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田宮流の伝書

剣法規則後傳
1860.萬延元申年十二月
依田市左衛門命壽−今井六合會

劒法動静傳
1866.慶應二寅年正月廿五日
依田市左衛門命壽−今井六合會

窪田家傳天下無二撲秘傳授巻
1841.天保十二丑年八月吉日
窪田助左衛門勝英−依田源十郎・同種三郎
窪田勝英 くぼた かつふさ 幕臣 禄高二百五十俵 大御番 依田源十郎・同種三郎に『窪田家傳天下無二撲秘傳授巻』を傳授した天保十二年は八十四歳。

掲載史料及び参考資料
『剣法規則後傳』個人蔵
『劒法動静傳』個人蔵
『窪田家傳天下無二撲秘傳授巻』個人蔵
『江戸幕臣人名事典』熊井保編 新人物往来社

剣法規則後傳





  剣法規則後傳

(印)
一 天性筋骨順逆之形
剣法の第一は形也形不整は働自由
ならす人々天性筋骨の順あり其順に随
ふべし

一 強敵弱敵
敵強と思ふ時は恐るゝ心あり又弱しと知る
時は侮る心出るものあり此氣在る時は
心負べし一心に死を極る時は必勝を得べ


一 對敵
敵に對しては貴人の如来客の如く扱ふ
へし必敵を憎むべからす

一 待懸
待心在れは難く掛掛る氣在る時は浮
立へし待うちに掛り掛る中待へし

一 有餘不足
業のみに不限何事も余りあると不る足との
分有尺蠖の心の如く在るべし

一 虚實奇正
虚實は氣を云ふ奇正は業を云ふ
此分能々辨へ得へし

一 動静心術
動静は心を云ふ心氣静ならされは
變に難應

一 旭日水礫
氣は朝日の登る如く其勢ひ緩む
べからず又氷に礫を打破るに破る所
水の速に出るか如く在るべし

一 日影月影
日のさし入事戸を明るより早からす
して遅からす月影も亦同し變に應
する事日月の影の如成るへし

一 剣業心目
機變に随ふ事は心と目と手の働
足のはこひと剣と一にならされは必勝がた
しと知べし是業の至極也

一 獨學工夫
晝夜工夫獨學するとも益無し相手
取て學にしかす業を得る時は必心中
明鏡のどとく自ら成るなり然る時は
工夫自然に付て剣法己れか物とは成也

一 剣道圓形正身
剣の行所圓形ならされは剣の用を
なさず又刄聊も背けは切がたし形を
正して調練すべし

一 神妙霊剣
剣法其身に全く得る時は神妙
不測の業に至る向ふ所勝すといふ
ことなし鬼神も近つく事能たはす
近つけは必さる

右拾三ヶ條者神傳剣法の要
術也常に調練して全く其身に
得る時は必勝すと云ことなし能考へ
習熟して其極に至るへし口傳

一 方圓發氣之傳

一 順氣順方之傳

一 環 之 傳

右三傳各口決多し

右之三拾六箇條者雖為當
流之秘事依御執心令相
傳候免許無之以前不可
有侘傳者也為後證如件


        依田市左衛門

 萬延元申年十二月 命壽(印)(判)



   今井六合會殿
        参る

剣法動静傳


  剣法動静傳
(印)

一 場間

一 掛合

一 浮沈

一 屈伸

一 進退

一 遅速

一 仕方仕様勝負

一 前後ノ勝

一 生涯ノ勝負

一 學ノ初中

一 相討

一 相抜

一 理

一 氣

一 心

   条々口傳

右十五ヶ条者雖為當流之秘事
依御執心令相傳候免許無之
以前不可有佗傳也為後證如件


        依田市左衛門

 慶應二寅年
  正月廿五日  命壽(印)(判)



   今井六合會殿
        参る

窪田家傳天下無二撲秘傳授巻






(印)
窪田家傳天下無二
 撲秘傳授巻

撲秘之術予家傳
はる処の妙傳天下無二の
霊傳也此器甲冑を
着すると雖とも此術を
以撲時は不勝と云
事なし尤組討に及て
其徳多し剛敵を撲の
術なる故撲秘と号す
此器は諸物を持て働
くといへとも無愁諸器は
各一徳一矢あり此器
傳は世に無二之秘術也
雖然執心依不浅令
免傳者也其霊傳秘
法之理并撲秘之器雖
君父之命子弟の親侘
見他言不可有之忠孝の
外不可用雖然自然
不逅時節者可爲制
外者也


   話業傳

一 一向二裡之撲
   此一向二裏萬事用也
一 敵より柄取之撲

一 鍔せり之撲

一 組討之撲

一 甲冑之


   秘法撲術要所傳

ほくと
 目通
  ほう骨
   かた下前
    しやくたく
     首利
      上甲利
       四指
        ひさかしら
         中甲利
          下甲利
   むないた
          かくすり



 右各口決多し圖形の卯は後ろの要所也


   秘法五守之守

     長さ二寸五分

 釼形角より
 五分高く
            中二寸



 筆次一二の順の如し合て二十一点心の字は
 外なり

 図書の如く認める也竪に折二重に封して秘傳の守と
 書へし冑の天空又は鎧の胸板へ入置へし白刄除の
 妙傳百邪病除釼難を除事妙傳之守也金入の
 綿に包へし陣小屋等人多所邪病除事如神


        窪田助左衛門
天保十二丑年
   八月吉日   勝英(印)(判)

 依田源十郎殿
 同 種三郎殿
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