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真極流柔術の手数書(二)

目次
前學取組 化生之段
秘之巻
三格合
放格合
實相位
五大事
當秘事
五六傳法

凡例
一、『真極流柔術手数書(二)』は仙臺藩士石川家の旧蔵文書にて、真極流柔術を家中の士へ指南した八代目石川光實の筆と考えられます。装幀は『真影山流居合の手数書(二)』と同一であり、同時期に執筆されたと考えられます。その時期とは、真極流柔術師役山崎景憲より『柔極意手数之巻』を傳授された嘉永元年以降です。

掲載史料及び参考資料
『真極流柔術手数書(二)』個人蔵

前學取組 化生之段

 心極流柔術手數覺書

   前學取組 化生之段


一 腕流
  立向右にて胸を取
  時右にて手首を取
  左え披きなから左
  を肱え掛しほり上
  なから踏込脇の下
  よりくゝりぬけ捻ち
  倒し堅め

一 違詰
  右にて胸を取左に
  て帯を取を右にて
  披き左の足を敵の
  後え踏込なから左
  にて敵の左の手を
  突切膝の上え引すえ
  右を え掛後え返
  し投膝を立替堅

一 朽木倒
  両手にて帯を取を
  右え披なから左を
  下より遣左の手首
  を取右を下より敵
  の両腕の間え遣し
  右の折目え掛踏込
  て張上右足を右え

  小歩に寄押落しな
  から左の足を後え
  大く披き投堅

一 梢倒
  右の拳を上打を右
  にて受すくに拳を
  取左を肱え掛腕流
  の如く投げ堅

一 小手亂
  両手にて右の手を
  取捻上るを捻られ
  なから左の足を敵
  の後え踏込左にて
  腮を取後え引返し
  左膝を引抑に引倒

一 面影
  後より組付を肩に
  てぬけなから両手に
  て敵の手先を取左
  足を迯し敵の後え
  踏左を敵の両手の
  上より遣し え掛
  右も え掛持上て
  前え落し堅

右六つの取組を初と云
是を一手を六つに取分て
二つ目三つ目と段々六つ目迄取也

   二つ目

一 腕流
  左にて胸を取を右
  え披き右の手を上
  より振込なから敵
  の後え右を踏込右
  にて後腰を取膝臺
  にして左膝を突後
  え投堅 投る時三角にすわり
      なける也

一 違詰
  初の如く取を左え
  披なから右にて右
  の手首を取左を間よ
  り遣腮え掛左を踏
   張上て
  込押掛すくに右の
  手を敵の左え移し
  左を添回りなから引倒し堅

一 朽木倒
  初の如く取組身を
  くれ足を引なから
  前え引倒堅

一 梢倒
  初の如く打を左に
  て受右を敵の肱え
  掛敵の後えくゝり
  抜捻倒す

一 小手乱
  初の如く取を敵の
  両手の上より左を
  遣し腰を取左を後
       引据て
  え踏込膝臺にて
  の違詰の如く後え
  返し堅

一 面影
  初の如く組付を肱
  を張両手にて敵の
  肩を取右足を引膝
  を突前え投堅
   立なから前え投
   てもよし初心の
   内は膝を突投候
   か能候事

   三つ目

一 腕流
  右にて胸を取を左
  にて手首を取右に
  て押掛前えこき落

一 違詰
  初の如く取を右に
  て右の手首を取左
  を二の腕え掛張上
  押掛て後え返り投

一 朽木倒
  初の如く取を左に
  て右の手首を取右
  にて腮を取押掛二
         
  の腕え移り前え
  倒す

一 梢倒
  初の如く打を右に
  て受左を肱え掛左
  を踏込敵の後え廻
  り捻倒す
   左を肱え掛足を引て引倒ことも有

一 小手乱
  初の如く取を左に
  て突切初の違詰と
  同し

一 面影
  初の如く組を右の
  手え移りなから早
  く右の膝を突肩よ
  り落し投

   四つ目

一 腕流
  左にて胸を取を左
  にて手首を取右え
  披き右足を敵の後
  え踏込なから右を
  振込如に肱を折目
  え掛て〆付三角に
  据り後え返し投堅

