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眞極流柔術の傳書

眞極流柔目録
1749.寛延二年己巳二月廿七日
田中庄右衛門定清−豊嶋長之丞盛秀
1824.文政七年二月五日
石川龍之助−石川八太郎

面影草
1749.寛延二年二月廿七日
田中庄右衛門定清−豊嶋長之丞盛秀
1824.文政七年二月五日
石川龍之助−石川八太郎

柔勒肝要集
1749.寛延二年二月廿七日
田中庄右衛門定清−豊嶋長之丞盛秀
1824.文政七年二月五日
石川龍之助−石川八太郎

眞極流秘勝柔御夢想前六取組之次第
1847.弘化四丁未八月廿日
山崎源太左衛門景憲−石川謙蔵光實

柔極意手数之巻
1848.嘉永元戊申八月三日
山崎源太左衛門景憲−石川謙蔵光實
仙臺藩士 石川光實は文政6年22歳のとき、実父 石川光則より眞極流柔術の免許を相傳され、翌年『眞極流柔目録』『面影草』『柔勒肝要集』の三巻を傳授されました。以後、家中の士へ眞極流柔術を指南します。その後、流義の傳落を補うため山崎景憲へ随身、弘化4年に『眞極流秘勝柔御夢想前六取組之次第』、嘉永元年に『柔極意手数之巻』を傳授されました。

掲載史料及び参考資料
『眞極流柔目録』個人蔵
『面影草』個人蔵
『柔勒肝要集』個人蔵
『眞極流秘勝柔御夢想前六取組之次第』個人蔵
『柔極意手数之巻』個人蔵

[ ]…管理人註 □…欠損 ■…不読
書中、継目の印章を略す

眞極流柔目録




 (印)
 (印)
 眞極流柔目録

 前學取組

  化生段

一腕流    一違詰
一朽木倒   一梢倒
一小手亂   一面影
右六箇條前學取組専要也組
合分而為三十六種矣

  秘之巻

一守人    一横雲
一電光    一柄留
一奏者取   一左右詰
一向心詰   一袈裟留
一二手詰   一膳詰
一高手搦   一筒切
右十二箇條柔腰之廻小具足具
眼目付前學入徳之門不出巻而
知者左此一軸而已

  三拾合位

一袖隠    一行違
一後詰    一腰車
一紅葉捨   一膝落
一櫓落    一刄傷詰
一亂勝    一剱詰
一碇引    一尺利詰
右十二箇條三拾合位也習之術
皆以陰陽請合而要得手留
之勝理耳

  縄之巻

一七五三縄  一早縄
一鎰縄    一
一抽縄    一覆早縄
右六箇條縄術之専務也

  放格合位

一鞋摺    一袖之露
一二手別   一山隠
一燕還    一峯戻
一唐糸戻   一鐺還
一友千鳥   一二人詰
一大小捌   一心之無刀
右十二箇條習之要法者乾坤
之両事而得之速也

  當秘事

一氣眼落   一腮之當
一谷壺    一會念當
一水波當   一下段當
右六箇條柔當之規矩入身四
十八箇所之法様有之矣
 此一巻者柔口訣之條目也
 身熟心熟則以可發其妙用
 者也

    田中庄右衛門

寛延二年己巳  定(印)(判)
 二月廿七日  

豊嶋長之丞盛秀殿

[従是後筆]
右此條々令相傳者也
     石川龍之助(印)
          (判)
文政七年
 二月五日
 石川八太郎殿
 鎖

面影草





(印)
 面影草
(印)
予竹馬にむちうち雪をまろ
かし小学に師にしたかふ事をも
露わきまへ侍りさりし頃より
武藝にたよりあらん事をもとめ
朝な夕ないねてもさめてもこれを
こひねかひ侍りし漸志学のとし[*1]
猶武道に執しそのみなかみを尋
其きはまれる所をさくること
劒術と言鎗と言棒と言居合
と言柔と言取手と言皆其
事をまなふと言共生れたちかた
くなにしてそのまことに及かたし
ほしゐまゝにいはんは大空をうかゝい
井の内の蛙の大海をしらさらんか
ことしさりとて志のはけます[励ます]所かた
はし三十字ひともしにつゝりて
後のこれを学はんものにかりのたす
けともなれかしとてすゝりのちりはらひ
ちきれたる筆してもしほ草[*2]かき
あつめことのはにあらはし侍れは
これをよむにそのおもかけうかふ
やうなれはとておもかけ草といふ
ことのならし

