(c) 2017 武術の古文書 All rights reserved.


中臣流手裏釼の傳書

中臣流目禿糸手裏釼目的身堅箇條
1824.文政七年正月十一日
遠藤伊豆介定矩−石川八太郎

無題-1
1824.文政七年正月吉辰
遠藤伊豆介定矩晴湖翁人曰人−石川旭齋

中臣流手裏劒卯家之巻
1824.文政七年正月吉辰
曰人齋−石川旭齋

目禿中臣流圖物秘中巻
曰人齋−旭齋

無題-2

無題-3

中臣流聞書
1824.文政七年正月吉辰
曰人齋−旭齋
仙臺藩士 石川光實が丹波柏原へと旅立つ直前のこと、遠藤伊豆介より中臣流手裏釼の印可を相傳されます。伊豆介は同藩の大番士、俳人として知られた人で手裏釼の流派を開いたことは知られていません。伊豆介が、手裏釼諸流を学んだ履歴は『手裏釼的/口傳/香取流吹針目録』の「香取流吹針口傳奥儀の巻第一」に記されています。

掲載史料及び参考資料
『中臣流目禿糸手裏釼目的身堅箇條』個人蔵
『無題-1』個人蔵
『中臣流手裏劒卯家之巻』個人蔵
『目禿中臣流圖物秘中巻』個人蔵
『無題-2』個人蔵
『無題-3』個人蔵
『中臣流聞書』個人蔵

[ ]…管理人註 □…欠損 ■…不読
書中、多用の印章を略す

中臣流目禿糸手裏釼目的身堅箇條



   目録

中臣流目禿糸手裏釼目的身堅箇條

   表組

一 向  立合 糸釼   一間
        玉糸

一 左向 同       一間半

一 右向 同       二間

一 後  同       一間

一 同  同       一間半

一 居合 糸なし     一間
     玉剣

一 同          一間半

一 同          二間半

一 同          二間

一 同          三間

   四間五間心の儘也

一 毎夜千打 坐右釼  膝元糸なし

一 向 獨鈷流 上遠野伊豆門人勘右衛門より傳之
    三鈷流 遠藤白圭山人龍山先生藤原定賢より
                      傳之
一 左向 中臣流工夫也以下

一 右向

一 後

一 立なから

一 趨りなから

一 横

一 竪

一 前後二人結

一 前後左右四人結 東西南北
          順逆嗚吽

   裏組

一 二本 糸なし     塩合口傳

一 三本

一 四本

一 五本

    手練次第拾本迄

一 皮筒 糸なし     拾本入

      釼徳流大槻五郎助
      藤原清連傳也

   蔭組 糸なし

一 両手打        四百

一 左手打        八百

一 一文字        一本

一 二引両        二本

一 三巴         三本

一 四目ゆひ       四本

一 梅はち        五本

一 七曜         七本

一 九曜         九本

    各糸なし手裏釼也

幼稚より心かけて自分の
覚悟に工夫したる心妙釼なれは
必しも他に教る事を禁す
一人一傳たるへし

     遠藤伊豆介(印)
       定矩(判)
文政七年
 正月十一日

 授與
   石川八太郎丈

右九曜打たるゝ手もとならは
指南たるへし毎夜千打
おこたるへからす七星うた
れぬうちは指南無理也

無題-1




      ○つらねてつほうのこと
○竹を以作る竹の上をけつり糸にて巻口火をさすに玉なり
      ○的こしらへのこと
                   ──布幕なり
         (図一)          人形なり
                つる処口傳なり

      ○藁的のこと
         (図二)       小麦売[殻]桶に入れるも吉
            てき
            わらの如にするなり
            釼の刄をいたはるため也

一柱の中星六七寸の手裏釼を以平生修行すへし外糸つき
ものは此方さへ熟すれは心安し人前にてなくさみには一本も
打へからす名を発するか油断なりあの人手裏釼打なとゝ
云はれては人用心をなすなり人に何とも知られぬか秘事云云也
人に知られさるを以上手とす人に業を見せぬか傳授なり下手
にても勝なり可考

○   心敬のこと
 神佛日月星君父師をかりにも的の矢先になす
 へからす不忠不孝不義をうつの具なり
 摩利支天観世音を信心なすへし
○をんまりしえいそわか 正観音○をんあろりきやそわか
            十一回○をろけいじんはらきりく
                そわか

