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南蛮流小鉄炮の伝書

南蛮流小鉄炮 巻第一

南蛮流小鉄炮 巻第二

南蛮流小鉄炮 巻第三
1613.慶長十八 正月吉日
放士権丞正成−
掲載史料及び参考資料
『南蛮流小鉄炮 巻第一』個人蔵
『南蛮流小鉄炮 巻第二』個人蔵
『南蛮流小鉄炮 巻第三』個人蔵

南蛮流小鉄炮 巻第一



夫鉄炮者初於南天竺而至
於南蛮自是渉於日域以来
造次顛沛於之然而定九
夷有國家古今重寳々
何如之自幼此道執心而
雖閲諸流未学玄妙傳還
而藝師罪雖然于朝
于暮所望自他相叶幸哉
致日唐會明師而無
小筒一流秘術輒今帰朝
畢寔与天抃拝令奇哉
仰之弥高鑽之弥堅是
則為天下無雙之小筒
名誉者筒長一尺二寸
号性名藤井一二斎
焉指本来无一物能剛能
弱能強則虚無忽然理
斯為心傳心以是
書鍛練之極意一巻而於
末世為某一流而普廣
之恐豈万代至寳者
数以徳言之至輕由自
由以早放言之則須臾込
玉薬手前早事如電
光厥外奇妙不思議不
可勝計以短言之則尺
縮為延其身牡丹華
下睡猫心有舞蝶於是
運策帷幄中決勝千
里外既武王三千義兵
滅紂王億兆之人以理勝敵
則如以石掴以非勝敵
則如以掴石何不可限
長短大小専以強弱吾
不入力勝敵為上剛吾入
力捨身命為下剛唯不
躰用則可謂上剛而已




夫れ鉄炮というものは、南天竺に於いて初り、而して南蛮に至る、是より日域に渉る、以来造次にも顛沛にも之をす、然して九夷を定づめ、國家を有(たも)ち、古今の重寳、何ぞ之に如かず。 予、幼きより此の道を執心して、諸流を閲すと雖も、未だ玄妙の傳を学ばず、還って師の罪を藝とするものか、然りと雖も朝に暮に望む所を自他相叶えるは幸いかな、日唐に致(いた)り、明師に會して閫(しき)み無く小筒一流の秘術を授かる、輒く帰朝せしめ畢ぬ。 寔(まこと)に与天抃拝、奇とせしむかな、之を仰げば弥(いよいよ)高く、之を鑽ずれば弥堅く、是れ則ち天下無雙の小筒名誉たるものや、筒長一尺二寸若 予、性名藤井一二斎と号す、焉(なん)ぞ本来无一物を指し、能剛能弱能強、則虚無忽然理斯為心傳心 是れを以て子、鍛練の極意一巻を書き錣じて、末世に於いて某一流をして普く之を廣む、恐は豈に万代至寳たるものや、 数徳を以て之に言う、輕由自由に至り、早く放すを以て之に言うときは、須臾に玉薬を込む手前早き事、電光の如し、厥外奇妙不思議勝計すべからず、短を以て之に言うときは、尺縮まば、其の身を延べ為り、牡丹華下の睡猫は心舞蝶に有り、是に於いて、策を帷幄の中に運(めぐら)し、勝つことを千里の外に決す、既に武王三千の義兵を起す、紂王億兆の人を滅す、理を以て敵に勝つときは、石を以てを掴むが如く、非を以て敵に勝つときは、を以て石を掴むが如し、何ぞ長短大小に限るべからず、専ら強弱を以て、吾と力を入れず敵に勝つことを上剛と為す、吾と力を入れ身命を捨つるを下剛と為す、唯躰用を失わざるときは、上剛と謂うべし、而已。

南蛮流小鉄炮 巻第二







  南蛮流小鉄炮巻 第二
一ひさ臺の事星に向て五躰□
 くに左のあしをたて右の足にて
 くるふしをおさへ龜の尾をしき
 腰をおりひたりの手にて筒
 を前へ引右の手□[に]てさきへを
 しひちをはらにつけ申候なり
 いつきは常のことくに見くび
 をおりこむ也口傳多し
一さしはたしの事あし中八文字
 にふみ腰をすへいきをこみ一拍子
 に打事よき鍛錬なり見や□
 いつれも右同前也

