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古流楊心神道流の伝書

古流楊心神道流目録
大江嶋右衛門元貞/片桐音之助方矩

楊心流上段之巻
大江嶋右衛門元貞/片桐音之助方矩

古流楊心神道流経絡巻
大江嶋右衛門元貞/片桐音之助方矩

内傳十六之形
大江嶋右衛門元貞/片桐音之助方矩

楊心流秘決之序
『目録』『上段之巻』『経絡巻』『内傳十六之形』『秘決之序』の順に記録され一巻の巻物として仕立てられているこれらの伝書は全て冩です。
『日本武道体系 第六巻』に所収の『上段之巻』『目録』『経絡巻』もまた年月・宛名を欠くことから同様の冩と見られます。但『上段之巻』の序が無く『目録』の歌が無いなど若干の相違あり。

掲載史料及び参考資料
『古流楊心神道流目録』私蔵文書
『楊心流上段之巻』私蔵文書
『古流楊心神道流経絡巻』私蔵文書
『内傳十六之形』私蔵文書
『楊心流秘決之序』私蔵文書
『日本武道体系』同朋舎

古流楊心神道流目録

 古流楊心神道流目録
熟以柔術者無支之根元而修
身之謂也縦人而方治國之時而用釼術待
人在厥身亦蹈而寧為落命事古
以来多守是更非無益哉凡四性皆是以
身全為本事豈雖不知乎故楊心神道
流柔術顯大在也

将流義二十ハヶ条之手數最天之二十八宿
而當流之為表事誠有所以也必可秘云々

 中段居捕
 并三段之口傳有
一 真之位 一 無刀別 一 抜身目附
一 車 釼 一 袖 車 一 膳 越
一 應太刀 一 別 擲 一 腕 擲
一 手 移 一 居手矩 一 羽骸捕
一 獨 鈷 一 友 車

 上段立合
 并三段之口傳
向とり
一 手 矩 一 向山影 一 後山影
       胸とり
一 撞 木 一 寿古木 一 手 車
       後とり
一 巌石落 一 獨 鈷 一 蹈 折
一 後巌石 一 樊會止 一 虎 止
一 前添捨 一 鐘わり

 阿手身極意
一 草 靡 一 秘 中 一 人 中
一 烏 乱 一 獨 鈷 一 烏 兎
一 明 間 一 松 風 一 村 雨
一 釣 鐘 一 電 光 一 月 影
一 雁 下 一 少 寸 一 明 星
一 氷 月 一 貫 元

 雲上之傳
一 吐息之事 一 秘藥之事
            口傳
 歌に
草ふかくかきわけみれは谷川の
水の底にそ月はありけり



 不浄除け
柳葉か遊ふきりかけうちはろふ
身には曇りの雲勢もなし

 から手水
天竺の水なきしまのから手水
しつかひ草木かくせふつまに

はさらうきやはさら御池の真水を
のんて我身にあひらうんけん

天當地當虚空當白白秘通り娑婆訶阿
厄羅吽欠

國常立流汲我悪魔拂明釼の徳三返
        ウンアヒラウンケン
南無天満鞍馬堂之院大魔王數萬騎
            ソワカ
 歌に
わけのほるふもとの道は多
けれとおなし雲井の月をみるかな

帆をあけははしる舩には乗ら
すともたゝひとすじに道の廣さよ

春雨のわけてそれとは降す
ともかわる草木は己かいろいろ

 師傳に曰
諸の劒術に序破急と云事有當流には

 序破急
右三ヶ九ヶ之大事有り所謂
序に序破急、破に序破、是を三ヶ九ヶ之
大事と云、序の場と見る所、其まゝ急に移
る所可有工夫なり

 一帰何所
万法一帰する所は合点なるへし、一の帰する
所可有○とらへて難傳是

所謂覺悟意無我之正躰なり、躰
は則卍之字説、生死は無常の怨敵
なり、晝夜不断の會席、是をみる事肝
要なり、以来懇望の輩有之にをいては堅く誓
詞文の上可有相傳者なり

