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真影山流極意之巻

真影山流極意之巻
1675.延寳三年十二月廿五日
関口伊兵衛尉定勝−吉田武左衛門尉

こゝに掲げた「真影山流極意之巻」は、吉田武左衛門が二十五歳のとき唯授一人の的傳を承けた印として関口伊兵衛より傳授されました。真影山流は、浪士 吉田武左衛門(1651-1728)が仙臺の地に来りて弘めたと伝えられて(* 石川光實記録)いますから、本巻は同流を語る上で欠くことの出来ない史料であると云えます。いかなる経緯があったものか、真影山流正統十世 高橋信次の高弟 石川光實の家に伝えられました。
掲載史料及び参考資料
『真影山流極意之巻』個人蔵

[ ]…管理人註 □…欠損 ■…不読

真影山流極意之巻
















真影山流極意之巻

     丹波國八木郡
      影山善賀入道
          清重従

      松浦弥左衛門尉
          正歳四拾貮歳此盡傳

      古江権兵衛尉
          正勝三拾九歳にて同傳

      武谷与左衛門尉
          重影三拾六歳にて同傳

      桑原十左衛門尉
          影康三拾三歳にて同傳

      関口伊兵衛尉
          定勝拾九歳にて同傳

      吉田武左衛門尉
          定治貮拾五歳にて同傳


 此外壹人も無用といへとも其品に依て相傳可
 申由松浦弥左衛門より段〃申傳候併極意三ヶ條は
 不傳由段〃唯授壱人の方へ其段相傳候此段は堅
 相守可申者也

一此一巻其身弟子の内唯授に相續候者於有之は
 各別無左其身一代にて相極儀候はゝ全無沙汰有間
 敷者也末期におよひ可焼捨事縦唯授壱人
 の弟子たりといふとも令吟味其品に依て不可
 相渡事

  右條〃於相背は

 梵天帝釋四大天王惣て日本六拾餘刕大小の神
 祇殊當所鎮守并生國氏神八幡大菩薩天満
 大自在天神部類眷属神罰冥罰可相蒙
 者也仍起請文如件

   中腰
一おさまる所も此心也

 自是
  兵法秘密の巻

   左右之捨
一左右の捨は必一足に一ふり宛[つゝ]つよくふり出し懸る
 物なり必けんとう[見當]か我みけんの方へ指懸来る物也
 其時は敵に應て左右の捨に取へし敵のことくに
 ふるへし詰るときは玉すたれか下段に持へし
 打時には必右の足にて打物也その時うたすに
 鍔を用つき込事第一也そらうちをしうたせてま
 き上て打事左右のしやのならひなり必上よりうたぬ
 物也應て付に取物なり其時まきあけて打事あり
 其時右の足をあとへつよくひきなからかふつて成ほと
          うつ
 身をちひさくもちて持へし爰にてあらなみの巻
 上と云ふ引なから脇よりうたぬ物なり両のうての間
 に何とそうちこむやうに心懸第一也あたると思はゝ
 すくにつき込へし

   居切
一此太刀は敵のたちはやに付て用立事多敵上よりうたは
 唯おさへて行へし清眼ならは右同清眼下より打はすくに
 つき留行へし敵打ふりにてうたすにひかは直到に
 取成程小くなりてきの手足を見る事専一也うたは
 打へしうたすはうつまし

   直至
一是をは一足も留す行へし敵上より打はたちを打返し
 水おとしをつくへし下を拂は眼間を掴へし

   天車
一是は清眼にもち一足行せひ壱はひに高く取敵打は
 打へし打すは詰て行へし上より打共下より打とも
 天車ならは唯一文字に右の足を□□す左の足にて打へし
 敵入身ならは成ほと近く寄せかたひさ[片膝]つひて打とけると
 おなし

   無明
一是をは付に取一足ふみ右の足を出し左の肩を出し
 ふんしかふて敵のてたてを見る事第一也上より打はひら
 く事有又左の足を出しなから打事もありてきの
 太刀を打返す事もあり