稽古をはもとめすせかすおこたらす
 行住座臥に心とゝめよ

一すしにつよくかゝらは身は柳
 風にしたかひひやうりてもをけ

ちからをもさそく[も:脱字]いらてぬけ行を
 まことの力とおもひ知へし

なましゐに稽古かほするやはらをは
 おの[か]物なり心やすかれ

せくことをやむるまてこそかたからめ
 かりのせうふにてからたてすな

おのつからひさもわか身も手も足も
 おなし心につれて行なり

しよさ[所作]はみな氣つれ行そ敵とみて
 恐懼の心有そかなしき

玉すたれひまもる風の有なれは
 身のすき間よりてきそ入らん

をのつからわさのつもらはいつくより
 自由自在は出来ならん

なにことに極意のもとを尋れは
 そのみなもとは教外別傳

もとめすに性のつよみは身の和して
 心ゆふ有人にこそあれ

たゝぬよの心を和してゆるみなく
 あやをきらさすてきにとりつけ

はつみ有身のひやうしをはうしなわは
 とるもすかるも一の人[へ:誤字]にせよ

てきにのそむその一念に氣のこそり
 心しつみて身もおもるなり

いかにして勝をはしはしならふとも
 目をうつ心身にそひしきと

つよみあるかたちおそ[よ]しと思ふなよ
 柳の枝に雪おれはなし

氣と心身を諸ともにうこかねは
 うちつよくして勝も有なり

心をはあとにのこせよむかしより
 ひかへのつなの有といふなり

とりしまふ心のゆるみ氣のたるみ
 初学の人のくせとなるとそ

師の前や寒中有[なと:誤字か]のわさ斗
 たしなみぬるはうつけ稽古そ

もしほ草かきわけ見れはちこの月
 こゝに有とはたれか知へき

つくは山は山しけ山しけゝれと
 思ひ入にはさわらさりけり

右一冊は柔の要術纔借
於三十一字に顕之為導迷有
也時輩の嘲有眼前然共
先師の訓儘又加己意詠之
寔尾籠の詞狼藉の至歟
 右先師傳授奥秘の
 一軸令授与者也

    田中庄右衛門

寛延二年    定(印)(判)
 二月廿七日

豊嶋長之丞盛秀殿

[従是後筆]
右此條々令相傳者也
     石川龍之助(印)
          (判)
文政七年
 二月五日
 石川八太郎殿
*1 志学 論語に由来する十五歳。
*2 もしほ草 藻汐草か。

【訳】
予、竹馬にむちうち雪をまろかし、小学に師に随う事をも露弁え侍りざりし頃より、武藝に便りあらん事をもとめ、朝な夕な寝ても覚めてもこれをこいねがい侍りし。漸く志学のとし猶武道に執し、そのみなかみ[水上・源]を尋ね、その極まれる所を探ること、劒術と言い鎗と言い棒と言い居合と言い柔と言い取手と言い、皆なその事を学ぶと言へども、生れたち頑なにしてそのまことに及びがたし。ほしゐまゝに言わんば、大空をうかゞい、井の内の蛙の大海を知らざらんが如し。さりとて志の励ます所、片端三十字一文字に綴りて、後のこれを学ばんものに借りの助けともなれかしとて、硯の塵拂い千切れたる筆して、もしほ草かき集め言の葉に顕わし侍れば、これを詠むにその面影浮かぶようなればとて、面影草と言うことのならじ。

右一冊は柔の要術、纔(わず)か三十一字に借りにこれを顕わす。迷いを導かんがために有るなり。時輩の嘲り眼前に有り、然れども先師の訓えの儘、また己意を加えこれを詠む。寔(まこと)に尾籠(をこ)の詞、狼藉の至りか。