   ○天狗除の方有り 口傳
○きりんけつ ほをう しんしや 芥薬に加血とめきつくすり
 中より肉をすい治す
 ねふか
○葱を食へは金瘡ぬいたる処破れ不治死す香をあしゝ
○腰より下を切らるゝ時は聲を出しかたし白き足袋もゝ引
 こしをひ不用心なり黒きもの闇夜に吉し白きはあしゝ
○早ねたば草履にても吉片刄にすれはよし墨をぬれは闇
 夜にも刄見へずぬり砥不光せゝなため池の泥をぬりても
 よし
    
○馬糞の干たるを以ぬりちふけは早く人油とれるなり
 涎にてふきても吉し     さめ
○つか糸血つけはづらゝゝと云て鮫も用に不赤銅か赤鉄わさき
 をろじの如くなし麻糸にてまくかよし
                   何れも口傳なり

    吹針聞書冩
○香取流吹針口傳奥儀の巻第一
石懸仁左衛門源正朝師は若干の頃信玄流軍法を傳授し神島無双
流釼術を卯可迄極卜傳意明流長刀鑓傳授し東武に指南西國
兵法修行廻國の頃老たる人に出會手裏釼の法を傳秘して門人兄弟にも
不教不傳 余曰人五十日はかり正朝か兵術稽古所に次宿し南部大槻領
                          山田貫洞順助所也
四書を舌耕せしころひそかに傳授す夫より工夫をなし一流を全部す
           しのき
幼稚の頃上遠野伊豆門人凌勘右衛門先生より獨鈷流の手裏
坐右釼を習はり針を打つ白圭山人龍山先生より三鈷流を習大槻五郎
輔藤原清連先生より釼徳流の皮筒手裏を習何れも損多くして
益不足なり今中臣曰人諸流を合交して一家を建立するものなり

  ○香取流吹針目録
一間つもり敵の場合潮合合口傳有り不意を以勝針色見えては
 身をかはし扇にてあふき落さるゝなり一半と云事あり二に至もの也
一針拵やう 口傳金鍼銀鍼上品也重くなく能飛也本しきしはり
 と云もの縫紋はりよしつねの絹縫はり吉はりのみつへねりくり
 糸をとおしむすひ一分はかりのこし切羽になるなり五十本そろへ銀
  くた
 の管へ入るなり口中に入しめりの通らぬやうに跡先より薬を以
 つめる 口傳
一目付位  百中一歩八ヶ所なり末々出す 両眼云に不及也
一分の位  両眼中一歩より一尺に至る的なり五尺
一寸の位  同 一歩より一寸に至る 六尺
一尺の位  一寸より一尺に至る   一間半
      口傳 一尺二尺
         こな            ふるい
一霞    うとん糝よく絹ふるいにていくたひも篩跡先より
      羽の間ねはらぬやうにつめる吹出す時ねはらぬやうにすへし
      敵の眼中に吹入百中大霞なり○三はんのこと
右石かゝり先生傳なり手裏釼は十本革袋に入て握りなから打也
(図三) ─如此
凌先生の釼は跡先とつこ[獨鈷]の形如し白圭翁三鈷流は (図四)
なりとつこ[獨鈷]流 (図五) 如此なり長さ四寸手の内に指にそへ
持畳へ打つこと千打なり後二間をへたてゝ打也大槻先生は竹
筒皮筒に入て拾木五六本つゝうつなり
曰人試に何れも的ちかひて心のまゝに釼飛はす曰人日頃に工夫の上数
年心上に手裏に馴試て矢の如く羽をつけるゆへくらゝゝかへらす
矢の如く走るなり

    体堅のこと
一敵に向ひ已に場合に至て討つに半身になり敵の百中に手裏
 釼切落すかねあい真かねなり左手にてひちをもつ口傳釼の冲
 かへるを甚忌むなり鉄炮の玉の如に行くを以釼の旨とす敵前
 近つくこと四五尺迄に進むを以利とす遠さかるへからす 口傳
一釼拵やふのこと釼の長七寸死地寸なり六寸五寸をかきる
              くまたか
 鑓の如に三角にして穴をつけてGの羽を附る羽なき時は絹紙
 にてもつけて風を切る穴猪の目すかし也猪は勢つよく横むかす
 猛獣なれは比す沖にてかへることなし羽をつけるは工夫 古哲未
 發なり古人のいまた見さる処知らさる処なり曰人工夫の処なり
 五六七寸より下にては用に立すと知へし
○毒薬の事 口傳
○釼の数二十本を以五度打ては百本也一夜千打すへし夜中的し
 つまりて吉し音なき様に布を後に張りて的をかくへし柱中星
 よし
    九分位
○吹筒 (図六) 銀より竹もよし 針の先へ毒をぬる