   真直至
一是は常の直到よりけんとううしろの方へねせ成ほと
 手のうちやわらかに持敵の二勝を見て行へし上より
 打はおもての六のめのことくに左の足を敵の左の方へ
 つよくふみ込柄もとへ打込へし下より掴とも此
 心也すこしも是に子細有間敷候此方のおしえを背
 ぬれはこの太刀とり怪我有物也おしえを守りぬれは
 子細有間敷候

   
一是をは光常に持行へし敵上より打共下より拂とも
 一文字にかたひさ[片膝]つひて掴へし

   清明剱
一是は付に取一足ふみ光常のことくに左のあしをつよく
 出し前へ懸り取へし上より打は左の足を引事有
 又右の足をつよくふみ込打事も有又其まゝにて
 太刀をうち返しつく事もあり

   勝明剱
一是をは成ほと下段の付に取へし一足も留る心なく行へし
 上より打は鍔すりにおさへへし下より拂時はむね
 の間を目付につき込へし第一也打風情にて
 表裏引時は玉すたれに持ておよひてかゝるへし
 付る時はきつさき上てつき込へしその時敵かならす
 太刀をなかして取りあひにかゝる事有へしとられし
 となすはおくひやう[臆病]の至怪我有物也とらせてせうふ[勝負]
 口傳

   真之丸橋
一是はたちをみけんに押あてはの方を我方□□□[へなし]
 一文字に行へし敵上より打時右左の手の内ねちる
 ことくにはを向へ押出し成ほとうわ身にかゝつて
 付留る事也下より打抔をはすこしも構事なかれ
 右のことくに上よりおさへて行へし

   真之車
一是は成程太刀を上段の付に持て敵に寄へし敵□□[上より]
 打はかふつて入へし打ぬ時は左の足をふみ入なから無明の
 ことくになをす風情をもてなしむにむさんに右の足にて
 打懸その時敵かならすひらいて打へし左の足をふみ込
 成ほとつよく鍔をたよりにつき込へし

一自是真影一流の秘密の所敵をしたかゆる
 太刀の作法の事

向釼

右剱  是三ヶ條横一文字と云

左剱

上段  中段  下段

   是三ヶ條長一文字云

   風傳
一是は中段に持成ほと心をしつめ静に行へし敵上より
 打は足を風前のことくにたちをははつしと請留太刀共に
 身に押懸成程やわらかに行へし敵引はかゝつて
 行へしをさはかゝつて行へし此太刀は上より打計を
 大事と心懸行太刀也下腰抔を掴をは少も心に懸る
 事更になし敵打出す時よりは足をいなつまのことく
 はこふ事専一也太刀は合するかきるかを壱つのやうに
 常ゝ心懸へし

   風前
一成程下段に持切先をは敵のゆるきへ付心を二勝へ
 付少も留す足にりきみをなく行へし上より打は
 左の足壱尺五寸ほと上へ引上なから敵の左の方へ
 つよくふみ行へし下よりなく共右同断切先はもとの
 目付を心懸行へし右の方より打とももとのたひにて
 行へしくらひを余に取事あらし清眼にて成る共
 右同断付にても右同断敵成ほとやう[陽]にてうたは成ほと
 いん[陰]にて行へし敵いんの打やうを出すへし必左のあしわ
 するゝ事あらし

   真無明
一是は太刀をは縦上段中段下段霞直至付清眼車
 見しめさけたち何のうちに取當候共此たちへ敵の懸
 る所か無明成へし我無明を敵の方への無明になし
 我太刀は爰にて清明剱とたて合るを第一とする者也
 右左向是三ヶ條を成ほとふさき行へし縦敵表裏
 とも其時に應て合するとたに心懸ぬれはあわてゝ
 太刀を出しぬるとも敵表裏ふせひにて打懸たる時は
 しつめぬる所是を以てあやまりと云ふ何とそしてよこ
 にもたつにも敵の太刀に合と計常ゝ心懸第一なり
 あはせて後勝負の所なにとそ師の心に不違やうに傳
 を請所是を兵法のこんほんと云ふ餘秘密に候まゝ
 是にはしるし不申候

   夜中取籠者打時事
一常のちやうちんをたゝみ火さきをむかふへむけて
 持へし必がんとうひに成物也加勢する事すやりえ[柄]
 みしかきにけらくひを三尺手巾にてまきちやうちん
 持の右の袖の下より鑓を出しかせひすへし其時必
 ちやうちんもちに打て懸へし下よりつきたおす
 事専一なり