一 違詰
  初の如く取を左に
  て左の手首を取右
  を下より遣右の肩
  え掛右足を踏込前
  え投堅

一 朽木倒
  初の如く取を両手
  を敵の二の腕え掛
  張上押掛後え返り
  投堅

一 梢倒
  初の如く打を右に
  て受左を飛込櫓

一 小手乱
  初の如く取を間よ
  り左を遣し初違詰
  の如く据初面影の
  如く投堅


一 面影
  初の如く組を右に
     
  て右の手首を取左
  足を迯し後え踏込
  櫓に上

   五つ目

一 腕流
  右にて胸を取に来
  を左にて拂初違詰
  の如く据投堅

一 違詰
  初の如く取を右に
  て右の手首を取左
  を下より遣胸を取
  押上なから左より
  廻り無雙むそうの如く投

一 朽木倒
  初の如く取を左に
  て左の手首を取右
  を下より遣右の手
  首を取氣海を張押
  切引違て投堅

一 梢倒
  初の如く打を左に
  て受右を肱え添肩
  にて張上肩無雙に
  投て堅

一 小手乱
  両手にて右の手先
  を取上られし時引
  冠る様に初違詰の
  如く入首え引拂切
  違の如く投堅


一 面影
  初の如く組付を肩
  にて迯し左の手を
  後え廻して敵の草
  摺を取左の足を引
  敵の後え踏込膝臺
  に敵を引据右にて
  両足をさらえ左の
  膝を突前え投押懸
  つて堅
   膝より落す時左
   の肱にて胸か咽
   え當る

   六つ目

一 腕流
  双方より左にて胸
  を取敵右の拳を上
  打を身を沈め右に
  て受すくに左を敵
  の左の二の腕え移
     
  し左のを踏込
 膝を
  突櫓の如く前え投

一 違詰
  初の如く取を左に
  て左の手首を取右
  を添捻ち放し捻り
  なから引倒堅

一 朽木倒
  両手を取を少し引
  て一所に寄両手を
  取返し引違て違詰
  の如く入膝臺にて
  肱を張後え返し投
  振向て堅

一 梢倒
  初の如く打を右に
  て受初違詰の如く
  投堅

一 小手乱

  両手の先を取上し
  時朽木の如く引て
  取返し同く入て後
  え投堅

一 面影
  初の如く組付を肱
  を張両手にて敵の
  両手首を取右の膝
  を突左の肩より迯
  し前え投両手を左
  右え引さき堅

右三拾六手表取組也

− 1 −

秘之巻

   秘之巻

一 守人
  坐付居を敵後より
  左にて襟を取右え
  脇指を逆手に持首
  え押立る時右にて
  拳を取左にて手首
  を取前え投堅

一 横雲
  同く脇指を横に當
  る時両手にて拳を
  取敵後え引倒す時
  倒なから拳を捻り
  敵を捻倒起返堅

一 電光
  對坐し敵左にて胸
  を取右にて打を左
  にて左の手首を取
  右を肱え掛右の膝
  を押掛前え引倒

一 柄留
  両手にて柄を取を
  右膝立なから右に
  て右の拳を取左を
  下より遣左の拳を
  取足をつり替なか
  ら仰に返し堅

一 奏者取

  對坐手を突居時右
  の膝立右にて敵の
  右の手を取左にて
  敵の柄頭を取肱え
  掛押ひしく

一 左右詰
  据り居を左右より
  両手を取れたる時
  右膝を右の敵の手
  え掛押切すくに左
  の敵の右手え移り
  横に返り投堅
   引かつき無雙に投るもよし

一 向心詰
  双方坐付居時右膝
  を立手を打聲を掛
  る敵抜付る所を拳
  を取後え廻り左を
  腮え掛引返して仰
  に引倒

一 袈裟留
  敵坐付居後より左
  を腮え掛右を右の
  肩え掛る敵太刀を
  抜時右にて手首を
  取引廻して引伏せ
  堅

一 二手詰
  對坐する時敵両手

  にて両手を取を右
  にて敵の右の手首
  を取右え返り投堅
   左にて左を取時は左え返り
   なけるなり

一 膳詰
  双ひ居時敵の右の
  手を両手にて取右
  足にて膝を蹶拂前
  え引倒堅
   敵の左え居たる時は左を取
   引倒す

一 高手搦
  對坐の時右にて敵
  の右の手を取すく
  に左を踏込膝を突
  左にて腕を搦引立
  後え投又前え引返
  し伏付て堅

一 筒切
  臥たる後より敵切
  付るを後を向なか
  ら両足を取前え倒
  堅左右共に同し

右十二ヶ條柔腰之廻小具足具
眼目付前學入徳之門不出
巻而知者左此一軸而已

− 2 −

三格合

   三格合

一 袖陰
  立向右にて敵の帯
  を取敵柄え手を掛
  る時左足を踏込後
  え回り左にて鞘搦
  に帯を取前え落し
  左膝を押掛左の手
  を取引回し引伏て
  左を踏込堅