  右至極秘傳の書也不可有佗閲
  者也
        遠藤伊豆介定矩
         晴湖翁人曰人
  文政七年       (判)
    正月吉辰

     石川旭齋丈
 図一.図二

 図三.図四.図五

 図六

中臣流手裏劒卯家之巻


中臣流手裏劒卯家之巻

一 大手手裏釼の事  糸拵様口傳脇指口傳

一 大極の事     口傳

一 うてぬき玉の事  鶏卵鉛糸四寸口傳

一 中手裏釼羽翼蜻蛉血鳥蝙蝠口傳
       鑓拵様糸 口傳 羽つき
   すへて羽つき口傳 三羽 二羽 結ひ紙

一 糸鉄炮手裏釼   玉拵様口傳

一 つなき箭手裏剣  矢四寸口傳

一 生捕玉の事    蟹爪釼口傳  (図一)
           武備志より出

一 早ねたばの事

一 鶏卵売目禿八方くらみの事
   砂 巴上 蔓茶 比雨 丹皿

一 生捕箭小弓口傳

一 弓にて玉を飛す事 二絃 口傳 玻 口傳

一 音無鉄炮の事   二味 口傳
            木村軍次源義式傳之

一 糠釘の事     泉の事

一 連鳥鋭の事    拵やう口傳
                    甲州流
一 忍の傳 竹沢流甲州二傳 口傳     菊田弥市兵衛
         竹沢流赤井姜那藤原定之 藤原寿信より
                         傳之

一 一歩八ヶ所傳   大槻清連より傳之

唯授一人一傳     離縁利勝

  吹針  口傳

右至極秘事雖奥儀深
蘊心傳也執心令相傳
者非其人四十以色慾の情
無之旨傳之猥以若輩
不可相授者也

當流元祖  遠藤伊豆介
       藤原定矩文規

二代    石川八太郎

      曰人齋(印)(印)
         (判)
 文政七年
    正月吉辰
 授与
    石川旭齋丈

 図一

目禿中臣流圖物秘中巻



目禿中臣流圖物秘中巻

    丸    井のめすかし (図)
三角  (図)

    坐右釼

四角  (図)


三枚  (図)


四枚  (図)          (図)

    (図)   (図)   (図)
四方釼
六方釼 (図)   (図)   (図)
八方釼

(図)       (図)
         (図)
(図)
         (図)

(図)     (図)

  (図)     (図)

三はんの事
     丹はん  南蠻椒  故礬

  (図)     (図)
   九分位    (図)

吹針は自然の妙にて鍛練の捷術とならては得かたし
坐右釼千打をひさもとに打つひざもとにて四目
ゆい七星出れは二尺向へ打つ三尺向へ四目ゆい
出れは亦三尺向四尺向五尺向の畳へ打たるゝ
やうに手にかつき出れは向のかべに目あてをつけて
一間へたちても手か定るを持つ二間三間心の
まゝなり始は白紙を下へをき売手にて
打つ獨鈷流凌勘右衛門上遠之伊豆
より習たる法なり曰人幼少より試むる処甚
妙なり近より遠をなすものなり糸無にて手
をならすへし糸つきは心安し糸なしを以修行す
へし針を打つに始釘にて打習へし吹く
針は而后の事なく手にて打たるゝほと
なれは口にても吹るゝなり 三歩板五歩板
打ぬくほとなれは鉄炮同前なり 口傳

           曰人齋(印)
              (判)
   居諸
       旭斎丈


無題-2


本手裏釼
           ┌うてぬき
 ┌鶏卵  長四寸
 │
 └(図)  ──玉子売[殻]のうちへ
一       鉛をつき込候

   手の裏へかくし持居候くゝり入
   何れの処へも打つけ候一打にて息
   絶候也


一糸手裏釼 (図) 二た塩合等と引
         てたくむ
         引取ぬくむには
         短きほとより
         二ひろ三ひろ
         見合ものなり

         常には銭を
         以けいこによし


    四寸  四寸  二尺の間
   四寸    四寸
  四寸      四寸
 四寸        四寸

 拾匁玉

籠に鋳て中に毒を仕込候

  たんはん
 ┌────────常にはのそく
 └巴豆

  なんはん  白ばん

無題-3


四角にうたせる

  (図)
    四寸

常に手をならす
        ┌三角
  (図)
     長さ壱尺八寸

大手手裏釼

  (図)
    七寸

  (図)