   別之一二
一是は敵に向て脇指を抜刀は抜すにさや儘持て行へし
 打時十文字にくんて請てつくへし一刀ならはさやを右
 の手に持右同勝身

   影之一二
一旅中ねこま[猫間]扇子しつて[実手]九寸五分抔を入て行へし
 抜あはせ敵の太刀に構はす我太刀を上取に取打へし
 敵の太刀腹に當ても怪我無之候

   居合抜太刀打之名仁
一是を討時座敷になをし成ほとしつか成躰にもてなし
 成ほと知略をめくらし打事第一也誠の道理にては
 うたれさる者也無刀にて寄て打事有討事の手立
 草はうきの中えたちを仕込御馳走にさうし[掃除]の
 ふせひをもてなし討事有

   向詰之事
一敵太刀を抜中段より上段まてのうちにかまへ居候
 所へ仕懸の事腋指のそりをうちさけを[下緒]ゝ成ほと
 腰にゆひ付刀をはおひ[帯]ゆるく指さけをゝ左の手
 に持右の手にて脇指の柄をとり左の方の肩を敵
 にみせ行へし必打へし其時刀をかつきたちを
 うけ留わきさしをぬきなから刀のさけをゝはなし
 てきをとらひつく事第一なり

  従是
   居合唯授壹人之事



一腹より抜打か又は抜たるたちにて打るゝ時は刀にても
 脇指にてもくりかたの根をとりわかくひへ押付左の方
 よりまわる物也必鍔もとへ切込有其時刀にてをさ
 え候はゝ脇差にて抜なからつくへし是はわふらひ[往来]にて
 もさしき[座敷]にても用る事也

一せまき所にて打者の節は大わき指を刀の代に指者也
 其時の指様にはをひ[帯]に大事有常のをひにては
 後つかひ抜悪しき物也下にはつねしき[常式]のをひの上
 に三しやく手巾帯仕それに指物なり打時に帯より
 うしろの方にてさやを取り壱寸ほと抜をひ[帯]お押
 切ぬれは抜もはやし[早し]さやも用立物也但此心懸
 用心する時はひろきせまきに限す用事第一也

   一文字之事
一敵居合ひさにてかまへ居申所へ仕懸の事脇指の
 さけを[下緒]腰に結付刀を左の手にもち右の肩を敵の
 方へ向行へしてき上より抜打に討ともわきより拂抜
                  こと
 に抜共又下より抜あけ給ふともかまふなかれ刀の
 柄を敵の胸いたにつき當候ことくに成ほと身を小く
 構抜とおもふ時唯一筋にてきを押返すことくに
 仕懸給ふ事第一なりてき必ふりあけんとする事すへし
 其時構はす右の手にて持たる刀にててきをおさへ左
 の手にて脇指を抜付る事第一なり脇指は其節に至
 そり高く小きわき指用事第一也必おしえを背事
 なかれ

   運之見様事
一今宵我か身に何事も有らんと思ふ時左右の手
 のうち中ゆひをおり残る四つのゆひをたゝみて
 押當壱つ宛あげてみるに其時薬指いかやうに
 あけたくとてもあからぬ物に候薬ゆひあかり候
         
 節は必我身に怪我者なり其節用心を可専
 者なり

   毒飼に合ぬ事
一膳に向ひ左の腰よりもゝ[股]へしひれ[痺れ]候事有其節は
 必不可食其者毒にうたかひなし何とそして
 其座をのく事肝要也

   中腰極意
一本ひさ表の通ろくに居候ても目付は敵の持たる
 大小の鍔きわへきつさきを抜付ことおもひ居候事
 第一也上より抜打にうつとも脇より拂ひ抜に抜
 共中こしのくらひ抜とも右の目付へぬき付候得は
 必逢事也敵のたち上にても下にてもわか身へ
 押付させて苦からす候わた入なとにてはすこしも
 通らさる物なりあはせ[袷]ひとへもの[単物]かたひら[帷子]に候とも必
 わか身へはあたらさる物也左の方の手にて敵のた
 ちのみねをおさへ付て敵をつき留給ふ事第一なり
 若怪我仕候共其手にてはあやまりに不罷成候
 一寸のまけ九分のかちとこれをいふなり

