肩より腰の下迄

   さすり前え倒し堅め

一 朽木
   表の如く突吉頭にて當り表の通に
   投堅め

一 梢
   表の通に入左にて取し打の右の手
   を脇の下の空所え置表の通り投

一 小手乱
   表の通に入肱にて當り後え倒

    六つ目

一 腕流
   面の通に迯し其手にて面え當り抱
   込後え倒

一 違詰
   表の通手を突切足譚むさう右の手
   は上より掛へし

一 梢倒
   表の如く打を右にて手首を取左に
   て脇壷え當る様に二の腕を取頭にて
   受直に肩え落し左の肱にて當り後
   え倒す

一 小手乱
   表の如く入肱にて當り後え倒す

 以上

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