・─秋山氏──┐
 ・─大江氏─┤
 ・┬三浦氏─┘
  │佐藤氏
  │河野氏
  │高橋氏
  │木津氏
  │代田氏
  └土肥氏┐
 ┌────┘
 └大江氏
     光貞(判)
   片桐音之助
      方矩(判)

殺活楊心流正伝系譜如斯

楊心流上段之巻

 上段之巻
  五条大納言為範卿御染筆
夫拳法は漢土本邦其術多端技拳仕候に
いとまあらす、なかんすく楊心流は宇宙第一の奇
術にして作拳法者流の比類にあらす、殊
に當流の規矩大江義時、年来
先師君を尊法し奉り、於奥州を開かん事
を懇願せしかは、其精誠に感應有て殺活
の妙技を得たりと、しかあれは楊心神流とい
ふとも可なれ、別記は略す
 (※挙・拳の相違)

爰に真印正脉流義傳来系譜をあら
はし、後世奥義傳授の輩を達著せんか
ために性名を録し予か精一の旨をとふ、其
由来を感激し敢て辞せすに應して書
する事左のことし

 寳暦二歳六月廿五日
    少納言菅原 在判

 表七
当流習所の教此手合よりす、是一粒の
實を植て根となり、枝葉に分れ廣大に
なりて而其終りは元の實一粒に帰す
是故に諸の手合の位を教るにも、此手
合にて解す、尤三の手合此手合のみに
有に非す、手合々々能々其位有、凡此
位手合よく熟する時は萬法是に遇す
大始大尾の手合なり

 無刀の別
虚眞の位あり、右の時
天南の下に當る間三寸の矩と


 抜身の目附
明覺の位あり、是當流三ヶの
傳の初、拂者を止る體は四寸
劒八寸の矩習也、曲尺鉄刀の
時も曲尺合同し大刀の緎を
専とす、天南に柄を當るの矩合無刀の別と同し

 車剱
虚眞の位あり、突ものを止る

 袖車
虚眞の位あり、殺活初の傳皆是よりす

 膳越
眞々の位あり、稲妻のあたり
専とす、起す時を開き手の内の
結ひ専とする也、下の矢筈を
も皆是にならへ

 應太刀
明覺の位あり、三ヶの傳の討者を
止る、几當流劒合の三ヶの条此
一劒に止る、是故に位も一不有
修行も一不有、初中終の三段有

 居合向捕二
別擲、眞の位あり


・─秋山氏──┐
 ・─大江氏─┤
 ・┬三浦氏─┘
  │佐藤氏
  │河野氏
  │高橋氏
  │木津氏
  │代田氏
  └土肥氏┐
 ┌────┘
 └大江氏
     光貞(判)
   片桐音之助
      方矩(判)

古流楊心神道流経絡巻

古流楊心神道流経絡巻
松風の殺は喉の當りにして陽の位なり、此
経は氣往する所の道路也、人間上焦に咽
喉の二つ左右に分れて二管有、一つは水
穀の道路、其一つは息管といふもの有
一尺二寸九節有て肺の蔵に系續して
有ものなり、此裏手律備り人間の
韻聲は此肺より出るなり、味は辛を
好み活則大腸に摩回致す、諸經の
當是を以て可知、口傳有

村雨の殺は咽の當り陰也、下は胃に通系して
水穀の道路なり、飲食都て胃に納む、胃
府は脾の下に随て位して居る也、水穀の納
所上脘と云臍の上五寸、水穀消化の地、胃の
正中脘と云臍の上四寸、飲食腐熟して
小腸に傳ふ、幽門と云臍の上二寸、下脘と云
小腸の上口なり、活生は脾の地を摩回して
補えば醒、惣して殺は此意を以て可知、餘は准之