  自是
   兵法唯授壱人事
一太刀の位を取時は一に付二に天車三に光常四に無明
 五に真至六に三當七に見しめ八に玉すたれ九に下位
 是を九傳の勝のたちとひやうする也上段の付にたに
 持時は此太刀共に一足に分〃になをすとも我と我か身
 となをる物なりてきとの間遠き時は此事をはなす
 ことなかれ付に取時は敵のもやうをみる事也天車
 の時は敵の色をみる事是を紅葉の目付と云光
 常に取時は眼の間を打とみる事是も眼間の目
 付と云ふ無明に取時はてきの左のひちを見る時
 是をゆるきの目付と云三當に取時は手の内是を
 二勝の目付と云見しめに取時はてきの胸の間へ心を
 付みる事是をまんし[万字]の目付と云玉すたれに取ときは
 敵のたちまん中ほとに合とおもふか剱當の目付と云
 下位に直してのちは縦目付は心になくとも敵の打
 太刀の見ゆるに依て是をむの目付と云手詰九つと
 云時は此心をはなさすたちとり[太刀取]稽古の時分持物也
 我と位を取事見出す物なり

一下段の太刀てつよきと印置たる子細を如何に敵たゝ
 一打と顕れて見ゆる時縦二勝ゆるき氣さし見へとも
 合道理を以つよきとす腰のゆれあひひさのはたら
 きみる時は必脇より出るたち目の下にみるる物也
 其時きつさきを敵のきさし[氣指]へ付鍔を敵の二勝
 へ付行時はみるよりつよきとも申也如何様に打給ふ共
 打たにすれはあわんと云ふ事無之候併付眼清表裏
 三ヶ條有に依て二勝ゆるききさし[氣指]みる事第一なり
 と申傳候此たちにては一足も留りてはあやまりの
 上のあやまりといふ子細は留りぬれは必敵位を取り
 なをす物也何とそてきたちをなおさぬうちに行
 事第一也又敵打すは太刀を少引上け真之丸橋の
 ことくか三當玉すたれのやうに取へし其時は
 目をはなさす敵の二勝をみる事第一と云必引打
 か其たひにてはうたんと云ふ事無之候その時合とあ
 はんとむにむさんに無念むそうに打てつき込へし
 是を第一の勝といふ

一水月とは上段中段下段此三の内の下段より出るを水月と
 云ふ敵を月とたとえ我身は水とおもひ行へし敵の
 太刀月のことくに我たひえあきまもなく切懸とも水は
 切ても疵のなき物也此心にて行を第一の勝といふ
 是よりはみな合太刀の僉儀なりたとへ唯授たりといふ共
 是より極意相傳は勿論此書物他人は不及申事親子
 兄弟たりといふとも開事堅可為禁制者也

一師匠のおしえを背無たひに開たまはゝ日本六拾余州
 神々其人の當所鎮守御罰可蒙者也

 南無鹿嶋大明神

 南無摩利支尊天

 南無愛岩山大権現

  自是
   極意三ヶ條

   心明剱


一下段とは成ほとたちをさけ剱當を敵の方へなし合
 勝我か身には當らさるとおもひ行所第一也縦上より
 打腰をなき[薙]きやく[逆]に打表裏清眼に取付に取車に
 直し候共唯一文字に下より合其時勝を下段と云ふ
 本の氣に返りおさまる所の第一の勝身と善賀入道
 清重申傳候此心へひせひ[平生]我身には着こみを着たると
 思ふ所は至所の誠也敵の太刀わか身には當ても
 きれさるとおもひ行事必わすれ間敷事此たちは
 心をはなささるに依て真の付と云又心明剱とは
 成ほとあきらかとおもひぬるに依て心明剱とも云
 たひやふりとはあうとつくに依てたひやふりとも
 いふ必一流納る秘密此事也心眼さそく本といへとも
 稽古なき者には至らさる間稽古の所を誠の
 もとゝいふ是にましたる相傳不可有必於不相守は
 あやまりの上のあやまりといふおさまつて一の刀