柔勒肝要集










 (印)
 (印)
 柔勒肝要集序

大凡救危遁難者不外于拳
捧跌故諸家者流而所起法
不隙計歳好此術凡有
取誉於世者勝我者皆從
而師之出入數家而無不
淘汰其精粹稟受其印證既
而因錬工夫之所蘊終至極
妙無功之處就中至心極流
乎方今以先師之教殆進補
而倍條目記於口訣盈冊以
題而名柔勒肝要集候後学
之嘲

 柔勒肝要集目録

一武は諸道の最上といふ事
一柔は武士の先務たる事
一初学先習の事
一取懸の事
一當流足遣他流に異なる事
一仕寄の所に習ある事
一拍子といふ事
一位といふ事
一勝負にうこかさる心得の事
一太刀名目の事
一具足次第
一同著初の事
一同飾の事

一門人問武藝は人の悪事國の凶器なり
 といふ事ありしからは弓馬のみち
 みないたつらことたるへきや
 答言さる事侍り文は國の吉をのへ
 後世につたへ國ゆたかに天下の治まれ
 る時の業尤吉事たるへし武藝は
 人の命をうしなひ天下をさはかし國を
 うはひ家を亡し身を危するの業た
 り尤以悪事たりしかはあれと此道
 なきときんは賊をおさめ乱しつめん事何れにか
 あらんたとへは聖王の世に蔵に三年の
 かて[糧]をたくはふると夫は饑年歳の
 時のためなるへし武を學も乱をしつめ賊
 をはらい君を樂しましめ身を安んし
 天下大平をなすのもふけたるへし此ゆへ
 に武にくらへんは文にあきらかなりと
 いふともなんそ士たるへきや孩子婦か
 人の人たるかことし必不学はあるへからす也

一又問軍術を先に学はんや劒術を先に
 學はんや
 答曰軍術といへは城をせめ郭をかため
 大軍をうちは壱つにてすゝめ小勢を以
 大てきに對し太鼓をならし貝をふき
 てよく地形に随ひ人馬の氣を知て
 かけ引自由にして以てきをとりひ
 しき天下一統ならしむる道なり
 釼術はちかく自難に對して危を
 のかれ己のみ功を立るの業なりしからは
 我等こときの城取軍役さばきは
 待遠なる事か釼術の近を學て
 こそ専一なるへけれしかし刄を不用
 して即時に功をなす所の業あり
 力をも入すして強者をしたかふる術
 ありこれを名つけて柔といふ

一柔といつ[ふ]は何やうなる事を先に
 ならひて可ならんや
 答言人をとりひしく事と覚力を
 以せんとすれはみなりきみといふものに
 なり行まことの力にあらす手を以
 せすあしをもつてせす惣躰を和して
 心をいふになしかたちを邪曲にせす
 正しくすなをに嗜手数を次第に
 たんれんしてはおのつから其功みゆるもの
 なり先稽古は一二年にもよくせんと思はゝ
 百日のうちにみかきたてんと火急に精
 をいたし志を励し其後は師の法を
 熟習せしむる事を専一とす古人曰
 学に有先務後務といへるなるへし

一問曰取かけは何の所を専一と教哉
 答言先躰のすわるやうにすへし其様
 は足の潤専用なり身のすはりといふは
 足合廣からす近からすこしをすへ
 はらをいたし胸をやはらかに左右の
 手を中庸にして下帯の三ゆいに
 情をふくみ䐏の下に心氣をおさむる
 なり臍の下一寸を天竺にては憂陀那
 と言唐朝にて丹田といへり天台大
 師の小止観に丹田に氣息を納
 むれは衆病をのそく坐禅の修
 法に新氣を丹田に入宋朝の静
 坐皆以これを専氣を治所とす
 柔も爰を以氣の治所と専なり
 或氣海とも言一陽元氣の
 帰する所とも言

一問當流は勿論他流にも人をなけて
 足のつりかひと申事先生の法に
 つりかへの足つかい無之は如何
 答曰人をなぐるとひとしく足をつり
 かゆるときは拍子にはつまれ手品よく
 見ゆるといへとも皆たるみと成事
 なれは始より終まて惣躰のつり合を
 肝要とす此故に不用但初学の
 者のかたにりきみ有ものには以て
 教となすなり哥に
  さむき夜にうつやきぬたのつちをしそ
   とりかゆる間そ音はたゝぬれ