一 行違
  立向右の手をさし
  四つに組左膝を突
  前え投堅

一 後詰
  行違なから右にて
  敵の右の手を取後
  え回り初の小手乱
  の如く倒堅
  

一 腰車
  敵の左え立並両手
  にて左の手を取向
  え抜捻り上小手乱
  の如く投

一 紅葉捨
  右え立並右にて敵
  の右の手を取上脇

  の下くゝり向え抜
  て投堅

一 膝落
  敵の右え立並向の
  柄を取手前え引回
  しなから後え回り
  鐺を左にて取袖陰
  の如く投左膝を突
  敵の太刀を抜堅

一 櫓落
  立向右にて胸を取
  左にて左足の折目
  をすくい上て櫓

一 刄傷詰
  敵の左え並ひ行左
  にて敵の左の手を
  取右にて鐺を逆手
  に取肱え掛左足を
  後え披前え引倒

一 乱勝
  立向太刀にて打合
  右にて敵の右の手
  を取下より向え抜
  立なから投太刀を
  もき取捨に引返

一 剱詰[侭]
一 剱詰
  向より行掛る敵の

  左の手を左にて取
  右にて脇指を逆手
  に持敵の脇壷え抜
  込後え引回す

一 碇引
  敵右の拳を上打を
  左にて受右にて二
  の腕を取五つ目の
  梢倒の如く入を敵
  後え押返す時後え
  返りなから脇の下
  より抜け起返堅

一 尺利詰
  双方より違詰の如
  く取組壁え押付ら
  れし時左の足を右
  の方え踏及し左え
  伏敵を上を越投起
  直り堅
   左の手を上に組候時は
   右方え返り候事

右十二箇條三拾合之位也
習之術皆以陰陽請合
而要得手留之勝理

− 3 −

放格合

   放格合

一 鞋摺
  敵両手を取を右に
  て敵の右の手首を
  取押切腕流の如く
  くゝり抜て投

一 袖之露
  敵後より両袖を取
  後え引戻すを踏堪
  え両手を後え遣し
  上より両手を取上
  なから右足を引脇
  の下よりくゝり抜て
  前え引伏堅

一 二手別
  敵両手にて胸を取
  を同く両手を二の
  腕え掛押掛後えし
  ほり投

一 山隠
  刀を右の肩えかつ
  き行を敵後より柄
  を取時右にて鐺を
  持左の足を引なか
  ら左にて柄を取し
  敵の右の手を取梢
  倒の如く立なから
  投

一 燕還
  立向敵両手にて小
  手乱の如く取を左
  にて敵の左の手え
  移り其侭横に返り
  投堅

一 峯戻
  下に居を敵両手を
  取引立る時左にて
  敵の左の手え移り
  横に返り投堅

一 唐糸戻
  下に居を敵向より
  右にて右の手を取
  左を腮え掛後え押
  返す時返りなから
  腮を迯し碇引の如
  く脇の下より抜け
  堅

一 鐺還
  下に居を敵左の方
  より左にて左の手
  を取右にて鐺を取
  肱え掛下え押付る
  時我身を左え捻り
  なから左にて敵の
  左の手を取くるり
  と返り投堅

一 友千鳥

  敵左右より両手を
  取両方え引張を向
  え走り又後え走戻
  りて二人共に前え
  寄右にて左の敵の
  右の手首を取左に
  て右の敵の手を下
  より取右え中にて
  返り二人一同に投