   真之摺足


一敵抜打に打共又下より抜込共又抜持たる太刀にて
 上より打共なくとも居合の方より仕懸秘密の事
 何とそして其太刀に合やうに事心懸へし合て後
 勝事の是抜合たると思持てきのしらはを我たひへ
 押當て不苦事有合て後は必敵の太刀よはる者也
 其時押懸たる分りてわた入の事はさて置ひとへ物
 にても通らさる物也此心を常しき持やうはいつも
 我身に着こみをきたるとおもふか専一也又抜合て後
 居合の方より切と云事無之候唯つき留るをもとゝ
 善賀入道清重より申傳候必此心常に持給ふか第一也
 次に抜たる所へ行時は刀脇指をさし刀のくりかたの
 ねを左の手にてとり少抜出し脇指の柄に手を懸
 一文字に行へし必上より打へし其時刀の柄に
 ておさゆるよりはやく脇指を抜込事是を秘蜜の
 勝といふ此仕懸はわふらひ[往来]にても座敷にても又居たる
 所へ行にも吉亦一刀の折は上にても下にても合と
 我身に敵のたちうけ留て我たちにて敵をしたか
 いぬるを専一のかち是なり居合の水月とは是を
 云ふ必おしえに任せ行事本意也又抜合る太刀にも
 如斯是を唯授壱人と云ふ是よりは入合の剱と
 申て見出す者也若くわんほうならさる折師匠の
 方より傳を請事本意と善賀入道より申傳候
 是にましたる勝身は不抜ぬかせす納所を勝と
 いふなり

   合太刀之大事

一此内にて我取えてたる太刀敵に向て誠の打合する
 者也縦上下きやくに打たるとき何とそして合心第
 一なり合て後は敵のたちを上下右左のきらひなく
 我たひえ我とうけ留我たちにて敵をほろほす所を
 真影一流の誠の秘蜜と善賀入道より申傳候是に
 すこしもうたかひの心有におひては縦たち打五十年
 稽古有といふとも可勝やう堅有間敷と申傳候
        
 是を以て真の身張剱とあひたちの秘蜜此事也
 是より極意をは入合の剱と申て口傳の所なり
 若至らさる時に師匠より傳授請る者也何とそして
 我一分にて見出す所をみやうと云ふなり

   入合之剱


           関口伊兵衛尉

  延寳三年十二月廿五日  定勝(印)

      吉田武左衛門尉殿


 従是おくは唯授たりといふとも其品に依て
 堅相傳申間敷者也若於猥に相傳は

梵天帝釋四大天王惣日本六拾餘刕大小神祇殊當所
鎮守并主國氏神八幡大菩薩天満大自在天
神部類眷属神罰冥罰可相蒙者也仍起
請文如件

   心通手眼
一此太刀のかまひは何れにても一分に取えて候太刀を
 心通手眼と云也一足も留らす敵に仕懸行事を第一と
 す付せひかんは不及申事てき如何様に構ひ候共すこしも
 留る事なかれ両方太刀の中にてうち合候節我か
 身をちひさく左の足をふみこみ敵のたちわかたひ
 えなにとそ押付させそのたち引上させすに勝負
 する事是誠の入合の剱なり但てきのたち生るゝ
 所をおさへて後わかたひへは押付給ふ事也居合
 にても兵法にてもすりあし有無の合太刀心通けん[剱]
 と極意申候得共敵のたちのしらはを我たひえ請
 留て敵のしたかゆる事有之によつて入合の剱と
 表したり印可まてには傳る法に候得共唯授壱
 人のわかち無之によつて此段は印可えはかたく
 秘事仕候前書に此段印候得共猶〃ふかくおもわせん
 ため如此奥にしるし唯授壱人に令相傳畢
             居合
一此ことく令相傳といへとも兵法は死ぬ所の稽古なり
 けり神を守り仁儀禮知を調佛をうやまひ申所
 是をこんほんと云ふ堅相守申所真影山流の秘
 蜜段〃納所の秘事也





   夫兵法當流傳者以楊
   為言風向柳糸吹則
   靡對何争事依是雖
   至洪水根正則本来加之
   作剱不作剱會戰八荒
   平也
* 文中の印章を略す
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