一問仕寄の所に習有やいなや
 答曰取付所は人をなくるの根元
 なれは其術専一の儀なり手さき
 の澄所人をなくるは空なり此多
 事を得心すれは皆知るゝもの
 なりてき陰か陽か軽か重か強か
 弱か早きか遅か一の機早く目力
 を以さとり知事肝要なり人の
 強を見ても一塵の目に入かことく
 にてはあしかるへし我かれにむかわすかれ
 我にむかはすの心持又一の口訣也
 右歌に
  春やしるなにはのことのよしあしを
   おもわて花にむかふこゝろは

一問取くみての調子は敵の手にあま
 り拍子のおくれ息つきの不同に
 なりし時の専要なりや
 答曰調子といへるは物に先たゝす
 物におくれすかけすして一はいにはりあふ
 のうちにみちゝゝたる所を申也一はい
 にみちゝゝたる所にはゆるむ所もはる所
 にも調子にはつれすはてきの手に
 あまるといふ事あるへからす拍子を
 きかむとし息次の不同をおさ
 めんとする心懸少もあらは油の
 に入かことく其心懸けかたくかへつ
 て害とならん物歟拍子は拍子に
 あらすたゝ雲松水石のみ呼吸は
 天地にひとし天に春夏秋冬有に
 山川草木あるかことし自おこし自
 出るものならし動静天地にひと
 しからしむる

一又問右の取かけのほか又以教道
 ひき給ふ事一等有や
 答曰諸藝ともに手数定規の外
 に位といふ有又是をつやともうる
 ほひともいふなり是を習を情熟の
 学となつく心わさの外を出業心に
 先たつて[達て]物にきやう滞なく少のくまも
 なきをいふなり懐中に月を吐と言
 體格自然ともいへると叶はんか

一問勝事を専とすれは自由なくして
 身躰心にまかせさる事はいかゝ
 答曰勝事をのみたつるときは還て
 負をまねく也碁の口傳に勝と打
 へからす負と打へからすと言も此術に
 通ふへし無偏無黨にして彼是一
 なりと言事有かれあれは則これ有
 勝あれは負有さらに天地の道理
 なれは勝につかす負にまよはす心を
 造物の外に置を以術の極意とも
 定むるなり負に心うこかねは勝不求
 にきたるへし此所衆のまよふ
 所也心と業と成就してしかるへし

右一冊は心極流の家
教家に出入る諸流に渡其
秘奥の口傳の事等取捨宜
は闕捨疑敷者拾遺補闕
を以殆書加る者也
 右先師傳授奥秘の一軸
 令授與者也

    田中庄右衛門

寛延二年
 二月廿七日  (印)定(判)

豊嶋長之丞盛秀殿

[従是後筆]
右此條々令相傳者也
     石川龍之助(印)
          (判)
文政七年
 二月五日
 石川八太郎殿

眞極流秘勝柔御夢想前六取組之次第










□極□□□□巻
(印)
 眞極流秘勝柔御夢
 想前六取組之次第


  化生段

一 腕流    一 違詰
  
一 朽木倒   一 梢倒
一 小手亂   一 面影

  位詰事

一 腕流    一 違詰
  
一 朽木倒   一 梢倒
一 小手亂   一 面影

右十二箇條眞極流必勝
柔御夢想前三十六取組
口傳


  秘之巻

一 守人    一 横雲
一 電光    一 柄留
一 奏者取   一 左右詰
一 向心詰   一 袈裟留
    
一 二手還   一 膳詰
一 高手搦   一 筒切

右十二箇條眞極流必勝
柔腰之廻小具足之事具
眼目付専而分別一心肝
要也可秘云云


奉請摩利支尊天

 

天眞一明

 眞極流必勝柔秘術
 目録次第


  三拾合位可秘々

一 袖隠    一 行違
一 後詰    一 腰車
一 紅葉捨   一 膝落
一 櫓落    一 刃傷詰
一 亂勝    一 劒詰
一 碇引    一 尺利詰

右十二箇條眞極流必勝
柔三拾合位陰陽請合心
持専而能々手留之勝理
肝要也可秘々云云


  天眞合縄

一 七五三縄  一 早縄
一 鎰縄    一 鎖縄
一 袖縄    一 覆早縄

右六箇條眞極流柔天眞
合縄可秘云云


奉請摩利支尊天

 