  間積の事

(略図:六間〜六拾間)

  薬組
一反薬   對 三匁玉三分 一匁二分五りん
 まつ風  同 二匁一分  一匁玉分
 ひめうり 同 二匁玉分  二匁一分
        白    黄    黒
 口薬   十匁 一匁五分 一匁八分

  分物打様
 分物きとくに越物也さるによ
 りいかにも惣身をゆくやかに
 持て打也五分七分の角の中に
 見ゆるか見えぬかほとの星有

[以下切]

南蛮流小鉄炮 巻第三






  筒拵様之事  巻第三
一筒の長一尺弐寸同二寸五分三寸
 三寸五分四寸五分五寸にも
一玉目三匁同壱分二分三分四分
 五分にも
一本口ふとさ九分今中先二分を
 とりなり
一前目當 巻金 三寸 目當 長六分
     の間
 同高三分先目當の高同 長
 三分半
一柑子玉縁二寸八分 まはりの事也
一玉ふちより筒くち一寸弐分也
一ねちの長一寸一分半 せんさし三つ
一臺尻 八寸 同七寸五分にも
一地板 長 四寸
一うちからくりなり
一引金てうつかひ[蝶番]

  筒直事
一こす筒は前目當の上をする[磨る]
一さる筒は先目當の上をする
一後きれは先目當の前をする
 前目當のみそも同前也
一前きれは先目當の後をする
一中るにこしてもすはりかたく
 候はゝ其筒の内をよくあらひて
 金むらを見て筒きるゝかた
 をとりてつゝさき四寸斗火
 の中へ入てよくゝゝあかめて面の
 ろくなる盤にのせてまた上と
 おりのかくにも五寸斗なるろ
 くなる木をのせて其上を木
 つちのろくなるにて二つ三つ
 打てなをすや筒先二三寸斗
 おきて打たるかよく候也乍去
 大事の筒なとを直へからす毎
 度仕そこなひ候事有之何と
 してもあたらさる捨物になる
 筒にて候はゝ右のことくしてもな
 をす也此外口傳に有之
一筒の内を見るにはから糸をすの
 うちへ引とをし其糸にて金
 むらを見るによく見ゆるものや
 目かけに向てつら[面]をくるゝゝと
 まはして見るにいとの金にさ
 はる所金むらの勢なり又惣
 のゆかみ其糸のあとさきを見
 るに中のたかく見ゆる心あるは
 其のかたへそうゆかみなりすの内
 を見るにいろゝゝ有之くろ金を
 四方にしていかにもゝゝろくに
 仕り其をすの内に入て見る
 金むら無残見ゆるもの也

  玉拵の事
一連理と云玉の事□□□あな
 をあけて□濃の苧にてよく
 つるきあとさきをよくむすひ
 二つなから一度に□□□二町
 斗にては三尺よこにわかれ候は
 何としても二町にて障子一枚
 にはつれぬもの也
一三友玉の事玉三粒にあなを
 あけ三分をとり玉二つ間に一つ
 三分をとりの二つの玉先へ
 入るやうにつるき□玉は跡に
 込なり□□の間は三分斗
 つゝをきつてつるき申候是は
 上下へわかれ申候也
一盤石玉の事玉こしらへ様くろ
 金にてこの繪圖のすかたに仕
 候事
 
 相玉二つにあなをあけ此のくろ金
 につるききりかたをして玉をさし
 入まわしてきりかた□てぬけ
 さるやうにしてくろ金の玉を筒
 の内へ入なり此玉人を仕る[殺傷する]に
 よき玉なり大刀のものなり共
 一矢に打ふけ[布遣→布世の誤字か]申候それのみに
 あらす万によし誠にはんしやく
 玉ころく玉と云も此事也

 右條々小筒雖為眼深重以
 御誓帋御執心之条毛頭不残
 令相傳候尤御秘蔵肝要に存□[候]
 仍如件


       放士権丞
慶長十八
  正月吉日  正成(印)(判)




ろくに:陸に、平らなことを云う
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