電の殺は機も膽の府に當る、日月の位に近し、膽は肝
の四葉の間に蔵て各別なるものなり、胃は水
穀をいれ小腸は受もり、膀胱は液を受
大腸は糟粕を受け、五臓何も無不受、膽
ばかり離を水穀穢濁を不受、肝葉の間
に居て、其精しき天氣を持て守る者也、人間の形
躰の氣剛柔都て膽より無不出、依て分は
膽の穀す事なく、此殺は連る故稲妻と云也、人間
剛柔の氣を司る所源經也、口傳

月影の殺は肝に當る事也、肝の形は木の葉の始
七葉あり、四葉は右に付居る陰の部なり、三葉は
左に付て陽の部なり、常必偶陽は寄依之
可知、此殺は大事の當り也、常必為す事也、肝
膽の府は都て人間剛強出る所なり、月影
は期間の邊に近し、最稠く經に當る時は力持
つ事難し、故に思の外に吐息を出し、眞は死に及事
有、其時息絶て表裏の經絡補摩と云事
有ともよく活生する事難し、口傳あり

雁下は両乳の邊をさして當るなり、此經は則
心肺二蔵に徹する所也、心肺二つは上に位して
下一寸に有り是第一焦の穢濁の氣を不受、當る
所の經は両方各一寸に有、是等一の心蔵に當ると
可知、心の蔵は肺(はい)中に孕て上位す也、依之隔
膜と云もの蓋て有故に心肺(はい)の二つは下焦水
穀の穢氣を不受也、五蔵の内にをいて心
の蔵は至誠君主の位也、神明の寓する所
一躰の神霊なり、外の蔵府は此心の蔵より
達經する者也、此地少し當りても甚答る所
なり、是則天真の氣至る所なり、最大事の殺なり、口傳有なり

明星殺は大腸膀胱の二府に當るなり
臍そ上一寸と、是より水は膀胱に下
行して前陰え出、糟粕は大腸え行て
後門に出、依之稠く明星に當る時は、二便
不覚出なり、大腸は右に位して居り、後え
蟠り有なり、膀胱は大腸に入て組て前
に蟠り居所は陰交の地と可知、口傳有

水月は自流極意の大事の殺なり、一切
の蔵府經絡分れたる所なり、此水月は胃の中(なか)
上下陽に當る、依之一切の殺は此理を以可助
神府を云、是は腎心の性を受たる氣經(けい)をか
たつとて生府(ふ)也、常に此府は陰陽とも受(うけ)、萬
風を生る府(ふ)也、則息絶て少しの問蔵府
に止り、見る内に空の如くなる府なり、此水月は
活生はなし、先師も不致所の經なり、必可慎、口傳あり

烏兎の當りは両眼なり、頭の圓は天に同し
故に天に日月有て陰陽分る、人に両眼有て
事物明白なり、自流に両眼をさして烏兎
と云事、日中には三足の烏有て月中には玉兎
有り、是最陰陽なり、故に烏兎と號す、口傳あり

   大江嶋右衛門元貞(判)
   片桐音之助方矩(判)

内傳十六之形

 ・内傳十六之形

  ・相別

一 別一足 一 後の先 一 打返し

  ・馬上

一 釣落 一 まひさし落 一 霞落

  ・馬下り

一 引倒 一 蹄返

  ・右前後左右

一 岩石落 一 瀧落

  ・四つ手組

一 両ひねり 一 打倒 一 片ひねり
一 躰のぬけ 一 止ぬき

右拾六手合、雖為秘術令相傳也

   右両名同断 在判

楊心流秘決之序

 楊心流秘決之序
夫静に居て■方を知り安きに居て危き
をしれす常に居て變を思ひ治に居て
死を■■もせ後に大丈夫といふへししか
はあれと其動静安危常變治乱生死の
理を超るといへとも其危乱をしつめ變死
をまぬかれるの術を得すんは何を以か
是を超んとせん其術を兼て兵書を學
び且■柔釼戟を熟練するにあり
其術にお■■和漢流々派々門をかもふる
もの三五ならすしかりといへ共今
此楊心神流や誠に神流なり其
始秋山氏某濫觴すといへとも其
二祖大江氏義時なる人其道の温
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