天眞一明
    
 眞極流必勝柔秘術
 勝位之次第


  放格合位可秘々

一 鞋摺    一 袖之露
一 二手別   一 山隠
一 燕還    一 峯戻
一 唐糸戻   一 鐺還
一 友千鳥   一 二人詰
一 大小捌   一 心之無刀

右十二箇條眞極流必勝
柔秘術之勝理能々
之心持而分別一心過去
現在未来云云

  
  敵當秘中秘事

一 氣眼當   一 膈之當
一 谷壺當   一 會念當
一 水波當   一 下段當

右六箇條眞極流秘勝柔
當り四十八箇所秘中秘事能
能勝位之當而分別一
心過去現在未来云云


奉請摩利支尊天

 

天眞一明

 眞極流秘勝柔極意
 目録之次第


  實想之位可秘々

一 三條手詰  一 氣眼取
一 足還    一 水波取
一 左亂    一 一柱
一 柴還    一 
一 人礫    一 梶落
一 鎧倒    一 二刀詰

右十二箇條眞極流秘勝
柔秘術道理能々陰陽之
心持専而究竟唯是以心
傳心可秘々云云


  五大事可秘々

猿猴 車還   口傳
浪枕      口傳
巖落      口傳
命當      口傳
神妙力     口傳

右取組陰陽也眞極流柔
目付間積肝要也渡目付
取組分別水月たり能々

之心持専而風
息々風有時無時無明向
法心達能々分別一心過去現
在未来云云


奉請摩利支尊天

 

天眞一明

     眞極夢仁齋入道───┐
          藤原清定 │
     ┌─────────┘
     └─眞極采女正───┐
          藤原清政 │
     ┌─────────┘
     └─高柿兵左衛門尉─┐
            道白 │
     ┌─────────┘
     └─戸巻右兵衛尉──┐
            祐友 │
     ┌─────────┘
     └─佐藤八郎右衛門尉┐
            信良 │
     ┌─────────┘
     └─萱場惣助────┐
            重章 │
     ┌─────────┘
     └─木村三四郎───┐
            可暢 │
     ┌─────────┘
     └─木村太兵衛───┐
            可守 │
     ┌─────────┘
     └─木村百助────┐
            可昌 │
     ┌─────────┘
     ├─鹿又三太夫
     │      祐世
     │
     └─桂島平六────┐
            良房 │
     ┌─────────┘
     └─山崎源太左衛門─┐
            郷誼 │
     ┌─────────┘
     │
     └─山崎源太左衛門

        (印)(印)
弘化四丁未
 八月廿日    景憲(判)



 石川謙蔵光實殿

柔極意手数之巻









柔極意手数之巻
 (印)
  今度眞極流秘勝柔
  秘術御免許之次第

眞極流之柔貴殿専心切多
暦不懈故 察胸中許之巻
極意共令相傳畢

一 抑眞極流柔神道之根
元也然則當流之根本者日
之下流荒木流捕手右二流
兼用而寛永三年
眞極夢仁齋入道藤原清定
則眞極流建新流弘天下兵
術事傑士也如何故元祖
眞極夢仁齋入道藤原清定
蒙天生御夢想件之一流
奉請此流随喜者武運長久
可爲守而莫千人萬人傑也
御相傳懸具足手留之徳敵
兵無之故千中無一千人
之中にも敵一人心易取組事
他流有間敷者也昔日古
人曰柔手熟則知穴雨知巣
風無躰不知我以主意察心
法徳而究竟唯是以心傳
心代〃 唯授一人之傳者雖
然公執心之士於在之者熊
野翻牛王使成血判以神文
無疑心指南可有之猿猴
浪枕巖落命當神妙力石
五大事秘中秘事也但秘相
傳者可頼弟子機用者也許
状依如件