一 大小捌
  敵刀にて打を指た
  る刀の柄にて受る
  脇指を抜足をつり
  替切拂

一 梶落
  後より右にて敵の
  襟を取櫓に上投る

一 心之無刀
  立向塩合ものきはにて手を
  打敵刀を抜時飛込
  下手に組付大投の
  如く前え投堅

右十二ヶ條習之要法者乾
坤之両事而得之速也

− 4 −

實相位

   實相位

一 三條手留
  敵右にて胸を取を
  両手にて手首を取
  左の足にて脇壷を
  蹶其侭身を捨左え
  伏返り堅

一 氣眼落
  敵違詰の如く取を
  右にて右の手首を
  取左を間より遣胸
  を取右の方え中に
  て返り投堅

一 足還
  敵朽木倒の如く取
  前突に胸え額を當
  取付を両手にて腮
  と頭を取左右の足
  を見合脇壷え當り
  伸足の方え投きな
  から捻倒

一 水波取
  敵梢倒の如く打を
  右にて受脇壷え當
  三條手留の如く也

一 左乱
  小手乱の如く手を
  捻上るを捻られな

  から左を敵の拳え
  移し返り投

一 壹柱
  敵面影の如く後よ
  り組付を沈んて両
  手の下え抜脇壷え
  両拳にて當

一 柴還
  刀にて抜合せ左足
  を踏込左の手にて
  敵の拳え移る時敵
  刀を巻上るを左足
  を引右足を踏込て
  大渡に投

一 
  敵後より両手にて
  両耳を打時右にて
  右の手を取右足を
  居敷前え投

一 人礫
  立向敵の両耳を取
  敵手を上る時却て
  両足をさらへ後え
  しほり投

一 二人詰
  敵左右より両手を
  取下より手を指胸
  を取両方え引張を

  右の敵の股を右足
  にて蹶拂踏倒し左
  の敵の胸を取たる
  右の手首を取中に
  て返り投

一 鎧倒
  敵左にて胸を取を
  首にて拂敵の後え
  抜初小手乱の如く
  に投

一 二刀詰ぢきしん  直身共
  敵右にて胸を取を
  右にて手首を取下
  より左を遣胸を取
  中にて返り投

右十二ヶ條柔最上之條目
也得之餘蘊以陰陽之
機可得之妙用以言難述
以業難顕之事遍照自
已而求之焉

− 5 −

五大事

   五大事

一 猿猴車還
  四つ手に組んと手
  を指入る時右を指
  込時は右にて手首
  を取左を肱え掛て
  三條手留の如く左
  え返り投左を指込
  時左にて取右を肱
  え掛右え返り投

一 浪枕
  四つ手にひしと組
  付たる時左右共に
  敵の投る方え捨身
  をくれ帰り堅

一 巖落
  立向両の指にて敵
  の目をひし々々と突
  目陰しを打也

一 命當
  骨包を以敵え突當
  る事也

一 神妙力


右取組以陰陽立之目付間
積須其℃ァ變化其體格
先師譬喩之而言水月

又此鵄焉其實理皆出陰陽
之両事風息々有事無時
應其機直下無明法身大自在云爾

− 6 −

當秘事

   當秘事

一 氣眼
  目其外面部え當る事

一 腮之當
  腮其外あきとえ當
  惣て腮より上え當る事也

一 谷壺當
  水落え當る事也

一 會念
  水落より下陰嚢え
  當る事也

一 水波當
  脇壺え當る事也

一 下段當
  股より下膝其外え當る
  事也

一 死活之當 口傳

右死活之外六ヶ條柔當之
規矩人身四十八ヶ所之
法様有之矣

− 7 −

五六傳法

   五六傳法

一 軍馬三箇條之事
  一 小前鞍の切付縄え結付糸長さ
    四寸にして前帯の下より上え引通して
    せんにて留
  一 大前鞍の切付縄えかき二つを
    後の切付縄えかけ前の大え廻し
    小一度に引通しせんにて留る
  一 大前後切付縄え付しを手前の方
    え両方共かきを掛鞍の下え引込後え
    引通し又前え引巡し前の大え通し
    せんにて留

一 馬上高手綱三ヶ條之事
  一 あをにそり手綱よき程に結腰え
    引巡し結付腰にて手綱をつかへ
    乗候事
  一 手綱たしえ掛にせ申え違ひ引
    掛風呂敷包なと背負候様に
    してもよし
  一 手綱前鞍え結付片手綱つかい
    引巡し候事太刀下段より
    外業これなし

一 馬上組討三ヶ條之事
  一 馬乗寄組付敵より先に落て
    鷹の大鳥に付如く土際にて上に
    成事也
  一 組と否九寸五分にて突事
  一 手綱を敵の首え掛て引落
    討取事

一 大将馬上生捕様之事
  一 馬乗寄組と敵より先に落
    かくえ當る事

一 討物之太刀二箇條之事
  一 敵用心の所え無刀と見せ入時には
    刀脇指の内抜候て小刀指えこふ
    かいを指襟え掛後に太刀有を
    見えぬよふにして入討へし
  一 てんきを右の如く仕掛入も
    よし