    鯨弓    ┌三味せん一の
    長八寸八分 │糸を用ゆ
          │
  (図)
   │
   └尺かねを用ゆ袋に常には入

是は場合遠き所を射る

 二間遠相図也三間
 より遠はうたす二間
 位より近は猶よし

    はり

 二分    かはぬいはり
  (図)
         └はやきを
            するなり

ねりくり きぬ糸三つの処へとをし
切て羽とす

 毒は巴豆 たんはん なんはん
 をつけるなり

中臣流聞書




中臣流聞書

一 大星の傳
一 運氣を見て勝利吉凶知事
一 五行星二十八宿紫微垣大垣天子垣を見て勝利
  吉凶を知事
一 火色日月色を見て吉凶を知事
一 人声を聞て吉凶勝利を知る事
一 大勢に出會やうの事
一 敵陣を見て籏魂人魂見様の事
一 敵強弱見様の事
一 道具くらへ早備立直様秘傳事
一 電光石火水月間に髪の事
一 活人刀殺人刀の事
一 卍字輪鉾心身一致の事
一 禪家死生自在三要三玄五位君臣の事
一 臨濟八境の事
一 淀川野川谷川の事
一 啄卵君臣和合の事
一 龍虎三畧の事
一 黄帝握奇評権圖なく孔明八陣術なき事
一 序破急の事 行軍の事
一 試心動鬼神事
一 神禮勧請の事
一 橘家神軍浪立足水銀体の事
一 六具堅様の事
一 首取様の事
一 一番鑓入様の事
一 夜討ふせきの事外は軍禮に学て知へし

各口授可秘々々
  文政七年        曰人齋(印)
    正月吉辰         (判)

      旭齋丈

  即死の方
   矢つほ分寸傳

一 一歩八ヶ所はあごのとまりに疵つけは薬用して不治
  死す 大秘方

○両あご    (図一)
○目ふたつかひ
○耳門左右
○耳の後骨 ○米かみ左右 ○咽笛高骨 八ヶ所なり

一歩針を刺ても死す急所なり 両あごのはつれは
きすつけは不治してつ井死症に至る大妙所なり
   けんへき
外に○肩井に針深くさせは死す活法を以すれは活るなり
 きん  きうび
○睾丸 ○鳩尾 ○あばらほね ○ひさの皿けはなす ○向すね

      くわつ
     ○活の傳
      いやす   あをのけにして
○あてみに悶絶したるもの丹田氣海力らを入吽とをせは息ふきかへす
            ほそ[臍]の下三寸
     ○大手りけん
 脇さしを以敵の心頭にむなさきへ打込なり 糸つき也

     ○毒釼の傳
○釼横に目にあたる時に毒氣ふれしむ刺すのみにかゝわらす

     ○うてぬき玉の傳
○鶏卵の中へ鉛をつき込み穴を十文字に明る也竹をさしをきて
 なまりとかしこめは出るなり岩を以形につくり二つに割る手段也
 糸を以四寸定めつかみかくしもつ一打にて骨を砕く也

     ○生捕かに玉の事
 人を打こして引よせかたに引かけて引とゝむる武備志に
 有処の圖にも有り

     ○座敷弓のこと  やのね
○矢の羽のゆはつに鉛を入るか鏃に鉛を入重くしてつかみたる
 処の上にかけて射る矢人を射留れとも其箭戸襖を射通
 すことなり横に箟あたるゆへなり

     ○弓にて玉飛しのこと
○弓に二本弦をかけ皮にて玉のふくみをこしらへ引しほるときに
 前の方ふくらみ引くなり左なけれは己■かいなを玉にて打ぬくゆへ
 なり井んさいくうの如くにつるを引へし

     ○紙筒のこと
○紙にやきめうはん水を引干し五拾枚ほとくるゝゝと巻て末を糸にて
 ぎりゝゝと巻留るやききりてて口火の処を明け口薬をさしをく也
 一と鉄炮は用るなり筒の上を糸にてまくへし二度とは用立す

     ○釘泉のこと泉は銭のこと也
○釘一包ほとへ毒薬をくるむ酒にひたす吉塩にても吉
 銭をつかみ俄の時は早く用をなすなり打つけ目ふたきたらは
 直につけ込みあはらのとふへ両眼を蹴つふすかかためをかけへし
 図一
TOP