 取組に己か力はよわきふて
  柳の枝に雪おれはなし

一 柔取候時形氣たゝしくして足
袋をはくへからす心静に立座敷上
下左右を見て中にて禮をして向
の鍛錬位を分別して間の作足多
少を心得柔氣に心得さて上下亂れ
ざるやうに取るべし位上下に傳有り
一 柔手吟味の時は向の陰分の時は
神妙力の位専として巖落命當にて可勝つ事
一 同向の轉變陽分の時は右神妙力位主
意にして猿猴車還浪枕にて可勝つ事
一 初心の時腕流を教に前つくり足八文字に
ふみ向の力身を柔氣にうけて惣躰
おなしおもさに可爲取事
一 段に功つかば手數の不審にて變化の
事をおしへかけべき事
一 身きしむ人には討太刀可爲取事
一 身反人をは引腰に可爲取事
一 面臥候人には上頸つらせべき事
一 足つくり惡き人には前學三十六箇
条にて可直す事
一 能教べきと思に者能事不傳事
一 曲多き人をは一所つゝ可直事
一 せくは百曲の内の悪き也討太刀を
可爲取又取候時非を入て然と直すべし
一 第一僞の在人には不可傳事
一 眞實のなき人には不可傳事
一 欲のふかき人には不可傳事
一 師のおしへそむく人には不可傳事

右大形書記畢機〃 以可直
事不傳直師之傳也


 眞極流柔秘術御免許
 極意高上唯授一人之
 大事可秘云云

  三十箇条秘中秘事

一 軍馬三箇条之事
一 馬上高手綱三箇条之事
一 馬上組討三箇条之事
一 大将馬上生捕様之事
一 討物之太刀二箇条之事
一 一尺五寸脇指三尺に遣用事
一 灯杖仕掛二箇條之事
一 十當鐺二箇條之事
一 鍍鎌二箇條之事
一 小搦懸三箇条之事
一 十劒指懸二箇條之事
一 時雨指懸二箇条之事
一 戸入指懸之事
一 戸出指懸之事
一 物影之太刀二箇条之事
一 明松指懸二箇條之事
一 夜之太刀二箇条之事
一 屏乗仕懸之事
一 野幕仕懸三箇條之事
一 強身懸之事
一 無上劒仕懸之事
一 鞘詰指懸之事
一 野陳張様之事
一 忍明松三箇條之事
一 寢夜之覺悟二箇条之事
一 居間之覺悟之事
一 弓遇指懸二箇条之事
一 鐡炮遇指懸二箇條之事
一 鎧武者切様之事
一 頸取様之事

右三十箇條之大事眞極流
秘勝柔秘中秘事也能〃 目
附間積當陽而當其具足
其理秘中秘事也雖爲親子
露見有間敷者也


  天狗拂 口
      傳

 ちかくとてうらの島の濱千鳥
   アビラウンケンソハカ
  われ立よらはいねれ此人


奉請摩利支尊天

 

天眞一明─┐
     │
     └─眞極夢仁齋入道─┐
        ┌──────┘
        └─藤原清定─┐
     ┌─────────┘
     └─真極采女正───┐
        ┌──────┘
        └─藤原清政─┐
     ┌─────────┘
     └─高柿兵左衛門尉─┐
          ┌────┘
          └─道白─┐
     ┌─────────┘
     └─戸巻右兵衛尉──┐
          ┌────┘
          └─祐友─┐
     ┌─────────┘
     └─佐藤八郎右衛門尉┐
          ┌────┘
          └─信良─┐
     ┌─────────┘
     └─萱場惣助────┐
          ┌────┘
          └─重章─┐
     ┌─────────┘
     └─木村三四郎───┐
          ┌────┘
          └─可暢─┐
     ┌─────────┘
     └─木村太兵衛───┐
          ┌────┘
          └─可守─┐
     ┌─────────┘
     └─木村百助────┐
          ┌────┘
          └─可昌─┐
     ┌─────────┘
     ├─鹿又三太夫
     │      祐世
     │
     └─桂島平六────┐
          ┌────┘
          └─良房─┐
     ┌─────────┘
     └─山崎源太左衛門─┐
          ┌────┘
          └─郷誼─┐
     ┌─────────┘
     └─山崎源太左衛門─┐
               │
               │
       ┌───────┘
       │(印)(印)
嘉永元戊申  │
 八月三日  └─景憲(判)──┐
               │
┌──────────────┘

└─石川謙蔵光實殿
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