一 一尺五寸脇指を三尺に遣事
  一 闇夜撫に不審の所をさかすに
    鞘を抜掛にして捜す也

一 灯杖仕掛二ヶ條之事
  一 灯燈をかんとふ火に用敵え仕
    掛る事
  一 取物の時何そ顔え打掛て
    さわく所を捕候事

一 十當鍍二ヶ條之事
  一 
    
  一 

一 鍍鎌三ヶ條之事
  一 
    
  一 
    
  一 


一 小搦懸三ヶ條之事
  一 
    
  一 
    
  一 

一 十釼仕掛二ヶ條之事
  一 長さ四寸に手裏剱を六七本
    手に持打掛る事
  一 手裏を鞘え仕込打掛る事

一 時雨仕掛二ヶ條之事
  一 せんくつを顔え打掛る事
  一 砂か灰を同く打掛る事

一 戸入仕掛之事
  一 刀を抜冠て入左右を切拂也

一 戸出仕掛之事
  一 大小共に抜切先え羽織にても
    掛戸口え指出敵に切せて
    其太刀にて仕留る事

一 物影之太刀二ヶ條之事
  一 夜中太刀を向え片手打に
    打て受太刀に引冠り々々
    する事
  一 夜の太刀は上より打つに下より
    拂上て打すくに受太刀に引冠
    事

一 夜之太刀二ヶ條之事
  一 足をしやに構向え拂上々々
    左右より打事
  一 太刀を中に横に切事

一 屏乗仕掛三ヶ條之事
  一 太刀の下緒を足首え引掛刀
    を立掛鍔を踏へ乗事
  一 早縄の鍵を打越て乗事
  一 竹を二本を能程に切結合て
    わたる事

一 野幕仕掛三ヶ條之事
  一 幕の内え入時片端を明て
    入事
  一 幕の内に居時具足櫃を
    楯にして居事
  一 弓鉄炮か何にても居所え
    楯にしつらへて居事

一 強身懸之事
  一 討ものゝ時刀を右に持脇指
    を左え持先え羽織か何か
    打掛向え出し仕掛打事

一 無上剱仕掛之事
  一 前の通仕掛後え人を回し
    捕せる事

一 鞘詰仕掛之事
  一 敵の刀鐺を上回し々々すれは
    不抜也我上られし時には
    逆手に取抜は抜るもの也


一 野陳張様之事
  一 桟を打弓を結付手前えも
    桟を打小さんを以こんふちの
    如く仕掛弦を引張引掛て
    矢をはめさんにてしめさんえ
    糸を付敵の方え引張置
    糸えさわれは其侭矢は敵
    え當よふに仕掛る也

一 忍明松三ヶ條之事
  一 樟脳とえふりこ當分に合
    明松え仕込めは水を掛ても
    不消
  一 樟脳と硫黄を交野竹の
    枯たるえ詰火を付れは投て
    も不消
  一 艾十匁木綿十匁焔硝三匁
    硫黄二匁鼠糞一匁右五味を
    飯の取湯にて練竹の皮え
    詰て用る也

一 明松仕掛二ヶ條之事
  一 何にても三本ひしに結火を付
    投入る事
  一 右にて太刀を捨に構左にて
    明松を持向え出し仕掛る事

一 寢夜之覺悟二ヶ條之事
  一 旅にては大小の下緒を結合
    床え敷て臥事
  一 同戸障子え錐にても指
    切張に用る事


一 居間之覺悟之事
  一 何れ棒太刀其外十手
    撫を多く心掛へき事

一 弓遇仕掛二ヶ條之事
  一 置袖又は兜にても顔え當
    楯にして仕掛る事
  一 身を披き四寸身に成少も
    たゆまつに入へし足を左右え踏
    違て走り込へき事

一 鉄炮遇仕掛二ヶ條之事
  一 弓同断也

一 鎧武者切様之事
  一 切所なき也合とすくに突也
    組と脇指にて咽脇の下なと
    を突也

一 頭取様之事
  一 錣を疊上て向え押付
    太刀を逆手に持首え押
    立むちり夫より切也

右三十ヶ條者柔面授之傳也
積其工夫而可明之條目雖少
其用不可勝計矣


− 8 −

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